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女子寮時代の思い出・・・頼むから・・・変質者と仲良くならないで・・・!

 先日、宣教師として海外で活動をすることになった(!)という、10歳以上学年が若き同じ寮の後輩の方と話す機会があったのだが、彼女が今も寮生活時代にトラウマになっていることの一つが、度々かかってきた、変質者からのイタズラ電話だということだった。


 今はスマホが当たり前の世の中になり、誰も電話番号を知らないため、ついに電話当番の仕組みはなくなったらしいのだが(まだ、あったのか!)、私が住んでいた頃は、携帯電話は普及しておらず、寮にあるたった1つの電話に寮生全員宛の電話がかかってくるので、電話当番が交代で電話対応をしていた。電話番号は固定で、簡単に変えられるわけでもなく、とりあえず、すごく大事な電話がかかってくる可能性もあるので、絶対に出ないといけない。何かのきっかけで女子寮だと知られてしまったのか、変質者が時々電話をかけてきていた。

 変質者からの手紙も、たまに、届いていた。ひたすらに手書きで卑猥な言葉が書いてあるようなものであった。衝撃を受けたのだが、先輩が、おもしれーなどと言って、他の寮にも配る手作りの名簿の巻末ページに印刷して回覧していて、何やら、色々とすごいなァと思った。

 当時、電話番はとても重要な仕事で、細かいシフト表のようなものを作る委員(確かlabor みたいな名前の委員!日本語では「労務」・・・だったと思う)がいて、そのシフト表に基づいて、交代で、行う。サボってしまうと、ペナルティとして、サボった時間の倍やらないといけない、というような仕組みだった。サボりすぎたせいで、一生かかっても返せないペナルティ時間が溜まっている、というような猛者もいた。

一生・・・。

 しかも、パソコンを使う習慣もなかったので、そのシフト表は、紙にペンで線を引いて作っていたような気がする。


 そんな中で、寮に住む友人たちの多くが頭を悩ませていたのが、かなり頻繁にかかってくる、変質者からの電話であった。


 私は幸か不幸か一度もその電話をとったことがなかったのだが、10歳以上若い世代にも、トラウマになるほどに、割と最近まで、ずっとかかってきていたのか、と衝撃を受けると同時に、ある思い出が蘇ってきた。 


 自分は集団を取りまとめたりすることが苦手、という自意識を強く持っているので、誰かに注意をする、というようなことが、どうにもできない。自分もうっかりしているので、ルールを守れと強く言うこともできない。怒られることも多いので、ルールを守れない人の気持ちに寄り添いすぎてしまい、誰かを怒ったりすることが、できないのであった。

 そんな自分が、珍しく、真剣に後輩に注意をしたことがあった。

 変質者から電話がかかってくると、ノリノリで、すっかり、話し込んでしまう後輩が、2人もいた時期があったのだ。

 彼女たちが変質者と楽しく、わきあいあいと話し込んでしまうために、変質者からの電話が、毎日のようにかかってくるようになったのだった。やり取りの詳細は何やら恐ろしくて、まったく聞いていなかったが、長時間にわたって、何やら変質者と意気投合してすっかり盛り上がってしまっている(!)のだった。

 しかも、2人体制。

 これは本当にまずい、と思ったので、ある時、彼女たちを一人ずつ呼び出して、真剣に、注意をした。上下関係の部活経験は皆無だったのに、地元の公立中学校を思い出して、後ろ手に鍵を閉める感じで真剣に話した(部屋に、鍵はついていなかったけど)。

「頼むから・・・変質者と仲良くならないで・・・!
 寮に、ずっと電話が来てしまうから!」

 誰かに注意をすることが苦手な自分が、珍しく、真剣に誰かに注意をした出来事であったが、その後、10年以上にも渡り、電話が来ていたことを知ると、当時の後輩たちの行動に、責任を感じると同時に、固定番号を誰も知らないほどに、スマホが普及してよかったと思ったのであった。

 変質者は、今頃、どうしているのだろうか。かけ続けていた電話をやめたのは、機種変をして、番号が、分からなくなったのだろうか。そんなことも、気になるのだった。

 あの頃は、どうやって注意をしようか、などと真剣に悩んでいたが、今、思い出すと、「なんだこの思い出は・・・」と、自転車に乗りながら一人で笑ってしまったのだった。

 以上です。

 

 

 

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