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母たちが歌う!

7年前、発表会のときにママさんコーラスでの出演者を募集しました。

11名の応募があり、歌の練習はもちろん、衣装のお買い物、自主練習、ランチなどなど、どんどん楽しそうに仲良くなっていき、表情が明るくなり、当日は堂々とヒールを履いて歌い上げた姿が大評判となりました。「か〜ちゃんず」というダッサダサの名前を自らつけて、何ごとも笑い飛ばし、そんなお母さんたちの姿に子どもたちもとても幸せそうで、とっても思い出に残りました。

あれから7年。

令和になったことを記念して、「か〜ちゃんず令和」を結成しました!今回はグッと増え、全員で17名です。

スッピンだから嫌〜!とのことで、かなりボカしてます(笑)。

ママさんコーラスっていうと、きっと参加者さんたちは、まずは〜❤️自己紹介とかして〜♪、仲良くなって〜♪、なんてのを想像していたと思うんですけど、

「さっ、座ってる場合じゃないよ!5回しかないんだから、はい、まずストレッチするよ!!立って!」

奥さまが参加されているパパが、「帰ってきたら、想像と全然違った・・・、ついていける気がしない、なんて言ってます(笑)」と笑ってました。

7年前は、まだわたしも暇だったから、みんなの希望を聞いてレッスン時間を組んであげました。

でも、今回はわたしの時間が限られているため、18:45〜20:00にしました。曜日もまちまちになりました。子育てしていると、忙しい時間帯ですよね。

ところが、ほとんど全員参加!赤ちゃん連れの方もいるし、フルタイムで働く母もいます。幼稚園〜小学生の子はいっしょに来て、お弁当食べたりしてます。

「どうやって参加したの?」と聞いたら、

・(子どもの)お風呂も夕食も歯磨きも済ませて駆けつけた!
・昼の間に夕食作って出てきた
・コンビニでお弁当買って、教室で食べた
・同居の祖父母にお願いした
・主人に託してきた!
・パパも一緒に来た
・時間を見誤った!次回はもっと早く出なきゃ!

などなど、環境も習慣も違う中、それぞれに工夫して来てくれたことがわかりました。

いずれにしても、子どもの年齢も仕事の有無、同居の有無、何もかも違っても、17名のお母さんが18:45に集まりたい!って思ったら来れるんだ、と思いました。こんな時間に出るのが初めてで、「なんとかなるんだってことがわかった」という方もいらっしゃいました。

レッスンはスパルタで、「次回までにこれを覚えてきて」と音源を渡すと、みなさん、時間がないだろうに、真面目に練習してきて、真剣に取り組んでくれます。(子どもよりよっぽど)回を重ねるごとに上手になってきたし、みなさんの表情もどんどん良くなってきました。

一方で、最初は子どもがウロウロしていてもしょうがないか〜と始まったレッスンでしたが、回を重ねるごとに「あ、(中にいても)いいんだー」と思ってしまったようで、ほとんどの子がレッスン室内で過ごすようになってきました。だんだん慣れてきて、リラックスして普通に遊んでいます。

それで、あるとき、「外に出られる子どもは出して」、子どもたちにも「お外(待合室)で待てる子は出て」って言ったんだけど、全然ダメでした。

もちろん、子どもの心や性格を無視してはいけないんだけど、外に出て待っていられない理由がひとつもないのに、なんとなくいる。もしかして、と思って聞いてみました。「今まで、よそのおうちで子どもを預かってもらったことある?」って。小学生になった子でも、ほとんど「一度もない」という返事でした。みなさん、そうですか?!すっごくびっくりしました。

それで、子どもにとっても、預けられ慣れておいた方がいいよ、というお話をしました。よそのおうちで屈託無く「わ、美味しそう!いただきます!」って爽やかにペロリとご飯食べられる子はすごく得だよ、って。子ども同士で遊ぶ方が親といるより楽しい!やったー!あっちで遊んでくるね〜!ゆっくりしていいからね〜!ってしておくと、いざというとき(たとえば、母が急遽、入院しなくてはいけないとか)とても助かるし、それこそ「生きる力」だよ、って。

