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【東京モジュラーズ】〜モジュラーシンセのライブイベントを観に行った

私は高校生時代から今の今までずっとバンド活動をやってきております。
最近Twitterで色んなジャンルの音楽を奏でる方々と繋がるようになり、自分のTwitterのタイムライン上で初めて接するようになったジャンルも数知れず。ボカロやヒップホップもそうなのですが、中でも最もなんじゃこりゃ感のあったのがモジュラーシンセ界隈。何だか変な線でいっぱいあちこち繋ぎまくったアナログシンセをただただ延々と繋ぎ変えたりツマミを回したりして音を出しているライブの観た目が地味ながらも興味深く。
たまたま徒歩圏内の超ご近所でそんな界隈の中でもかなりコアな方々がイベントを開催らしく。ちょっとビビりつつも行って参りました。
以下レポートです。敬称略にて。

ISEI BEN
トップバッターのこの方がもう凄い。私は『シン・ゴジラ』という映画が大好きで3回観に行ったんですけど、何だかシン・ゴジラを映像無しで丸々1本観た感じ。あの映画のカッコ良さって怪獣の出てくるシーンのカッコ良さと音のカッコ良さ6対4くらいの割合で出来てるのかと思ってたんですけど、ISEIさんの音聴いてたらなんかもう音が全てなんじゃないかと思ってしまったくらい。音だけでめちゃくちゃカッコ良い。
(あ、別にゴジラの音楽をやってらした訳では無いです)
聴覚に視覚が凌駕される感じというか、もう目の前がブワッと映画を観てる時の脳の奥の方の感じになってしまうんですよ。映像が見えていないけど見えている感じ。
重低音のカッコ良さ。低音ってめちゃくちゃ大事だなと思いました。身体と空間全部を震わせる地響きのカッコ良さ。そして澄んだ高音。次々展開され、常に予想の上をいく怒涛の曲構成。見事でした。めちゃくちゃ聴きごたえありました。もうお一人目から来てよかったーと思いました。モジュラーシンセライブ恐るべし。

Duru_Duru
こちらの方は本日がモジュラーシンセライブのデビューとの事。初々しくも立派に演奏しきっていらっしゃいました。その初々しい部分は、モジュラーシンセのライブを観た事もましてや演奏した事も無い私が本日ライブを観ていく上での聴き方の基準にもなりました。ベテランの方々の演奏だけだと、皆さんサラリと演奏されるのでどういう所が難しいのかどういう所が腕の見せ所なのか皆目見当がつかないので。

まず基準となるリズムが鳴っている所に別のリズムが立ち上がってくる時、それを上手く調整して前のリズムに組み込んでいくような場面がよくあるのですが、その際に機材のどこをどうやったらどのくらいそのリズムを動かせるのかまたどれだけ音色リズム共に滑らかに動かせるのかという完全なる機材の把握、さらにはそのポリリズム的なものを瞬時に感じて組み入れていくだけの繊細かつ屈強なリズム感が必要に思われました。
これは相当難しいですよ。。大変な鍛錬の時間が必要な筈。

つまりそういう所で色々ご苦労なさっている所をお見受けした訳なのですが、かなりお好きなご様子であり元々音楽をやられていそうで更には周りに良い先輩だらけのようなのですぐに追いついていかれるのだろうと思いました。

Yumi Katayama
そもそも私はこの方の動画をTwitterでチラッと目撃してなんじゃこりゃと思ったのです。
何だか瓶の牛乳か何かを運んでくる時に入れてくるようなプラスチックの箱にぎっしり組み込まれたアナログシンセをクールに鳴らしているその佇まいがカッコ良すぎて。
私の数少ないテクノ系で知っているもので近いのはDAFでしょうか。(齧り聴き程度なのですが)
ガチガチっとしたソリッドなドイツ!って感じのテクノ(テクノ詳しくないのでテクノの知識違ってたらすみません)に近い感じがしました。
めちゃくちゃロック。骨太ロック。
これはバンド界隈の方々で強烈に好きになっちゃう方多いのでは?と思いました。
めちゃくちゃカッコ良いビートをハードに鳴らしまくってくれてノリノリで(死語なのかも。。)聴いてしまいました。頭の中でギチギチ音が鳴り響く感じ。縦横無尽なビート。相当カッコ良かったです。

