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ライオンズ山形遠征に行ってきた

6月28~30日、山形と仙台で行われたイーグルスvsライオンズ戦を見るために遠征してきた。
雰囲気・試合ともに過去最高の遠征となったので、その記録を残しておきたい。

試合中のきらやかスタジアム

そもそも地方球場が好きなのだ。公式戦の日程が発表されたら真っ先に地方球場での開催をチェックするくらいに好きだ。
本来、球場という場所は「非日常」の空間のはず。しかし球場に通い詰めているうちに球場が「日常」の空間になってくる。特にライオンズの本拠地・ベルーナドームには何百回訪れたか分からない。到着すると「来たなー」ではなく「帰って来たなー」と思ってしまうくらい。

ライオンズの本拠地・ベルーナドーム。もはや実家

ベルーナドームほどではないにせよ、他球団の本拠地にも何度となく遠征していると、新鮮味が薄れてくる。もちろん楽しいんだけど。
それに引き換え地方球場である。なかなか訪れることのない土地・球場を楽しめる。地元の人たちもプロ野球に慣れていないケースが多く、本拠地では見られない光景に遭遇することがある。
そして今年のライオンズで目ぼしい地方球場は今回の山形のみ。自分だけでなく、多くのライオンズファンがはしゃぎまくった。
 
28日の昼前に山形新幹線で山形駅に降り立ったが、その瞬間から様子がおかしい。平日の昼間にもかかわらず、一目でライオンズファンと分かる人たちがたくさん歩いている。Xでは「#628ライオンズ山形遠征」というタグが広まり、多くのファンが山形へ向かっている様子が確認できた。

知り合いと山形ラーメンを楽しみ、ホテルに荷物を降ろしてから球場へ向かう。球場へは山形駅から臨時シャトルバスが出ていた。15分程度の間隔で大型観光バスがやってきて、所要時間は15分ほど。山形駅前を抜け、川を渡ると土地が広くなり、今日の舞台「きらやかスタジアム」が見えてきた。
きらやかスタジアムは2017年に開場した新しい球場だ。これまで山形県でのプロ野球は山形県野球場が使用されてきたが、近年のイーグルス開催ではこちらが使用されている。当然ながらライオンズがこの球場で戦うのも初めてだ。
山形市総合スポーツセンターの一角にあり、周囲は広々としている。駐車場や特設の物販エリアも広々としており、土地が広い地方球場らしい雰囲気だ。

きらやかスタジアムの全景


 
ところでこの日のチケットは3月に一般発売されたが、ライトスタンドの一角を占めるビジター応援エリアは即日で完売。エリアが拡大されたのか、何度か再版されたがその度に売り切れていた。

外野スタンドの入場口に辿り着くと、案の定ライオンズファンが多数並んでいる。自分と同じように地方球場に「非日常」を求めてやってきた常連ファンの顔・顔・顔。並々ならぬ意気込みでこの日を迎えたことが容易に見て取れた。
 
外野席に詰めかけたライオンズファンのテンションが高いのは珍しい球場という以外にも理由がある。外野席が芝生なのだ。本拠地・ベルーナドーム(当時はメットライフドーム)も2020年までは外野スタンドが芝生(人工芝)だった。最後の数年は芝生を区切る形で指定席化されていたが、球場建設以来長らく自由席となっていた。これは当時の12球団本拠地でも唯一のスタイルだった。

外野席が芝生時代のメットライフドーム(2019年)


 
芝生自由席の何がいいか。ズバリ「やりたい放題」なのである。
横方向へ動くチャンテ2では左右へ猛ダッシュ。左右前後の人とも間隔を取りやすいので、チャンテや各種応援歌・コールでのジャンプも思う存分取れる。そして気の合う人たちと同じエリアに陣取ることが容易なので、アツい応援を繰り広げる人たちが一か所に集まり、そのアツさが増大していく。
地方球場でしか見れなくなった芝生自由席。実は昨年4月にホークス主催で行われた鹿児島鴨池球場も同様だったのだが、ホーム・ビジターの区分けがされていないこと、明らかにチケットを売りすぎていたことから、スタンドがギチギチで身動きが取れず、「やりたい放題」とはならなかったのだ。

鹿児島鴨池球場(2023年)


そんな訳で芝生自由席に詰めかけたライオンズファンのテンションは上がりっぱなし。開場時に先頭グループが場所取りに急いでいると、その様子を見ていた後方グループから「差せ―!」との声援が上がる。ここは競馬場か?
場所を確保するとグラウンドではライオンズの練習が始まっていたのだが、この日が誕生日で地元出身の菅井信也の姿が見えると、自然発生的にバースデーソングが送られる。やりたい放題だ。

ライトスタンドからの眺め

17時半ごろになると、もうみんな様子がおかしい。テンションが上がり切っており、スタメン発表の前からムダに立ち上がってフラッグを振っているのだ。イーグルスのMCが前説で「山形の皆さん、盛り上がっていきましょう!」的なことを言うと、「山形じゃない人もいるぞー!」「いえーーーーい!」と大騒ぎである。「箸が転がってもおかしい年頃」という表現があるが、この時のライオンズファンは「箸が転がっても大騒ぎ」だった。客観的に見たら面倒な客としか言いようがない。自分も含めて。