お母さんたちは、うんうんってうなづいていらっしゃいましたが、なかなか現実的には難しいんですってね、お友だちの家で預かってもらう、って。

わたしは人のうちの子どもを預かるのも大好きだったから、しょっちゅう預かって、ご飯も食べさせ、お風呂も入らせ、ただの子だくさん状態ってことが本当に何度も何度もありました。子どもたちも、その環境が大好きで、「今日は誰も来ない?」なんて言ってました。長男が入院したとき、1才の次男を友人宅に泊めてもらったこともあります。おばあちゃんがお風呂に入れてくれ、一緒に寝てくれ、その後も「しんちゃんは元気?」ってずーっと成長を楽しみにしてくれるようになりました。

何がネックになってるのかな。預かり、預けられ、という関係が築けると親も子もとても気が楽ですよね。

まぁ、でも、こうして、「親と離れて子どもを待たせておく」ということにすごく高いハードルがあるということがわかったので、その次のレッスンのときにはわたしが子どもたちに話をしました。

みなさん、ハーメルンの笛吹き男っていうおはなし、知ってますか?

あれみたいに、子どもたちがぞろぞろと外に出て行きました。わたしは、こんな風におはなししました。

今日、お母さんたちは何をしにここへ集まっているか知ってる?

そう、お歌を歌いに来ているの。しかも、楽しく歌うためじゃなくてね、たくさんのお客さんの前で歌うの。それが、今日寝て、明日寝て、その次にもう一回寝て、この日なの(指を使って日にちの感覚を示します)。もうすぐでしょう?今日が最後の練習なのね。

みんなは、"え〜ん!覚えてないよう!"って泣いたり、"恥ずかしい!"って顔をおおったりするママを見たい?それとも、堂々とかっこよく歌うママを見たい?

もし、かっこいいママを見たかったら、今日はママと先生たちのために、力を貸してくれないかな。待合室で遊んで待っていてくれると、たっぷりまじめに練習できて助かるんだけど。それに、子ども同士で遊ぶ方が絶対に楽しいと思わない?

年少さんから1年生までの子が、「うん、分かった!ママ、がんばって!!」と出て行きました。

その後、途中で入ろうとする子がいると、2年生や3年生の子が「大事なところだから、こっちにいよう」って連れ戻しに来てくれました。この子たちは、クワイヤという、5才から高校生までのクラスに所属しています。そこでは、お世話をされる側なのです。チョロチョロと走り回って、優しく「こっちで待っていようね」って言われる側なのです。

1年生のお母さんが、「先生、うちの子、最初は食べたあとのゴミをそのままにして遊んでいたのに、今日は自分で片付けていました」と感激していました。どの子も、体験の中で学び、成長しているんですね。

コツがあります。

・子どもをリスペクトすること
・子どもに分かるように、時間や空間を体感できるように説明すること
・役に立って欲しい、力になって欲しい、という言い方をすること(自己肯定感、自分の価値を感じることができ、子どもは頼まれることを誇りに思います)
・うちの子はきっと大丈夫と信じること
・子どもに選択肢を与え、暗にどう生きていくか選ばせること(誇りとプライドを信じて)

結果として、もし、「わーん!ママ〜!」と入ってきても、それはもうしょうがないですよ。だって、初めてだから1時間半待つということがどういうことか、体験してないんですから。やろうと思ったけども無理だった、というのはアリです。

実際には、子どもたちは「子ども同士で遊ぶ楽しさ」を体験し、すっかり帰りたくなくなってしまいました(笑)。

子どもだけじゃありません。もしかしたら、子どもたちを置いて、夜に出かけるなんて初めて!かもしれないお母さんたちも、終わってもずーっとしゃべってます。掃除機ロボかけるためにホールから追い出したら待合室でしゃべってます。鍵閉めて電気消しても、駐車場でまだしゃべってます(笑)。

よかったね。
わたしがいても、わたしなんか関係なく話せる友だちができて!

せっかくだから、子どもも親も、体験の機会にし、一歩ずつ、成長していけるといいですよね。お母さんも子どもも、「あれ、できるんだ!」って自信になったと思います。

お母さんたち、生き生きとしています。歌ったら悩みが解消!なんて、魔法みたいなことはないです。それに、プロみたいなすっばらしい歌じゃないですよ、もちろん。

これを読んでいるみなさんと同じように、日々、悩んだりつまづいたりしながら、えいやっ!とステージに立つことに決めた、ごくごく当たり前のお母さんたちが歌います。ぜひ、聴きにきてあげてください。

2019年8月9日(金)15:45開場、16:00開演
あいホール1階ホールにて
大人500円/園児以上200円/未就園児は無料

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