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子どもに教えるトイレの使い方

浜松市で音楽教室をやっています。

リトミックや歌など、グループレッスンがたくさんあるので、わたしの教室は、幅広い年齢の子どもが1日に多くトイレを利用します。

子どもがトイレを使った後を見ると、本当にさまざま。スリッパやふた、トイレットペーパーなどをどのように使うか。そして、誰がどのように使っているのか不明です。

わたしも息子たちにトイレの使い方を教えてきましたが、全然、身につきませんでした。自分で掃除させても、でした。ふた開けっ放し、スリッパはこちらを向いて脱がれており、トイレットペーパーは引きちぎったようになっており、手は洗ったのかどうか。

がんばったけれどもごめんなさい、世間のみなさま、恥ずかしい息子が社会に出てしまいます、あとは自分が恥をかいて、「そういえば母ちゃんがうるさく言っとったな」と自覚するのを待つしかなくなってしまいました。

教室のトイレの使い方を見て、自分の子どもがいったい、よそでどんな風にトイレを使っているのやら、手は洗っているのやら、心配な保護者様もいっぱいいると思います。(ほんっと〜に、子どもたち、手を洗わないんです!!)

そんなとき、受講している性教育の講座でトイレの使い方について書かれた絵本を見ました。

そこで思ったんです、なんだ、そっか、うちで教えればいいんだ!って。なぜ今まで思いつかなかったんだろう。「よそのおうちに行ったらこうするのよ」って、よそであるミューレで教えた方が、おうちで言われるよりずっと効き目があるじゃん、友だちと一緒に聞く方が絶対いいじゃん、って。

それで、教えたのは以下のことです。これが全部正しい方法ってわけじゃなくて、わたしの教室ではこう使って欲しい、ってことです。

2021/12/13
・男児の皮を引いたあとに戻すこと
・自動洗浄の落とし穴!
・「いいですか?」って聞かない
・子どもへの話し方ムービー
・中高生に教えるトイレの使い方
を追加しました。

トイレに行くタイミング

幼稚園児までは、「おしっこやうんちに行きたくなったら言ってね」と教えました。

「黙って出ていくと、道路に出ちゃっても気づかないかもしれなくて危ないから、必ず先生に教えて」と。まずは「言える」ということから始めようと思ったからです。恥ずかしいことじゃないし、とても大切なことだし、ここは安心していい場所だ、って。

小学生には、「トイレに行っていいですか」と聞かないように教えました。これは、トイレのしつけというより、生き方の問題です。

小学生になり(もしかしたら大人も)、タイミングやマナーについて知っているけど、うっかり忘れて、どうしても我慢できなくなることもあります。本来ならば行ける時に行っておくのがマナーだけれど、授業中、講義中に途中退席するのはやっぱり失礼なことです。

本当に簡単に「〜していいですか?」と聞いて、「いい」と言われたら、何かそれで許されたような気持ちになることが多いと思います。それを繰り返していると、自分で自分の行動や生き方について考えなくなってしまう。

それで、「いいですか」って聞かれたら「先生はダメと答えるよ」と教えました。ダメでも行くんだから、自分の行動として「失礼ですが、トイレに行かせていただきます」と宣言することが大事だと思うのです。

次に、年中と年長児には、「音楽の途中で言わないで」と教えました。こんな風に。

「たとえば先生がみんなにお歌を聞かせてあげようとしているとします。

♪き〜よし〜こ〜のよる〜 (わぁ、素敵な歌だな)
ほ〜しは〜 (うっとり・・・)

「せんせぇ〜〜〜〜、おしっこーーー!!!」

これってどう?」

それが「タイミング」というものだよ、と伝えました。

小学生には、「休憩中に行っておく」ということを教えました。理想的には、小学校に入ったら休憩時間の間に行っておかなくてはいけないのだと思います。でも、低学年だと、まだまだ途中で行く子はいます。少し長いレッスンだとお漏らしする子もいます。だから、「絶対」じゃなくて「そろそろ気をつけよう」と。「マナー」という言葉も教えました。

飛ばしちゃったら・・・?

