ホイップクリームの今世への未練のなさがすごい【4/2】
ふわふわっとしたホイップクリームがとても好きだ。うず高く盛られたクリームを見ると、脳のなかでなにか(興奮するとでるやつ、たぶんドーパミン)がぶちあがって祭りが起こる。だけどその祭りはとてもはかない。
ホイップクリームは口にした途端から、ゆるゆる溶け出していき、終わりに向かって疾走していく。スピードがはやすぎて全然追いつかない。
打ち上げ花火や線香花火だって、もうちょっと余韻がある。
ホイップクリームは、なぜそんなにも今世に未練がないのだろう。さすが、見た目の方向性が雲に近いだけのことはある。あんなにカロリーあるくせに消え際の潔さがはんぱなくて、太く短く生きるってつまり、こういうことなのではと思う。細く長く生きたいわたしとは真逆だ。
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おもえば、ホイップクリームに対して「もうたくさんです」とギブアップした経験はない。いつも足りてない。パンケーキよりもずっと容量がありそうな、山岳ようなホイップクリームがのっかった「Eggs 'n Things」のパンケーキですら、たしか、もう無理!ってふうにはならなかった。
あのクリームはきっと、大量に盛るだけのことはあって、ちゃんと完食できるくらいの軽さに調整がされているのだと思う。でも、それにしても、自分の年齢など、もろもろの条件をふまえると、予定よりもだいぶあっさりと消えてしまった印象だ。「Eggs 'n Things」で満たせなかったホイップクリームへの思いはどこで満たせばいいのか、ときどきわからなくなる。
たぶん自分ちでホイップクリームをつくればいい話な気がするのだが。
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今日はスタバのアメリカンワッフルにホイップクリームをトッピングしてもらった。ワッフルの端にちまっと載せてもらった程度だったので、ホイップファンとしては物足りなさがあったが、トッピングにかかったのは30円(税抜)だった。けっして悪くはない値段である。
つまり次回からは、その何倍かのホイップをかけてもらえばすむのではないのか。自分をねぎらいたい日にはスタバに行けばいいのだ。
スタバはいつのまにか「日本中いたるところにあるお店」になった。この前調べてみたら、日本でいちばん多いコーヒーチェーンって今はもうスタバなのだという。(ちなみに3位はコメダ。コメダも増えた)
18歳のころにはじめて見たスタバは、シアトルからやってきた、それはそれは特別なもので、飲む人を特別にしてくれるような気配があった。あのころはまだ、ほんの都心部にしかスタバはなく、スタバのある街で暮らしていることが一種のステータスになる空気すらあった。
でも、私はいまのスタバのほうが断然好きだ。2杯目の本日のコーヒーが安いし、Wi-Fiが飛んでいるし、コンセントがある店舗が多い。椅子もまあ、そこそこ座りやすい。あらゆる街に、ごく自然に存在しているから、はじめての街でも探しやすい。
安心を買うようなつもりで、スタバに滞在することがたまにある。そんなスタバで、ホイップのトッピングができるのだ。
自分にほうびを与える機会を積極的に作っていかねばなるまい。
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