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生誕祭

おまえの足の裏とわたしの手のひらの温度が一緒になる
足の裏と手のひらをぴったりとくっつけた瞬間から
チョコレートのように溶けはじめ
わたしとおまえの輪郭はなくなる
最後に
混ざりあわなかった骨だけがのこる
骨は重なり合い
檻のように茨のように
絡み
縺れ
くぐり抜けて行けるのは
小さく身を屈めた少年だけ

少年はわたしたちの尖った骨で
白い皮膚を裂きながら進んでいく
皮膚を裂き、肉を抉る
わたしとおまえ

血液の麗しき雫が
私たちを潤す
(ずっと渇いていたのだ)

わたしたちは黙ったまま
慈愛と言うにはあまりに利己的だが
できる限りの愛をもって
少年のゆく
回廊を壊さぬように
じっとしている

骨を踏み、血を流し、確かに前進する、

わたしとおまえの胎内から
出てくる少年

天使は天使の形をしてうまれる

#詩 #写真

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