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老人よ 悠々自適は まだ早い

高原のトウモロコシ畑

『日本の進路にとって高齢者層の役割、責任ある政治参画と社会参画が重要である。』
『高齢者よ、目先の利害に左右される「生活保守主義」に埋没するな。』

 日々安逸を貪っている老人への痛烈な一撃。

 先日、友人に薦められて読んだ、「21世紀未来圏 日本再生の構想」(岩波書店刊 寺島実郎著)の一節である。

 著者は1947年生まれ、今年喜寿を迎えた高齢者である。

 そう言う著者自身はどうか。

『20世紀の世界システムと日本のありかたを再考察し、それとの対照において21世紀システムの本質を見抜き、21世紀のこれからの未来圏たる77年を構想する』
『本稿は、そのための具体的構想を描き出すことへの匍匐前進である。』

 喜寿にして「匍匐前進」とは。恐れ入りました。

 来る日も来る日も、「朝散歩 昼は読書で 夜テレビ」(老境自在 No.78)で、のうのうと暮らしている。それではならじと、ボランティアでもしようと思い立った。そこまでは良かったが、ボランティアの機会を探ったら、「ボランティア 八十路近づき 尻込みす」(No.159)で、敢えなく頓挫。そんな自分と、なんたる隔たり。

 更に、著者曰く。

『21世紀の日本が目指すべきは「豊さのための産業開発」ではなく、「国民の安全・安定のための産業創生」であろう。』
『日本の未来産業の基軸に据えるべきは、「医療・防災」と「食と農」である。』

 著者は、日本が21世紀に目指すべき産業についてもコミットする気、満々だ。

 残りの人生も少なくなった高齢者が、未来産業にどこまで責任が取れるのか。ここは潔く、21世紀をフルに生きる若者に道を譲るべきではないか。

 そんなことを言おうものなら、著者から「生活保守主義に堕するな」との叱声が飛んできそうだ。

(2024.07.20)

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