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冷蔵庫の想い出

突然冷蔵庫が壊れた。
正確には、壊れたのは冷凍庫だ。我が家の冷蔵庫は温度表示機能があり、冷蔵庫は1~2度、冷凍庫はマイナス18~20度が通常だった。昨晩、妻が台所で大声をあげていたので、何事かと思い様子を見に行くと、冷凍庫の表示温度がマイナス12度になっていた。素人考えでは、マイナス12度もあれば、食品を保存するには十分なのでは、と思う。しかし、冷凍食品にはマイナス18度以下で保存のこと、と書いてある。なるほど、冷凍庫がそのパワーを出力できなくなって切るのかもしれない。冷凍庫に入れていた食パンはいつもの硬さではなく、少し柔らかい感じがする。2-3日様子を見たが、マイナス18度くらいまで戻るときもあれば、マイナス9度くらいになることもある。安定はしておらず、いつその出力パワーがゼロになってもおかしくなさそうである。

この冷蔵庫は、妻と同居し始めたころに買ったものだ。すると、年は19~20歳ということになる。あのころ住んでいた場所から考えると、きっと池袋のビックカメラで買ったのだろう。買った時のこと鮮明に覚えているわけではないが、きっと同居生活や結婚生活に希望を膨らませていただろう。初めて実家を出て、見知らぬ街で暮らす妻は不安も大きかっただろう。そんな二人をずっと支えてくれた冷蔵庫には感謝しかない。妻の様子を見に台所に行き、冷蔵庫の状態を知った私が口にしたのは、「ありがとう」だった。自分でも驚くほど素直に出た言葉だった。大きなのっぽの古時計ではないが、うれしい時も悲しい時も冷蔵庫はそこにいて、冷たいものを冷たくしてくれた。24時間365日。私たちが旅行に行っている時も、寝ている時も、外で冷たいものを食べている時も。

冷蔵庫の寿命は10年前後のようだから、私たちの冷蔵庫はその2倍程度働いてくれた。扉の部分のメッキが剥げてはいるが、その他はきれいである。キレイ好きな妻の日ごろのメンテナンスのおかげあろう。昨日、妻と電気屋さんに冷蔵庫を見に行き、たまたま手ごろなサイズの冷蔵庫が安くなっていたので、購入を決めてきた。偶然にも今までと同じTOSHIBAのものだ。これからの20年、ひょっとしたら私が死ぬころまでの付き合いになるかもしれない。大切に使っていきたい。
今まで本当にありがとう。

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