スマホを触るのは、食事の後で、の話

「スマホって、めっちゃ汚いんですよ! だからこのスプレーで……」
 そんな話を見聞きしてから約2年。
 振り返れば、スマホはいつでもオレと共にいたわけさ。
 食事中は右手に箸(フォーク)で左手にはスマホ。
 「このケーキうめぇ、記念に写真をパシャリ」なんてことをやっていたわけだけど、そんなオレも、さすがにこういうご時世だから気をつけるようになったわけ。
 スマホをいじりながらパニーニを食うという荒業。今じゃとてもできん。

 スマホを触るのは飯の後だ。

 さぁ、今は目の前にある「食」に集中しよう。
 テーブルの上には唐揚げ定食があるとする。
 左手に茶碗、右手には箸だ。視線は白米、唐揚げ、野菜。どこから食べ始めてもかまわない。なぜならピコンと通知をよこす邪魔ものはいないからだ。
 またカフェに行ったとしよう。左手にコーヒーカップ(別に右手でもいいが)。手持ち無沙汰な片手は、本を持とう。ブラックコーヒーを飲みながら、大好きな『新耳袋』(怖い話が大好き)を読む。最高じゃないか。

 そうだ、ふと考えてみれば、ガキだったころ、ポテトチップスやらポップコーンやらを触った油ギッシュの手で、ゲームのコントローラーをいじるのが嫌だったじゃないか。必ず手を洗っていたじゃないか。
 スナック菓子を食べながら『NINTENDO64』のコントローラーを触る友人。
「イヤ――、やめてぇ――ッ」
 と心の中で叫ぶが、当然友人の耳には聞こえない。オレは友人が帰った後、うなだれながらウェットティッシュで拭いていた。「てめぇ! 汚い手で触るなッ!」なんて言えなかった。

 何が言いたいのか。
 そう、オレの原点に返れば、もぐもぐ食いながら、その汚れた手でスマホをいじるなんてことはありえなかったのだ。
 スマホが汚いから食った後に触る、のではなく、食事で汚れた手が汚いから、その後にスマホを触るのだ。

 さて、食った後は布団にもぐって、思う存分にスマホを楽しむことにしよう――。

一年間更新がなかったとき、私はこの世にいないかもしれません……。