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「ひょうひょう」ができるまで その18

2018年1月7日
三根かよこさんから前に送った「まえがき」と「あとがき」の文章についてのメールが届く。
一言でいうなら「少し真面目すぎるかも」というものだった。
少し文章の締め方などを変えてみては、というアドバイスが届く。
あと、まえがきとあとがきを合体させてまえがきの部分に何かしらこれからの物語を予感させるような言葉を引用して載せるのはどうでしょうか、という提案があった。
海外の翻訳本などではこの手法がよく使われる、とのこと。たしかに見たことが結構ある。映画などでも見たことがある。
ここの文章で何かいい予感を読者に感じさせる言葉を入れるという提案だった。

文章が少し真面目すぎるかもという指摘はとても意外だった。そういうものか、と思い提案を受けてあとがきとまえがきを合体させた文章を作成して、引用する言葉を探すことにした。
締め切りは1週間。

その日のうちに文章を合体させて余計なところを削ったり言葉を少し変えたりして作成した。
引用する言葉をどうするか迷って色々本棚を漁ったりした。作品全体を予感させるような言葉でなおかつ自分にとって好きな言葉を選びたいと思った。
よく読む本や画集をばらばらとめくって眺めて、をしばらくの間本棚の前で何度も繰り返してた。
その時一冊の本の中の詩が目にとまった。
北原白秋・訳、鈴木康司・絵の「まざあ・ぐうす」という本だった。

この本は私が幼い頃に父が買った本で、小学生の頃などは繰り返し読んでて暗記していたのもいくつかあった。
幼少期は鈴木康司(現・スズキコージ)の絵がとても怖くてファンタジーなのにどこか泥臭くて不気味で「怖いけどなんか見てしまう」という惹かれ方をしていてそれは今考えれば本当に絵が魅力的で強かったのだと思う。
それと共に北原白秋の訳が本当に面白くて、原文をそのまま訳すのではなく原文の持つリズムをものすごく大事にした訳し方をしていて変な言葉を駆使したその文体は口ずさむととても気持ちよくて何度も何度も反芻してた。

その本の中の「お月夜」という詩を久しぶりに読んだらその変な世界観が今の自分の創作にかなりの影響を与えてることに気がついて迷わずその詩を選んだ。
この詩は特に好きで何回も繰り返して読んだ。

ちなみにこの北原白秋訳のまざあぐうすは現在青空文庫で読めますので興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。

スズキコージさんのイラストはないですが。https://www.aozora.gr.jp/cards/001529/files/546_21324.html

1月8日
アタシ社で打診していたスチャダラパーの
Boseさんの事務所から連絡がきた。
返事は来週、とのこと。
やはり芸能人はとても忙しいのだな、と思う。ドキドキした。
(続く

#エッセイ #ひょうひょうメイキング
#漫画

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