子どものトイレのあと、1〜2滴、便座にぽちょんと水滴(おしっこ)が付いていることがあります。派手に飛び散っていることもあります。

そこで、まずはねらいを定める方法を教えました。先述した絵本に、とても分かりやすく載っています。特に男の子。「おちんちん」や「ペニス」という言葉を使っても、きちんと学んだ子はスッと聞くことができます。

後から、詳しい保護者様が教えてくれた情報も加え、男の子にはこのように教えます。

「おちんちんを持って皮を自分の方へ引く。おちんちんの裏におしっこが通るホースがあって、抑えるとピューッと飛んじゃうから、裏は抑えない。最後のしずくが落ちたら、パンツを履く」

分かりやすい!!!わたしが育てているときはこんな風に言えばいいって知らなかったです。

追記:その後、「包皮を戻す」ことを加えて教えてください。包皮を戻さないと、ペニスが浮腫んで首を占める様な状態、嵌頓包茎様になって、締め付けられることが起こってしまうそうです。

それから大事なこと。

「ポチョン、って落ちちゃうことはよくあるの。おしっこってね、出たときは汚くないのね。それで1滴くらいだったら透明だから、もしかしたら気づいても「バレないか、いいかー」って思っちゃうかもしれない。でも、時間が経つと黄色くなって、臭くなって、こびりついて、掃除がすごく大変になっちゃうのね。
だから、お願い。飛んじゃってもいいから、拭いて!その場で拭いてくれたら、本当に助かるの。
でね、もし、自分では拭けないくらい、とんでもなく困ったことが起きたら、黙って出るんじゃなくて、先生たちに教えて。その方がずっと助かるから。今まで、そういうこと何度も何度もあるから。自分だけじゃないから大丈夫。とにかく教えて」

トイレットペーパーの使い方

「巻いて取る」ということを教えました。たぶん3〜4くらいだと思うけど、何巻するのが自分にちょうどいいか、おうちで数えてごらん。そうすれば、よそでどのくらい使ったらいいか分かるから、って。

ちぎるときは、ペーパーホルダーのふたを抑えて切る。次の人が使うところを触らない方がいいから、三角に折らなくていい。

女の子のおしっこのときは、性器に当てて、ゆっくり5を数える。そっとていねいに触れるところだから、ゴシゴシしない。

うんちのときは、男の子も女の子もうしろから拭くこと。

これは、小学生でも「大便がおしっこの穴に入ると病気になっちゃうから」と教えたら、へぇ、と言っている子がけっこういました。

それから、もうひとつ大切なことがあります。それは、自分が使って最後だったら、次のペーパーを入れておくことです。同時に、「あとほんの少しで、次の人が使えないほどしかなかったら、全部使って、替えることがマナーです」ということ。「ほんの少し残して黙って出る」って、大人でもいますよね。

このとき、「うちではね、手が届くところにないから、お母さんが替えるの」って言った子がいました。

そこでわたしは、「それは、届くところにひとつでいいから置いておいてって頼みなさい。やったことがなければ、外でもできなくなっちゃうから、自分のために、練習するんだよ」と伝えました。もし、これを読んでいて、ペーパー替えを全部、親がやっていらっしゃったら、一巻、子どもが届くところに置いておいてあげてください。

ふたを閉める

コロナ禍になってから、ふたを閉めて流すということが子どもの中にも定着したようで、ほとんどの子どもは知っていました。

ふたを閉めて流さないと菌が飛び散る、という説があります。今後、それが正しいのかどうか、そこまで気にしなくていいのか、変わるかもしれませんが、今は「ふたを閉めて流す」というように教えました。

男児も女児も、ふたを閉めて出るように教えておけば、次に入る人が気持ちよく使えます。

「家庭のトイレが自動洗浄なので、よそのおうちに行ったときに流すのを忘れてしまう」という声がありました。なるほど!それは落とし穴ですね。

子どもに排泄のしつけができるまでは、ぜひ、自動洗浄をオフにしてください。

スリッパをそろえる

スリッパは、スーパーや病院だとなかなか使わないから、よそのお宅でどうしたらいいか、なかなか教える機会がないかもしれません。

衛生面から、スリッパはトイレ用のを履いて、その場で脱いで来て欲しいんですけど、脱ぐときに、次の人が使うということを考えて脱ぐということがなかなかできません。中学生くらいまでそうかも・・・。

なので、これは実際にやって見せます。

手を洗う

自分は「洗わない」という考えがなかったから、こんなにも子どもは手を洗わないのか!と驚愕しております。よく気持ち悪くないな〜。

おうちでは動線が仕上がっているから洗うのかもしれませんね。「外でトイレを使ったら石鹸で手を洗うのよ」ということは教えていこうと思いましたが、口で言うだけじゃなくて、習慣になるように、その都度声をかけることにしました。

