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過去、織作亜樹良という名義でサイゾーでアニメコラムを書いてた真意について[前編]

noteの長い長いぼくのプロフィールの方で笑、サイゾーさんでこの名義でコラムを書いていたことは明かしてあるのだが、どういう意図でサイゾーというイエローメディアでコラムを担当したのか、その考えや信念を述べておこうと思った。なぜなら、あれから約6年経ったが、アニメ業界は相変わらず旧態依然とした構造のままだからだ。

2014年の春頃だっただろうか。サイゾー編集部さんよりコラム依頼のメールがあった。面白そうだなと思って、ホイホイとサイゾーさんの編集部を訪れた。担当者の方も気さくで話しやすいひとだったし、アニメ関連のコラムで尖ったことを書いて欲しいということで、ぼくも業界に居て「これはおかしい」と思っていることが多々あったので、喜んで仕事を受けることにした。

ただ、アニメ業界や声優さんの事務所からはサイゾーは睨まれていたというか嫌われていたので、公式の取材は当然NG、ライター名をそのまま出したらぼくも他媒体で公式の取材することができなくなる。だから、別名義として「織作亜樹良」というペンネームを作った。

名前の由来は「ねりな」と同様、好きなミステリー小説の中から取った。「織作」は京極夏彦氏の『絡新婦の理』に登場する織作碧から、「亜樹良」は森博嗣氏のVシリーズに登場する各務亜樹良から取った。織作碧は理屈っぽいガキということと、各務亜樹良はジャーナリストだったので、名に体を表したかったのだ。

正直、長くアニメ・声優業界の取材をしていて少しうんざりしていた部分があった。メーカーや事務所の力が強く、どんな糞作品であっても、どんな糞声優であっても、メーカーや事務所のチェックが入るので提灯記事にしないと通らない。結果、赤が入って戻ってきた原稿は媒体独自の特色が出せず、どこの媒体の記事を見ても似たりよったりの提灯記事。良いものは良いものとして認めて書くのは当たり前だが、駄目なものは駄目だと批判精神がなければ、メディアとしての役割を果たしてないのでは?そもそも業界のおかしなところを指摘すべきなのが本来媒体の役目なのでは?そんな思いがずっとくすぶっていた。しかし、メーカーや事務所よりアニメ媒体の立場は弱い。睨まれたら取材に行けなくなる。ならば、サイゾーという外側媒体からアニメ業界のおかしい点を指摘しよう。そういう場を持てたことにぼくはギャラ以上に魅力を感じた。そんな感じで、この業界のおかしなところをぶった切ってやるという信念でコラムを始めた。書き始めたらそれぞれのコラムの説明で長くなったので前篇と後編にわけることにする。

第一稿:絶賛→非難の嵐! 原作アニメ「使い捨て」問題を浮き彫りにした『極黒のブリュンヒルデ』

2010年代になってとにかく深夜アニメの本数が増えた。まず、製作委員会が作られ、そこに各スポンサーが出資をして予算が決定、そして売れている漫画やラノベを次々とアニメ化し、たくさん作ったうちの何本かに一本当たればいいという業界の仕組みが気に入らなかった。それでは原作へのリスペクトもなく、下で働くアニメーターさんたちへの給料は上がらないどころか、忙しさが増すばかりだ。結果、粗悪な作品たちが産み出される。そして叩かれるのはクリエイターさんたちだ。金を出した大人たちではない。

ぼくは岡本倫さんの『極黒のブリュンヒルデ』という漫画が好きで、ずっと楽しんで読んでいた。作者の別作品『エルフェンリート』も好きな漫画だったし、そのアニメ化作品も本当に素晴らしかった。だから極黒がアニメ化すると決まった時は、どんな感じになるか心底楽しみにしていたのだ。

ところが、もうこれが本当にひどい出来だった。詳しくは上記のぼくのコラムを読んでいただきたい。原作リスペクトがなく、時間のない中、アニメーターさんたちを酷使したんだろうという惨憺たるものだった。だからこの酷い扱いをどうしても多くのアニメファンや業界の人たちにも知ってもらいたく、第一稿のコラムで取り上げた。アニメ媒体では書けない、忌憚のない批判をさせてもらった。その結果、元記事での反響から様々な媒体でも転載され、2ちゃん(5ちゃん)でもスレッドが何個も立ち、無断転載で有名なやらおんなどでも取り上げられた。Twitterの総RT数は軽く2~3万を超えていたと思う。サイゾーさんのサイトは一新されてカウントもゼロに戻ったので、その頃の反響を示すものとして、たまたま写メっておいたニコニコニュースの画像を貼っておく(ニコニコニュースも既に記事無し。この転載記事1つだけで2200RTいってるから割とバズってるっしょ笑)。