DAFはこんな感じです↓


Rippin' Dots
この方はモジュラーシンセを操りながら絵を描きあげていくという芸風の方でした。
ちぎった紙を貼ってそこに絵を描いていくというコラージュ絵(?呼び方よく分かりません)。
そのちぎる音やそれを貼るための糊をつけるローラーを転がす音や絵を描く筆のタッチ音等作業音もマイクで拾ってそれもリバーブとかかけて音楽に組み込んでいくという。たまに声も取り入れていらしたり。シンプルな感じですが作業音が低音のビートになったりとか思いがけない音が迫力を生んだりアクセントになったり拡がったり面白い音楽でした。更にその音の振動で生まれる水面のさざなみの光をキャンバスに投影しながら絵を描かれていて、光のキラキラがワッと絵に押し寄せる度に絵の表情が変わりそれがとても美しいのでした。そして最後の方で絵に白が加えられた時に何だかその光が絵に閉じ込めらたようになりおお!完成系になった!光って凄い、白って凄いと思いました。(これで意味伝わると良いのですが。。)
とても楽しい時間でした。

Ryota Kojima
おそらくこの方の目指してらっしゃるのがきっと王道というかど真ん中のモジュラーシンセ道なのかもという感じがしました。それこそ2番目の方の苦労されていた部分、滑らかな音の変化であったり異なるリズムが立ち上がってきた時のそのミックスされていく所の見事さなど素晴らしく。特に16分音符のウラとか2拍3連とかもっと細かいアレコレとかそういう辺りをやすやすと渡り歩いたり統合したりというようなリズム感の磨かれ方が凄いなあと。こういうのってバンドなヒトからするとかなり鍛錬を積まないと行けない所な気がするのですがどうしてらっしゃるのかなと。モジュラーシンセを扱っていたら自然と身につくものなのでしょうか、いや違うだろうなあ。
すごくご自身の出している音を愛おしみながら奏でてらっしゃる感じも素敵でした。その横で音色の変化を一緒にじっくりと楽しませてもらっている、そんな気がしました。ちょっとした『一緒に縁側に居る』感。そしてモジュラーシンセのど真ん中を追求していらっしゃる感じ、「鮒に始まり鮒に終わるんだよキミ」と言われてる感じがしました。

Z Hyper
この方は赤いパッチケーブルでゼロの状態からモジュラーシンセのあちこちをどんどん繋いでいくスタイル。マッドサイエンティスト的佇まい。もうモジュラーシンセの全ての部位を完全に把握されていて最早自分の神経か何かをどんどん繋ぎかえているかのような。縦横無尽。
こちらの方も「鮒に始まり鮒に終わる」的なある種のど真ん中の音を追求されている感じがしました。
シンセ音の混じり気のない(?)美しさを追い求めてらっしゃる感じで綺麗な音だなあと思って聴いておりました。
全てがエンターテイメントでありまた全てが全くエンターテイメントでは無くても構わないけどね!という感じのもう凄く根元の部分素の部分を掘り下げていく狂気。そのかっこよさ。
モジュラーシンセの教祖感。
多分私はまだこの方の凄さを一部分くらいしか理解出来ていないのだろうなという気がしました。

という事で。まとめます。
モジュラーシンセのライブは絵面が地味目なのでTwitterとかで写真を上げたりしても通の方でなければおおっ!とはならないのかもですが、未体験の方は一度是非現地で体感して欲しい、そう思います。
重低音や澄んだ高音を身体に生で浴びてみて欲しいです。めちゃくちゃカッコ良いですから。聴覚が絵面の地味さを凌駕して、何というか、脳の視覚野を司る部分に音がそのまま投影されるようなそんな感じになりますから。
エンターテイメントとして相当面白いと思います。
今日どこ行く?ディズニーランド?映画?だったらモジュラーシンセのライブイベント行こうよ!
くらいの感じ、ありますよー。

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