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Candy Foxx(元レペゼン地球)がインド国民の感情を逆撫でした件について思うこと

少し前の時事ネタになるが、元レペゼン地球のDJ社長率いるCandy FoxxがYou TubeでインドをネタにしたMVを出したことで、インドの人たちの国民感情を逆撫でし、大使館が謝罪するまで発展した事態があった。これは、単なる一過性の炎上商法には収まらず、今後の国際関係にも遺恨を残しそうである。詳しくはこの方のブログを参照してほしい。

文化の冒涜など様々なことが挙げられているが、やはり一番の原因はインドの宗教観について無知であり、それをからかうような表現をしたことが問題だったことに尽きる。

日本で暮らしているとクリスマスはキリスト教風、お正月は神道風、お葬式は仏教風と、おおくの日本人はあまり確固とした宗教観を持っていない。とりあえずまわりがやっているから、代々そうしてきたからなんとなくやっているというのがおおかたの感覚ではないだろうか。

しかし、海外においてはまったく事情が異なっているところも多く、こちらの記事の「自分の人生において宗教は大切だ」と答えるひとの比率を見ていただきたい。

日本はたったの15%に対して、インドは53%のひとがそう答えている。だからつい日本国内の感覚で他国の宗教についていじってしまうと、深刻な状況におちいってしまうのだ。この表を見ていただければわかるが、今後もCandy Foxxが海外で活動していくとなると、それぞれの国の宗教観も勉強しなくてはならない。リベラルだと思われているアメリカもなんと51%のひとがそう答えており、実際、食べる前には必ずお祈りをしたり、もっと保守的な地域だと女生徒が妊娠したというだけで退学処分を食らったりしている。アメリカを自由の国と気楽に考えているとまた痛い目にあう。

別にCandy Foxxが海外からどのような評価を受けようがぼくの人生にとってまったく関係ないことなので、それ自体はどうでもいいことなのだが、問題は日本人全体がそういうふうに思っていると諸外国から誤解されることが非常にはた迷惑なのである。

ゼロから叩き上げてきたDJ社長の生き様をぼくはとてもカッコいいと思っているが、この件に関しては非常に愚かしい行為としか思えなかった。

コロナ禍が収まったあと、また日本人がインドに旅行に行った時、このことを根に持っているインド人に暴行を受けるかもしれない。インドの会社と取引をしていた日本の会社が契約解消になるかもしれない。そう。Candy Foxxとはまったく無関係の日本人たちが、である。

日本でも韓国を嫌いな人たちがいるが、あれも政治のTOPのやり方や一部の韓国人を見て韓国全体を嫌ってしまっている。一部を見て全体だと思いこんでしまうのは人間の特性だ。だから、それと同じことがインドでも起きるだろう。これまで多くの日本人たちが築き上げてきたインドとの信頼関係が、たかだかこのようなことでぶち壊されるのはたまったもんじゃない。今回の件でわかったことは、影響力を持つ馬鹿はヤバいということだ。影響あるけど、コイツは馬鹿なことをしようとしていると思ったら、たとえ嫌われたとしてもイエスマンで取り巻きに徹するのではなく、きちんと意見を言おう。それこそ、今はオンラインサロンとかで直接影響力のあるひとに意見をいうことができるのだから。

ちなみに、たとえばぼくが、レゲエが好きなドレッドヘアの子に「ジャマイカに友達がいるなら連れて行ってくださいよ」と言われても断固断る。ドレッドヘアとはそもそもジャマイカのラスタファリ運動という宗教的思想運動をしているラスタ(それを信奉しているひと)たちの髪型で、なぜあのような髪型をするかというとラスタは身体に刃物を当てることを禁止しており、それは髪の毛も同じ扱いだから、長く伸びてきたら編み込んでなるべく短くしているのだ。

ぼくのジャマイカ人の友人アディもラスタだ。だから、当然ドレッドヘアで髪を編み込みまくっている。ある時、アディの彼女がもうちぎれそうなアディのひと房のドレッドをちぎったことがあった。ちぎれそうなのは見ててカッコ悪いからと思ったらしい。そしたらアディはとても怒って彼女とケンカになってしまった。彼女としては「もう半分以上ちぎれているんだから切ってもいいよね」という認識だったが、ラスタのアディとしては「自然と落ちるまで放っておかなければならない」という認識だった。これだけ親密な間柄でも宗教観というのはわかりにくいものなのだ。しかもラスタはベジタリアンで、ジャマイカに奴隷として連れてこられた黒人たちに、エチオピア帝国最後の皇帝、ハイレ・セラシエ1世がアフリカに戻ってこいというアフリカ回帰運動が元になっていて、セラシエ1世をメシア的に捉えている。だから黒人でもなく極東の東洋人が、単なるファッションとしてのドレッドヘアで現地で肉を食っていたら大変なことになる。これほどまでに現地の文化と宗教は密接な関係にあり、一長一短で理解できるものではない。ぼくも当然ながらジャマイカ人のラスタの友人がいて、ジャマイカで何週間も一緒に過ごしたことでようやくその一端をかいまみれたくらいなので、本当に外国の宗教観や文化を知るのは難しい。だから、おちょくるようなことはしてはいけない。かならずどの国の文化や宗教にも敬意を持って接していかなければいけない。とくに海外で活動しようとする人たちならばなおさらである。

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