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この記事自体、賛否あって「織作亜樹良という書き手は何もわかってない。○ね!」とか叩かれまくったり、アニメ業界は狭いので「これを書いているライターは誰だ?」的な探りをメーカーや同業の方が言っているのを聞いたりした。でも、書くべきことだったとぼくは今も信念を持って言える。

なぜなら、最近になってdアニメでその『極黒のブリュンヒルデ』パッケージ版を通しで全部見た。そしたら、かなり改善されており、駆け足なのは仕方ないにしても、新規のシーンがたくさん盛り込まれていたり、作画がヤバいところとかが修正されていて、見れる作品になっていた。

円盤が爆死したのになぜわざわざ苦労して直したのか。そこにはやはり、クリエイターとしてもあれは納得のいく出来ではなかった思っていたからだろう。たとえパッケージが売れないにしてもきちんと修正するところに、アニメーターさんたちの矜恃が感じられた。金じゃないんだ!おれたちは好きなものを作りたいんだ!というところは本当にリスペクトしかない。ぜひパッケージ版(dアニメ版)を見て欲しい。そしてどうか諦めないで欲しい。そういった努力が、製作委員会を牛耳っているスポンサーのみなさまにも響くと思うからだ。2020年の深夜アニメの現状も変わらずですが、いつか、どれかヒットすればその他はいいやという流れが変わるとぼくは信じています。

第二稿:「養成所ビジネス」の打破なるか!? ホリエモンが仕掛ける、新たなアニメプロジェクトに注目!

次のコラムで問題意識として取り上げたのは、声優になれる夢という甘い幻想を見せて若者から金を搾取しまくっている「養成所ビジネス」についてである。記事でも書いたが、今の正確な数字は知らないがコラムを書いた当時は養成所に通っている声優の卵は約30万人、そこを卒業してどこかしらの事務所に所属できるのが約1万人。そして声優だけで食えて行けているのは約300人。それでいて養成所に通わないと中々事務所所属になれないという、いびつなシステムが、一言でいうと気に入らなかった。大人が若者を食い物にしているんじゃないよ。ふざけるなという気持ちだった。

しかし、そのおかしさを指摘したところで、この強固なシステムを打開できるとは思えなかった。そこで当時、代案をあげてアニメ制作をしようとしていた堀江貴文さんとオタキングこと岡田斗司夫さんが考えている、クラウドファンディングを利用したアニメ制作プロジェクトに目をつけた。こういう新しい試みを行うひとがいるんだと。しかし、堀江さんはとてもやりたいことの幅が広く、残念ながらアニメ化プロジェクトは止まってしまったが、別に堀江貴文さんじゃなくても、やろうと思えばやれることだ。別にこの方法だけじゃない。今はネット上に多くのサービスがあり、SNSで個人の能力を披露することができるようになった。そういった事実を知ってもらい、若い人に養成所に搾取されるだけではない、別のルートから声優になる道を考えてみてもらいたかった。イノベーションは常に若者から産まれる。新しい技術を理解しているから、旧態依然としたおじさんおばさんに勝つことは可能だろう。

それに声優で食っていけるのはほんの一握りと言われているが、別に声優一本で食っていく必要もない。ぼくの知り合いでナレーションをやりながら、同時に芸能インタビュアーをやっている声優さんがいる。ほかにも個人撮影会のモデルをやったり、ライブ配信を行うライバーというのをやって稼いでいる声優さんもいる。声がいいならゲーム実況もいいだろう。

今後はこういった一本の仕事に縛られないやり方が主流になっていくはずだ。だから、若い時に養成所に入らなかったからと言って、好きな声優になるという夢を諦める必要は全然ない。

ということでこのコラムでは、声優になるには養成所に通わなくてはいけないという常識を壊したかった。その常識にふんぞり返って若者から金を搾取している養成所ビジネスを知ってほしかった。

しかし、堀江貴文さんのことを取り上げたら、堀江氏の熱心なアンチの方から今度は「織作亜樹良は堀江の回しものか?」「堀江の本の宣伝か?」などといった批判が飛んできまくって、いや論点そこじゃねーって思いながら、堀江貴文さんの誤解のされっぷりはすごいなとも思った。やっていることは社会をよくしようとしているのに、拝金主義と未だに誤解されまくっているのだ。たしかに堀江さんの本を読んだところで堀江貴文になることはできない。それは以前、こちらの記事で書いた。

でも、やっていること全て批判するというのは盲目なアンチ行為でしかない。ひとには様々な面がある。ひとなら当然矛盾を持ち合わせている。少なくともぼくは夢を持つ若者から搾取しようとしている養成所より、堀江さんの考え方に魅力と未来を感じた。

声優を目指している若者よ、養成所なんかに搾取されんなよ!

後編に続く↓↓↓


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