先輩

最近パニック発作を起こす度に先輩のことを思い出す。

先輩は一学年上で僕と部活が同じだった。吹奏楽部の打楽器。

第一印象はオドオドしていて覇気がないというか同級生にすらペコペコしているような頼りない人、という感じだった。

上級生が抜けるまではそこまで接点がなかったものの、パートが同じだということで密に接することとなる。

当時、僕は学校に居場所をなくし、部活にも適応できずにひねくれてた目線で部活に当たっていた。

おまけにアンサンブルコンクール(パートごとのコンクール)で、メンバーから落ちてしまっていたので、もはや退部しようとまで思っていた。

来年に向けたコンクールの練習や基礎練習もあるのに、ろくすっぽ参加せず個人練習と言い訳して、校内の空いたスペースで漫画を読んだり、友達とふざけたりしている生活を送っていた。(一応部活には行ってた。中途半端に偉い。)

思い出す先輩はそんな時に自分の練習があるのに探しに来てくれたり、練習しよーと、か細い声で優しい声をかけてくれて、実に素晴らしい人だったのだ。

僕は実に最低な人間だったので先輩に対して生意気な口をきいたり、態度を悪くしたりと自分が逆の立場ならブチ切れ案件の行いをしていた。

そんな時でも困り果てながら優しく話を聞いてくれた先輩。

そんな横暴な態度をとっていたのに、親同士が会話した時に先輩の家庭では「演奏上手だし、素直で良い子だよ〜」と、言ってくれていたみたいでびっくりした。

演奏になると普段のオドオドした姿とは一変してめちゃめちゃかっこよくなる先輩。尊敬していた。

そんな先輩が亡くなったと聞いたのは中学校3年生の秋頃だった。

部活のメンバーはお通夜に参列することとなったが、3年生の時点では学校に行かず引きこもっていたので行かないことを選択した。

僕は未だにそれを後悔している。

生きているうちに謝ればよかったな。生きているうちにお礼を言いたかったな。

最後にお礼を言いたかったな。最後に謝りたかったな。

現状の僕は、先輩が生きたかったはずの人生を無駄に消費してしまっている。

自暴自棄になって、死にたい死にたくない怖いと嘆き、行動もせず、欲ばかり募る毎日。

先輩が見たらどう思うんだろうか。のうのうと生きやがってと思うかな。

それとも応援してくれるかな。

どっちなんだろ。先輩、またお話したいです。