クーラーを 使えと言われ 悩む我

老境自在(22)

 昨日の練馬の気温は38℃で今年の最高気温を記録した。年々夏の暑さが厳しくなっているように感じているが、今年は35℃を越える猛暑日の日数がここ数年に比べると少ないのだそうだ。しかし、昔に比べると暑くなっていることは間違いない。

 高校2年生だった60年前の夏、親の仕事の都合で広島から東京に引っ越したが、その時東京とは涼しい所だと感じた。夜寝苦しい思いをしなくて良いのが有難かった。広島では夕方風が止む凪という現象があり、夜になっても昼間の暑さがなかなか去らず寝苦しかった。それに比べて東京は、夕方になり日が陰ると気温が急に下がった。当時住んでいたのは、東京の郊外にある武蔵野市で、雑木林が多くあり、主要道路以外は舗装されておらず昼間の暑さを夜に引きづることはなかった。

 今では雑木林のあった場所にビルが立ち、道路という道路が全てアスファルトで覆われている。ビルのコンクリートと道路のアスファルトが昼間熱を溜め込み、日没後に放出するのだから夜になっても気温はなかなか下がらない。今住んでいる練馬区は武蔵野市に隣接しており、事情は同じである。更に悪いことに、練馬は都心に高層ビルが林立したお陰で東京湾からの風が届かなくなり、熱が籠るヒートアイランドと化している。

 今日も昨日に負けず暑いが、朝のテレビ番組で気象予報士が「今日は熱中症にご注意ください。特に体温の上昇を感じにくい高齢者は、クーラーを適切に使用し水分の補給に心がけて下さい」と言っていた。午後は、冷房を効かした部屋で、冷えた麦茶を飲みながらテレビで高校野球の中継を観ることにしよう。

 高齢者としては、気象予報士の注意に従うことになるが、その一方でクーラーの排熱が外気温を上昇させることが気になる。クーラーを使えば外気温が上がる。外気温が上がればクーラーをより強く効かす。これでは負のスパイラルに陥いる。それでも、ヒートアイランドに住む高齢者は、我が身第一でクーラーを使うことになる。

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