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聞く姿勢

2005年4月の教室のおたよりです。発表会に参加する姿勢などについて書いてあります。

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本年度も一年間、お世話になりました。

レッスンに対するご理解、ご協力どうもありがとうございました。来年度もどうぞよろしくお願いします。本年度は、私自身の「リトミック」や「音楽教育」の考えが大きく変わった年でした。

前年度は、どの子にもそれぞれの成長が見られたこと、それをお母さん方にわかってもらえたことがとても嬉しかったです。

今年は、思い起こしてみると、お母さん方から、長男、次男、そして三男に、お菓子やお野菜、くだもの、お花など身近な贈り物をいただいたこと、おたよりの感想や子ども達への身近な言葉かけがとても嬉しかったです。うまく言えないのですが、私のことをとても親しく思ってくださっていて、ふと「これをあげよう。」と思ってくださること、それも私に対する心付けよりも家族のことを思ってくださったことが、何の他意もなく心から、三男、長男や次男を思いやってくださっているんだなぁ、と思ったのです。

きっと、ご自分のお子さんをレッスンで私が見ている間、同じような年齢もしくはもっと下の長男と次男が保育園にいることを思いやってくださったと思うのです。私だったら、そんな風に思えたかしら、もっともっと自分勝手に「うちの子をちゃんと見てくださいよ!」という姿勢になったのじゃないかしら、と頭が下がる思いです。優しいお気持ちに、本当に感謝しています。

 3月6日のリトミック発表会では、多くの方々から感想をいただきました。参加人数の多さ(48名)に対して、大きなトラブルもなく終えることができたのも、保護者の方々のご協力のおかげととても感謝しています。あいにく出席できなかった方は3名でした。その子にとってはその年齢でたった一度の発表会ですので、出席できないと「かなりヘコむ。」という話をよく聞きます。もし出演できていたら、たくましくやってくれたことでしょうね。

 前回の発表会に比べて、子供たちやお母さんたちの考えや態度が「1学年上がった」という印象を受けました。どういうことかというと、2歳児の様子が3歳児に、1歳児の様子が2歳児に、それぞれ1学年上の子のように振る舞っていたということです。

2歳児、年少児は、ぐずったり機嫌が悪くなったりして当日参加しないかも、まぁそれはそれで・・・と思っていたのですが、実際は年少児はまったく問題なし、2歳児さんもほとんどの子はほぼいつも通りでした。ソロの歌も、スタッフからも「あんなに全員がちゃんと声を出していて、小学生の発表会より歌の完成度が高かった。」という声が出ていました。

 「みんなの前で緊張して声が出せない」、「ぐずって参加できない」というのは、年齢的に無理もないことで、ちっとも駄目なことではありません。ごく一般的な子です。でも、結果として割合ちゃんと発表できる子が多かったということは、「一人で考えを表現する」ことに日頃から慣れているからかなぁ、と思いました。

また、「幼稚園の発表会よりよくやっていた。」というのも、リトミックはその場で考えて、その場で動く、という「即興性」が大切なので、「覚えたことをその通り再現する」演目よりも、実は集中力と実行力が要るのかもしれないなと思いました。

 全体的な、いわゆる「出来」が、本来よりも1学年上の状態だったと思います。予想以上に「とってもよくできた」ということです。その中で、その子の1年間を振り返り、「成長しているかどうか」という点で見ていただければ、と思います。

 次回の課題としては、ぜひ「お友達の発表を見る、聴く」ということを頭に置いておいてください。

リトミックでは、「注意深く聴く」ということをたくさんたくさん経験しています。よほど「お腹が空いた」とか「眠い」ということがない限りは、2時間発表を見ることは無理ではないと思います。また、お腹が空いた場合は隅で何か食べる、眠い時はロビーへ上がって少し眠る、あまりにごそごそするときは外に出て気分転換する、などいろいろな対策が取れるような形式で発表会は行っています。

「じっと聴いているなんてとても無理」と思われた方が多かったようで、最後の5歳クラスの発表のときにはほとんどの方が帰られてしまい、とても残念でした。

 子供に聴かせるためには、まず、親の方が「最後まで聴く」という意志を最初からしっかり持つことが大切だと思います。演奏会や食事会などでは、「途中で席を立たない」というのがマナーです。基本的にはそれを守るというつもりで是非、参加していただきたいと思います。

もし、「出番が終わったら帰ろう」と最初から思ってしまっていたら、子供達は「出番が終わったら帰って良い」と思ってしまうでしょう。

 ご自分のお子さんが出演されるわけではないのに見に来てくださった方の中には、0歳、1歳代の赤ちゃんを連れた方、子供を複数連れた方も何人かいらっしゃいました。「子供が見るなら見よう」という姿勢ではなく、はじまる前から「最後まで見よう」と思って、2時間耐えられるように準備をされたのだと思います。

また、講師演奏もお母さんが意識して「先生の影響を受けてくれたら」という姿勢で、「ちゃんと見るんですよ。」と言ってくださると、子供も意識して見るし、何か受け取ってくれることがあったようです。

