マガジンのカバー画像

星を見つけた

15
アイドルとわたしとわたしの世界。その光が本物でもそうでなくても、わたしの足下が明るくなったのは真実だから。だからきっともうそれだけでいい。
運営しているクリエイター

記事一覧

ひとりごと

ここまで虚無と歓喜の声がはっきり分かれるお仕事って近年では珍しいな、と思いながら眺めています。見えざる手に翻弄される立場からやっと抜けたと思っていたら、大きくて透明な手は未だなんにも変わらず其処にあったことに気付かされたという感じでしょうか。
"立たされている"と"立っている"の狭間を生きるアイドルという職業に就くふうまくんが、ひとつでも多く自分の脚でたどり着いたと思えるお仕事に出会えますように。

もっとみる

1月22日、スクランブル交差点

 2020年1月22日、わたしは渋谷に居た。詳細は割愛するけれど上司と一緒に外回りをしている最中で、スクランブル交差点付近を何度か行き来していた。とてもとても寒い日だった。
 その日は新しいアイドルがCDデビューする日で、日本中にたくさん広告が掲出されていた。もちろん私が訪れていた渋谷も例外ではなく、駅構内のボードや屋外ビジョン、CDショップの装飾など街の至るところに数えきれないほどの"彼ら"がい

もっとみる
オタク、現場を失った春の感情

オタク、現場を失った春の感情

 とてもとても楽しみにしていたライブが中止になった。勿論ギリギリまで検討した上で現時点での最善策を選んだ結果ということは重々理解しているし、この判断に対して反論は一切ない。ただ、やっぱりすごく寂しくてなんだか毎日に力が入らなくなってしまったことも事実で。たぶん私のような人間が今の世界には溢れているんだろうなあと思う。
 中止が決まった当初、「悲しい」「寂しい」「残念だ」と叫ぶことは応援している存在

もっとみる

神様の自信作ではなくとも

キレイとかカワイイとかカッコイイとか、美醜の評価基準は個人の価値観や文化圏や時代によって大きく変わるものなんだろうけれど。いつもひとつだけ、素敵な人に出会った時に感じることがある。ああこの人はきっと神様が丁寧につくったんだろうなあ、と。だってどう考えてもわたしを作るのと同じ時間と労力でこんな美しい造形や深い思考を授けることができるはずがない。きっと神様がめちゃくちゃ気合入れて作ったんだろう。そんな

もっとみる

戦国時代の王子様

私が好きになったのは夢の国の王子様。
決して戦国時代の武将に惚れたわけじゃない。

例えて言うならそうだなあ、
ディズニーランドにいるミッキーだから好きなんだよ!

 私にとってはチケット代もCD代もすべては夢の維持費。「好きなひとのために何かをしたい」という気持ちの受け皿がたまたまそこにあっただけであって、心情としては神社のお賽銭箱にめちゃくちゃ願いを込めてえいや〜!っとお札を投げているようなも

もっとみる
アイドルを応援すること

アイドルを応援すること

アイドルファンはふたつに分かれる、
最近そんな気がしている。

お金を払って、試合に参戦するためのコントローラーを握っているひと。
お金を払って、芸術を鑑賞するための座席を確保しているひと。

コントローラーを握るひとにとって、同じユニットのファンはみな同じ闘いに挑むプレイヤー同士。だからこそファンなのにゲームに非協力的なひとを見つけると違和感を覚えたりもする。「あまり声を出さない」「お金を出

もっとみる
横アリの空は何色か〜ジャニオタが万年筆のインクをつくった話〜

横アリの空は何色か〜ジャニオタが万年筆のインクをつくった話〜

アイドルのライブ公演中のあの空気って、何色だと思いますか。照明とスモークとペンライトと銀テープと夢と刹那が全部混ざったみたいなあの色。青とピンクと紫が溶けたあの色が好きなんですよ。うちわとペンラを握りしめながらいつも「ああ、なんて素敵な色なんだろう!」って何度だって感動する。ということで、行ってきました。

inkstand by kakimori
http://inkstand.jp

好きな色

もっとみる
指輪をつくったはなし

指輪をつくったはなし

数年前、祖母が亡くなりました。
無口で、厳しくて、怖いひとでした。

よく晴れた日の真昼でもシンとしているような
わたしの知る限りこの世で最も静かなお屋敷の
そのいちばん奥にある小さな小さな部屋で
一日のほとんどを過ごしているようなそんなひとでした。

祖母の死後、わずかな生の気配さえなくなってしまったただただぽっかりと大きな空白で
かたちばかりの遺品整理をしているとひとつ、またひとつと、あるもの

もっとみる