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パリーグ好きの複雑な交流戦


4日から15年目のセ・パ交流戦が始まる。
今年も15年連続で複雑な気持ちでこの戦いを見守ることになりそうだ。

ご存知の通り(?)オレ自身はライオンズのファン。
でもそれと同時に「パシフィックリーグ」のファンでもある。

「リーグのファン?なんだよそれ?」と言われるのは分かってる。
もう15年目だしこういう心境で見ている人はパリーグの中でも少数派だと思う。理解してもらえるとも思ってないし、セリーグの人にとっては尚更だろう。
自分のチームがリーグ優勝するためには同じリーグの他球団が全敗すればいいに決まってるのは重々承知している。

でもどうしてもパリーグが好きだから、今年もライオンズを全力で応援するとともに、パリーグの他のチームも見守っていきたい。


三つ子の魂百までとよく言ったもの。幼いころの記憶がオレをパリーグファンにした。
2001年北川博敏の代打逆転満塁サヨナラHRで優勝を決めた大阪近鉄が日本シリーズでスワローズをさっぱり打てず敗退。
2002年シーズン90勝と投打に圧倒的な力を見せたライオンズがジャイアンツにまさかの4連敗。

ただでさえ野球と言えばまだまだジャイアンツそしてセリーグだった時代。
パリーグ、パリーグファンの肩身は狭く、ライオンズの途中経過を見るためだけに全く見たくもないジャイアンツ戦の地上波中継を見る日も多かった。もちろん球場に行けばガラガラで座り放題。
諸先輩方の話を聞くにこれでも野茂英雄やイチローの出現前よりはマシだったようだけど、酷い状況には変わらなかった。

そんな状況でも周りなんて全く気にせず、最低でも月1で球場に通っていた。
そして執念を燃やしていたのが日本シリーズとオールスター。
いやそれだけじゃない。正月番組の運動会でも日米野球のリーグごとの選手数でも何が何でも絶対にセリーグに負けたくなかった。
当時のパリーグには松坂大輔、松井稼頭央、松中信彦、小笠原道大、中村紀洋、T.ローズ、黒木知宏とサムライのような選手たちが揃っていた。
セリーグばかり報じられ、パリーグは人気も実力も格下と言われたこともあったけど、実力でセリーグより劣っているなんて一度も思ったことはなかった。それだけにいつか、いつの日かセリーグを見返したかった。たぶんあの当時のパリーグを見ていた人の多くはそんなことを考えていたと思う。


そんな日常が一変したのが2004年6月13日。
大阪近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの合併が報じられた。
ネットニュースも現在ほど進んでいなかった当時、小学生だったオレがそれを知ったのはデーゲーム後の夕方のニュースだった記憶。
それから約半年間のプロ野球界はシーズンそっちのけで上へ下への大騒ぎ。
2球団の合併自体も大問題だったが、パリーグのオーナーたちが中心になって1リーグ制への動きが加速。
経営が苦しいのは分かっていたけど身を裂かれるようで本当に本当にツラい日々だった。オレが好きなパリーグはそんなに価値がないのかといつも考えていた。
といっても小学生にできるのは署名くらい。夏休みの自由研究と称して週ベの記事をまとめて発表したりしたな…。

ファンの絶対数が少ないだけに元から割と一体感があったパリーグだけど、この年は特にすごかった。
馴合いとかそういうレベルではなく、各々が生き甲斐としているチームを守るためにみんな必死だった。この6チームの灯を絶やしてはいけない。絶対にリーグを守るとにかくその一心で生きていた。
結果として2リーグ12球団制は守られたものの、バファローズとブルーウェーブの合併は止められず。
最悪中の最悪の事態だけは免れたが、この時の悔しさ・苦しみは今も忘れていない。

そしてあらゆることが変わっていった翌2005年。交流戦が始まった。
前年にリーグの存亡を賭けていたのに、いきなりパ他5チームの負けを願うほどの切り替えはできず、ライバルであってもパの他チームも応援するファンが多かったように思う。

その頃聞いていた文化放送ライオンズナイターでは他球場情報でパのチームが得点するたびに「きよしのドドンパ」が流れていた。パだけに(余談)

結果として2005・06年はいずれも1勝差でパリーグが勝ち越し。
その後徐々に試合数が減っていったがリーグとして勝ち越しを逃したのは2009年の一度のみ。2010年に至ってはパ6チームが交流戦上位を独占。
日本シリーズでもその後日本一を逃したのは2007年、2009年、2012年の3度だけ。
もう誰もパリーグが弱いなんて言わなくなった。
実際に戦う選手・首脳陣・フロントがどこまでセリーグへの対抗意識を持っているかは正直分からない。でも結果として彼らはパリーグファンの積年の願いを叶えてくれた。新しい時代を切り開いてきた6球団には敬意を払うしかない。


たぶんここ5年くらいで新たにパリーグのチームのファンになった人たちは、こういう想いがなくストレートに野球が見れると思う。
トータルでの観客数こそ負けているものの、それ以外でパリーグが格下と思われることはほぼない。
客観的に見ればそうなるのは十分分かっている。

でもやはり三つ子の魂百まで。
未だにパリーグのことを分かっていないセの解説者に過剰反応してしまうし、
交流戦でも日本シリーズでもオールスターでも侍ジャパンの選手数でもパが勝つことにこだわってしまう。


何度も言うけどこういう想いを抱かずに交流戦を見れる人のほうがいいと思う。
理解してくれる人が少ないのは分かってるし、特にセリーグのファンの人たちにとっては「何言ってるんだこいつ」だと思う。

でも今年も交流戦ではパリーグの負けを願うわけにはいかない。ライオンズの優勝は見たい。それは今年も見たい。前提だ。大前提だ。そんなことはいちいち言うまでもない。

かと言って他のチームが負けていいわけではない。高橋礼も 井上晴哉も山本由伸もブラッシュも王柏融も大暴れしてほしい。してくれなきゃ困る。

パリーグが好きだから仕方ない。今年も交流戦で白いボールのファンタジーを歌う。10年後も20年後もこのリーグの繁栄を願って。


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