 「そりゃあじっとしてくれるなら、聴かせたいのはやまやまなのに~。」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。私も、うちの子たちがじっとおりこうに2時間聴いてくれるような子だったら、どんなに安心かと思います。でも実際にはそうではありませんでした。

面倒を見てくれる人が誰もいなかったので、8時から準備中もずっと傍に置いておくよりありませんでした。レッスンに通ってきている保育園のお友達のお母さんや、スタッフが交代で見てくれましたので、大きな事件はありませんでしたが、途中、ちょろちょろと動き回ったり、お母さんのそばにやってきたり、場内を走り回ったり、それなりにお行儀悪く過ごしていました。

私は見ている暇がありませんでしたので、お友達のお母さん達がご自分の子も見ながら、うちの子もなるべく邪魔にならないようにと配慮してずっと見てくださったのだと思います。とても助かったのが、お母さん方が長男や次男に対して、「観客としてちゃんとしている」ということより、「お母さんが仕事の間、困らない程度にさせておく。」と、的確に判断してくれたことです。

 ですから、「じっとおりこうに見ましょう。」ということが言いたいのではないのです。

ごそごそしても、走り回っても、ぐずっても、それはそれでいいのです。放置しておくという意味ではなく、おりこうさんに聴ける子だけが聴いていいというわけではない、ということです。「何をどう教えたいか。」という親の姿勢をはっきりさせておくことで、子供の対応に迷いがなくなります。

その中で、やはり無理だったり、用事があったり、体調が悪かったりしてやむを得ず途中で退席することがあってもそれはかまわないのです。

要は、「仕方なく帰ることになったけれど、できれば最後まで聴きたかった。」という考えでいるかどうか、ということです。その姿勢が、「お友達の言うことを聞く。」「待つ。」「先生の言うことを聞く」ということにつながっていくのではないでしょうか。

 来年の発表会は、事前に「発表会は、自分が出なくても最後まで聴くこと」、「お友達の発表を邪魔しないように静かにすることが大切なこと」、「お友達も自分の発表を見て拍手してくれること」などをお話して、発表中に飽きたり騒いだりしたら、「お友達の発表を見てあげようね。」と教える会にしてみたいと思います。ぜひ、ご協力お願いします。

お子さんが最後に発表するクラスになったとき、最後まで残ってチビちゃんたちが見てくれていると、とても嬉しい気持ちになること、みんながざ~っと帰ってしまった後に発表するのはさみしいことがわかって頂けると思いますヨ。

 さて、来年のレッスンについて、リトミックのクラスは保護者会を開いています。すでに1回目は終わり、4月に2回目(1回目に来られなかった方)を行います。特に付き添いのなくなる年少児以上の方はご出席ください。1回目のときに、「保護者会をレッスンの時間にやった方が良いか、別な日を設けて出直した方が良いかお聞きしたところ、「別な日がいい」ということでしたので、来年度も発表会が終わったころに設けたいと思います。今年は幼稚園や学校の都合を聴く暇がなかったので申し訳なかったのですが、来年は早めに都合をお聞きするようにしますね。

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土日などは子どもを連れて仕事をするしかなく、保護者様たちに本当にお世話になったことを思い出します。

先生の子だからと気を使うこともなく、必要以上にビシビシすることもなく、本当に上手にバランスを取ってやり過ごせるように協力してくださいました。

小さい子の発表会って、自分の子だけ見て、さっと帰ることがあると思います。わたしの教室もかつてはそうでした。そうすると、最初のうちの演目はたくさんお客さんがいるけれど、最後の方のクラスはスカスカ・・・ということがありました。

2005年といえば、今から14年前ですね。

このような呼びかけをコツコツした結果、今では、みなさん、最初から最後まで、それはそれは楽しみに全作品を見てくださるようになりました。

また、保護者会は、最初はレッスンを1回つぶして行なっていました。レッスン時間なら必ずきてくださいますからね。

でも、今は、年に一度、別な日に昼と夜、2回行なっています。おそらく・・・、驚異の出席率だと思います。教室にぎっしりと人が集まります。

この発表会の姿勢、保護者会の姿勢があって、いい教室にならないはずはありません。わたしの教室がとても良い文化に恵まれているのは、保護者様の姿勢が、一般的なならいごととは全然違うからだと思い、とてもありがたいです。

本文にも書いてある通り、「発表会は最後まで聞くものです!なぜならそれがルールだからです!!」ということではありません。当然、やむを得ないこともありますよ。また、おとなしく聴ける子が良い子で、騒ぐ子がダメな子、という線引きをしたいわけでもありません。

それより何より、「親がどういう姿勢でいるのか」ということがとても大事なんです。それが文化を作り、じわじわと子どもに浸透していき、良質の教育が施されていきます。

親の姿勢が、全体の雰囲気、ムード、質を作ります。

最初はそんなことを思っていない方も、わたしが説くと、とても素直に聞いてくださるので、本当にありがたく、こんなにやりやすい教室はないと思っています。

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