『ブレードランナー』

恥ずかしなら今更ながら言わずと知れたSFの金字塔『ブレードランナー』を観た。ハリソン・フォード主演で1982年に公開されたSFの古典的作品だ。
舞台装置にアメリカ人が考えたアジアが爆発していて、突っ込みどころが満載だったんだけど、想像以上に面白かった。

簡単に粗筋を書いておく。発達した科学技術は,遺伝子操作によりレプリカントと呼ばれる人造人間を生み出した。レプリカントは,製造から数年で感情を持つほに精巧に作られており,知能と体力においては,人間よりも優れていた。そのため,レプリカントが人間に反抗することを恐れた開発社のタイレル社は,レプリカントの寿命を4年に定めた。レプリカントは,地球外で過酷な労働に従事させらており,地球に戻ることは許されていない。
 主人公であるデッカード(ハリソン・フォード)は,他の惑星で反乱を起こし地球にやってきたレプリカントを殺すよう指令を受ける。すでに一線から退いていたデッカードは,いやいやながら地球にやってきたレプリカント4人を始末していく。これが大まかなストーリーとなる。


あらすじだけ見るとレプリカントは非道なサイボーグに思えるのだけど、人間よりも人間らしい感情を備えていることがこの映画の特徴だと思う。レプリカントのリーダー,ロイが要求するのは,寿命を延長することである。彼は,延命の見込みがないことを知り,レプリカントの開発者であるタイレル博士とJ・Fセバスチャンを殺すが,非人道的な仕打ちに対する抑えがたい怒りからなされているように見える。


なんだか,強制労働を強いられ感情を持つことを許されず,死期さえ定められた存在であるレプリカントの方に,共感してしまった。デッカードは,自分が記憶を植え付けられたレプリカントであることを知り深く悲しむレイチェルに恋するが,その場面は感情や愛こそが人間を人間たらしめることを改めて教えられる。そして,感情を持つレプリカントに強制労働を強いる人間や,デッカードに容赦なくレプリカントを殺すように命じるタイレル博士の方がよほど人間性を欠いているように思われる。科学技術が進歩することにより損なわれる人間性にも描写されていて、思った以上に見ごたえのある映画だった。 

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