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Picture of the day

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日々の写真。
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2018年5月の記事一覧

ホームレスのたっちゃん

どういう経緯でたっちゃんと知り合ったのかは、今はもう覚えていない。10年くらい前の話。当時まだ早稲田の学生だったからもっと古い話かもしれない。学生会館からほど近い、戸山ハイツを写真に収めようと足繁く通っていた。僕が衝撃を受けた奈良原一高の人間の土地の舞台である軍艦島もそうだが、狭いエリアにコミュニティが形成されている地区というものに魅力を感じていたのだ。 たっちゃんは本名だったのか今となっては推測することしかできないが、戸山ハイツの近くにテントを張って暮らしていた。戸山

Picture of a Day #378901

蘇る感覚 - あの時は写真家だった

今日はたくさん歩いたせいか、懐かしい記憶が蘇ってきた。 高校一年生くらいの時だったと思う。たまに予備校をさぼっては、名前も分からない街を一人彷徨っていた、ひたすら目的もなく。当時は写真もやっていなかったので、ただただ歩くのみである。目的もなく歩いているうちに、自分がどこにいるのかさえ分からなくなり、ゲームセンターで所持金の大半を使ってしまい、残ったのは缶ジュースが買える100円だけがポケットに入っている事もしばしだった。昼間ならともかく、夜の街というのは一回迷ってしまうとス

Picture of the Day #8172-sDu

隆起するアートの存在、作家の主体性

作家の主体性というものは時代とともにどう変化しているのだろう。写真の業種によってはカメラマンの主体性を消す事に意義がある場合もあるが、アート作品としての作品について言及するのであれば、唯一無二の自分らしさをどう出すかが非常に重要なポイントであることは間違いない。簡単に言えば、既存の写真に無い新しい要素である。 いい写真であるが、どこそこで見た事ある既視感を覚えるものは写真史の中では価値を持たない。決してエポックなものが良いという訳ではなく、時代性に基づく相対性価値をどれだけ

Picture of the Day #978

雑感バーグ

代官山を意図して訪れたのはハービーさんの「代官山17番地」に感銘を受け、その残り香が少しでも残っていないかと居ても立っても居られなくなり飛んで行った1999年の夏だったと思う。今ならストリートビューを見ればすむ話だけど、当時は駅についた段階でも外壁の一部くらいは残っていると思っていた。 ただアパート取り壊しから数年しか経っていないのに痕跡どころか、その場所は同潤会アパートなど無かったかのように上書きされ、17番地を示す標識が虚しくあるだけだった。