コロナ禍で、「教室に来たら手を洗う」ということはすっかり習慣化しました。でも、最初の頃は忘れる子がたくさんいたから、レッスン前はいつも声をかけていました。習慣になるまで、声をかけ続けようと思います。うちの教室でだけ洗うようになっても意味がないから、「よそのおうちでも、外でも洗うんだよ」ということはしつこくしつこく教えるつもりです。

生理用品の処理方法

こうして教えることになってふと思ったのですが、自分自身、「よそのおうちに行ったとき、生理用品をどう処分するか」って、誰にも教わらず、独自のやり方をしていたなと気づきました。

わたしの教室では、サニタリーボックスは置かずに、オムツも生理用品も、持ち帰り用の袋を置いています。

改めて調べてみたら、ジップ付きの持ち帰り専用袋が出ているんですね。

性教育の先生に、ポーチの中に「生理用品、サニタリーパンツ(替え)、袋」を入れておくように教えると良いと教えてもらったので、そのように伝えました。

小1から、簡単に「生理になったらこうするのよ」と教えたところ、ほぼ全員が生理については知っていたし、昭和時代のようにクスクスする男子はひとりもいませんでした。時代は変わったんだなと実感しました。

子どもへの話し方ムービー

実際に子どもに話して聞かせたときの動画を公開します。話し方の参考になさってください。年齢によって、伝え方は変えています。年少、年中親子のムービーは、カメラの目の前に子どもがドアップで映ってしまっていたので、音声のみです。

概要欄に、年齢ごとのチャプターを入れてあります。

再生速度を2倍にしても聞き取りやすいので、ぜひ、全年齢のを聞いてみてください。話を聞いた時の年齢ごとの子どもたちの変化が分かります。

中高生へ話すこと

高学年〜中高生にも同じようにお話しました。その上で、以下のことも追加しました。

まず、「小児科は何歳まで行っていいか知ってる?」と聞きました。「小2?」とオヤジギャグみたいなことを言った子がいて、大笑い。ほとんどの子が知りませんでした。

小児科は、中学生になっても行ってよいんだよ、と教えました。びっくりしていました。それだけ、「小さい子が行くところ」という印象があるんですね。子どもと大人は体の作りだけではなく、心も違うから、子どものことをよく知っているお医者さんにかかることはとても大事なことです。

最近では、「成人まで見守る」と宣言されています。

わたし個人としては、高校生くらいから「泌尿器科」や「婦人科」に親といっしょにかかっておくのも良いのではないかと思い、そのように伝えました。

ひとりで悩まずに、親、親に言いづらかったら先生でもいいから、大人に相談するといいということ。婦人科や泌尿器科には先生も何度も行ったことがあって、体全部を大切に診てくれるから、気軽に通っておくといいということ。

性器のこと、生理や精通のことなど、「自分だけがおかしいんじゃないか」と人知れず悩んでいる子はたくさんいると思います。深刻じゃなくても、どんどん相談のために病院に行っていいんだということを教えてから自立させると、子どもも安心するんじゃないかと思います。

*   *   *

待合室にいた保護者様も誘って、話を聞いてもらいました。「今日、こう聞いたよね」って言いながら、おうちでも確認するといいなと思って。年少さん(3歳児)くらいまでは、もう1人でできるとはいえ、親も一緒に行ってもらうことにしました。やり方を教えてもらうためです。「よそのおうちではこうするのよ」という練習を、うちの教室でやったらいいと思いました。

保護者様からこんなメールをいただきました。

昨日、トイレの使い方のお話ありがとうございました。
さっそく家で実践していました。
私は、性にまつわることって全く教えてもらわずにきたなぁーと思いました。知らなかったこと、勘違いしていたこと沢山あります。
勉強して、正しい知識を子どもたちに伝えていきたいと思いました。

わたしも「全く」と言っていいほど教わりませんでした。音楽教室でトイレのことを教える必要はないんですけど、学校とも家ともショッピングセンターともよそのお宅とも違う、教室で教えるってことが少し助けになったらいいなと思いました。

それに、各ご家庭のしつけのせいにだけして、文句を言うよりも、協力して教える方がお互いにずっと気分がいいと思います。


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