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「ひょうひょう」ができるまで その27

2019年3月12日
朝、ミネシンゴさんより着信。
単行本の製版のことでトラブルがあったとのこと。
今回の単行本の紙(名称は忘れたが)は金属のような質感の紙で、アルミの表面のような見た目だ。本当にすごく反射するし、この紙によくインクを乗せて細かい絵が再現できるな、と驚いた。
その紙の表面には無数の細かい筋が引かれている。その筋があることでさらに金属っぽい質感を出している。

最初色校で確認した段階ではこの筋は横に引かれてた。画面の絵の構図に対して横に筋が走ってるのは地平線のような感じもしていいな、と思って見てた。
が、製版で背表紙のために「折る」工程が入るとこの横に筋が入ってることはかなり印刷上困難を生じるらしく製版所の判断で縦にすることになったらしい。

こんな感じ

この件でミネシンゴさんと製版所はかなり衝突して双方の話し合いになったという報告だった。
結局のところ横筋での製本は技術的にやはり困難らしく、単行本では縦筋になるとのことだった。
電話で報告を聞きながら色校を見ながら「そうか…」と思った。
横筋でなくなったのは残念だが、専門家に無理と言われてしまうとやはりどうしようもないなという気持ちもあり、まあ縦筋は縦筋なりの良さがきっと出ると願いたいですね、という話をして電話を切った。
残念ではあったけど、表紙の絵はいいものが描けたという自信があるし縦だの横だので絵がブレることはない、と自分を鼓舞して気を取り直した。
新しい漫画も描いてたし落ち込んでる場合ではない。

3月13日
ミネシンゴさんから着信。
単行本刊行にあわせて表参道の青山ブックセンターで特集コーナーを作ってくれてフェアをやりたいという申し出が来たので一緒に書店に挨拶に行きませんか、というお誘いだった。あんな大型書店からそんな申し出が来たことにすごく驚いた。非常にありがたい話なのでもちろん行きます、とのことで行くことになった。
今回の単行本刊行のフェアのための原価展示の打ち合わせを3月15日の17時からブックギャラリーポポタムで行う手はずだったが、その前に青山ブックセンターにミネシンゴさんと待ち合わせて一緒に行くことになった。
その時には単行本もアタシ社に納品されて初めて現物を手に取って見れる、とワクワクした気分になった。
(続く

#エッセイ #ひょうひょうメイキング
#漫画

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