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推し活に ハマってみたい ボケ老人

夕 景

 テレビ番組「題名のない音楽会」の、今日のお題は「今年を彩った名曲をふり返る」であった。ドラマ、アニメ、スポーツ、S N Sの何とも今風の4つのジャンルに分けられ、各ジャンルから選ばれた1曲が演奏された。
 聴き覚えのあるのは、朝ドラ「らんまん」の主題歌「愛の花」だけで、他の3ジャンルは初めて聴く曲ばかりだったので、少々興醒めであった。ただし、アニメで選ばれた「アイドル」は、曲ではなくアニメのタイトル「推しの子」が気になった。

 最近、ある評論家がビジネス誌のオンライン版に寄稿した「推し活ブームを鼻で笑う人に伝えたい社会変化」を読んで、「推し」への興味が高まっていた。
 「推しの子」ってどんなアニメなんだろう。題名のない音楽会で取り上げるくらいだから人気のアニメであるらしい。それなら、劇場版があるのではないか。あるなら動画配信サービスで見られるのではないか。

 U-nextにあった劇場版アニメ「推しの子 Mother and Children」を観た。あるアイドルグループのセンター(アイドル)を推していた少女と医師が、それぞれ病気と不慮の事故で亡くなり、そのアイドルの双子として生まれ変わる。生まれ変わりである2人の「推しの子」の目を通して、アイドルの世界引いては、芸能界の裏のドロドロした部分が暴かれて行く。
 おいおい、芸能界の暗部をここまで赤裸々に描いて良いのか。推し活にハマっている人が観たら、怒るだろう。いったい、この映画のターゲットは誰なんだろう。

 くだんの評論家は、「推し活」を社会変化に対応したコミュニケーションの新しい形としてポジティブに捉えていた。それに対して、このアニメの作者は「推し活」を産んだ社会の歪みに注目している。
 新しい社会現象には、必ずポジティブな面とネガティブな面があるというだけのことか。つまらない結論になってしまったな。待て待て、老人と言えども何かを本気で「推し活」すれば、違った世界が見えてくるかもしれないぞ。

(2023.12.22)

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