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円安に 儚く消えた 旅の夢

 平日の朝は8時から放送されるN H Kの「キャッチ世界のトップニュース」をよく観る。世界各国のテレビ局が取り上げたニュースを紹介する番組で、日本のニュース番組では扱われない話題や同じ話題でも違った切り口を知ることができる。今朝、フランス・ドゥが報じた日本の入国規制緩和に関するニュースからは、日本のコロナ対策や観光をフランス人がどんな風に捉えているかが知れた。

 「漫画や寿司そして満開の桜を観ることの好きな人は、再び日本を訪れることができるようになって喜んでいることでしょう」とのアナウンサーの言葉で始まり、日本にいる記者が浅草雷門、小田原城、清水寺で取材したレポートを紹介していた。記者の「日本列島は2年半も攻略困難な場所でした」、「日本人の多くが水際対策にこだわってきた」、「新型コロナウイルスによる死者の数がフランスの3分の1なのはそのせいかも知れない」との発言からは、記者が日本のコロナ対策をある程度評価しているように感じられた。

 浅草の人力車を取材した場面では、「日本は物価高で有名だったが、円安ユーロ高というメリットがついてくる」、「人力車の料金は15ユーロです」と外国人旅行者にとっての円安の恩恵を取り上げていた。ユーロ換算なら数年前に20ユーロだった人力車の料金が、今や15ユーロなのだ。映し出された観光客の笑顔から、人力車に留まらず、ホテル、新幹線から食事までユーロ換算の料金がことごとく安くなった嬉しさが伝わってきた。

 逆に日本人がフランスに行く場合を考えると、ルーブル美術館の入場料17ユーロはコロナ前も今も変わらないが、円換算では2000円から2500円になった勘定になる。リタイヤ後に計画していた海外旅行をコロナで延期せざるを得なかった老人達はどうしたら良いのか。年金額は変わらないのに食料品価格、ガソリン代等が軒並み上がれば、貯めた旅行資金を生活費に回さざるを得なくなるではないか。日本人とりわけ老人にとって海外旅行は夢のまた夢となるのか。

                               (2022.10.15)

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