リードに立った応援団からは「イーグルスの地方開催で2ブロックこじ開けたのはライオンズが初らしい」という情報が告げられる。たしかに芝生自由席の区切り方を見るに、ビジターエリアはライトスタンドの1/4程度を想定していたように思われる。しかし結果的に半分かそれ以上がブルーに染まっていた。

大盛り上がりのライオンズファン

試合が始まると応援はヒートアップするばかり。全国から筋金入りの外野応援民が集まっているせいか、日本シリーズを戦っているのかというくらいの盛り上がりだった。

スタンドから遥か遠くには山々が見え、外野スタンドを一歩出れば田んぼが広がる。そして試合が進むにつれ、空が夕焼けに染まっていく。普段は静まり返っているであろう金曜夜のきらやかスタジアムにライオンズファンの大歓声がこだましていく。一年に一度、いや数年に一度であろうシチュエーションに酔いしれた。

レフトスタンド後方の山々
外野スタンドを出れば田園風景が広がる
夕焼け

先にも触れたが地方球場ではプロ野球に馴染みがない地元の団体客も多い。実は今回は一部ライオンズファンが「どちらのファンでもない地元の人にライオンズを応援してもらおう」とユニフォームなど応援グッズを大量に持参していたのだ。試合が始まって外野スタンドでバカ騒ぎを繰り広げていると内野席に陣取った学生グループとのコミュニケーションに成功。見事に場外でのグッズ受け渡しに成功したのだ。
外野スタンドからその様子を眺めていたが実に微笑ましい瞬間だった。学生たちが大喜びしてくれていて、自分もプレゼント用のグッズを持ってくればよかったと後悔したほどだ。
山形の学生と、所沢を中心とした全国のライオンズファン。交わるはずもない二つのグループが交差する。彼らが今後少しでもライオンズやプロ野球を気に留めてくれたらこんなに嬉しいことはない。そしてグッズ持参を思い付き、持ち寄った皆さん最高でした!
 
野球以外の様々なことが楽しすぎて野球のことを全く書いていなかった。
イーグルスキラーの今井達也が立ち上がりにピンチを作るものの、その後はいつも通りの快投。打線も外崎修汰の本塁打など効果的に得点を奪い試合を優位に進める。
ライオンズファンはチャンテ2で左右に猛ダッシュ、チャンテ4で高く飛び、9回にはリード付近に密集して声援を送り続け、見事に4-0で勝利した。
正直なところ「山形でライオンズを応援する」というシチュエーションが楽しみすぎて、試合内容は二の次だったのだが、こんなに気持ちいい勝ちを見れると思っていなかった。
ヒーローインタビューでは今井が「試合前からファンの方も気合が入っていた」とコメントしてくれて大盛り上がりだった。


4-0で勝利

去り難い余韻に包まれながら球場をシャトルバスで後にする。そのまま祝勝会をしようと山形駅前に足を運ぶと、やはり見慣れたライオンズファンの顔・顔・顔。所沢駅前のプロペ通りよりライオンズファンが多いのではないかと思うほどだった。店に入っても面識のないライオンズファンと挨拶をかわしながら、最高の一日が幕を閉じた。

試合後のきらやかスタジアム

翌日。仙台でのナイターのために昼に仙台へ移動したのだが、やはりライオンズファンと遭遇する。
ホテルをチェックアウトする時、蕎麦を楽しんでから山形駅へ向かう時、山形駅でお土産を選んでいる時、仙台へ向かおうと仙山線に乗り込む時。
なんなんだここは。本当に東北にいるのか?

さくらんぼパフェ

そうして仙台に辿り着き、楽天モバイルパークで2戦目を観戦。この日も隅田知一郎の好投で勝利を手にした。
そしてやはり仙台で祝勝会をしていたもライオンズファンに遭遇するのだった。

2試合目も勝利

今回の遠征には色んなライオンズファン…というかライオンズバカがいた。
埼玉からライオンズバスを借り切って40人ほどの大所帯で遠征してきたライオンズファン、
今日1日のためにカッコいいロゴとステッカーを作ってきたライオンズファン、
昨年の宮崎・鹿児島遠征で会って以来の「地方球場でしか会ってなくね?」というライオンズファン、
翌日は仙台での二軍戦を見に行くんだと、山形の試合後に急いで仙台に向かったライオンズファン、
遠く九州から仙台空港に降り立って移動してきたライオンズファン、
みんな違ってみんなライオンズバカで最高でした。

祝勝会

どこに行ってもライオンズファンだらけだった山形。たとえるなら「大人の修学旅行」という表現が適当だろうか。
「きらやかスタジアムでライオンズを応援する」という行動だけは決まっていて、各々の交通手段で山形に向かい、試合前後は各々の自由時間を過ごす。そして普段の居場所(ベルーナドーム)と同じメンツでライオンズを応援する。
年齢も性別もファン歴もライオンズの愛し方も人それぞだけど、幸福な一体感を味わった一日だった。
この日のことはずっと忘れないだろう。
 
偉そうにまとめてしまったけど、遠征の楽しみ方は十人十色。Xで「#628ライオンズ山形遠征」と検索すると大盛り上がりの様子が見れるので、興味を持った方がいれば是非。

また来年も楽しい地方球場がありますように!

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