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人が焼け死ぬのを、ただ見ているしかない。EV開発現場のショッキングな貼り紙

このnoteは、
内閣官房参与 加藤康子さん ❎ ITビジネスアナリスト深田萌絵さんの
対談動画を、編集部でまとめたものです。


加藤:私たちの日本経済、GDPの20%は、製造業が支えています。
 
なかでも自動車産業の占める割合は多く、これなしに私たちは豊かな暮らしを送ることができないと言っていいほどです。

530万人の自動車産業で働く人たちーー 部品工場から物流、販売店、金融企業まで、関連企業の多くの人たちが、日本経済を支えています。

こうした自動車の産業構造に変化を与えているのが、急進的なEV化の流れです。

日本はガソリン車、ハイブリッド車の内燃機関において、世界一の技術を持っています。

(内燃機関とは・・・機械の内部で燃料を燃やすことで生まれる力を、動力として取りだす機関のこと)

世界一安全で、クオリティが高く、おまけに燃費もいい。技術の粋を集めた内燃機関は、世界中から信頼を集めています。

エンジンがまた素晴らしい。そもそも優れたエンジンを設計する技術はアメリカ・ドイツ・日本しか持っていないのですが、その中でも日本の技術は抜きん出ていると思います。

そんな優れたエンジンや内燃機械も、EV化されれば、全て電池とモーターに。従来の自動車産業に携わっていた人たちの仕事ごと、ごっそりなくなってしまうわけです。

もちろん、日本の企業は電池やモーターを作ろうと、懸命に努力しています。しかし中には、EV車をつくるために日本での生産をやめ、中国に工場を移転する企業も出てきている。

深田:ますます日本の産業が空洞化していくのですね

加藤:EVは、価格の4割を電池が占めています。電池を制するものが、世界を制すると言っても過言ではありません。

今、その電池のシェアを圧倒的に占めているのが中国ですね。

深田:昔はパナソニックでしたが、パナソニックの技術がかなり中国に移転しましたね。

パナソニックはバッテリーの技術だけでなくて、チップもすごかったんですよ。
リチウムイオンバッテリーって時々、爆発するじゃないですか。そうならないよう、チップに過剰な電流が流れるのを防ぐチップを開発していました。その会社もなんと、台湾の企業に買収されてしまって・・・。
 
加藤:EV車の炎上事故って多いですよね。この間もテスラの車が燃えて、運転手が車の中に閉じ込められたままだと騒ぎになっていました。

充電しているときに発火して、わーっと勢いよく燃えるようです。まだまだ電池の安全性には改良の余地があリます。

私も消防庁に確認したのですが、EV車の電池は一旦燃え始めると、消火するのは非常に難しいようです。
 
深田:アメリカで起きたテスラ車の事故を見ると、バッテリーが燃え始めた車は燃えカスになるまで放置していました。消火できないからですね。

加藤:運よく鎮火できたとしても、撤去の際にはプールのような水槽に入れて運ぶくらい、慎重な扱いが求められます。

深田:自動車メーカーとの開発の仕事で試験場に入ったとき、EV車にはこんな注意書きのテープが貼ってあったんです。

「事故にあったEV車は、中に人が入っていても、レスキューしてはいけません」。

なぜかというと、助けに行った方が感電死してしまうから。これは市場に売り出された車であっても同じです。

自分の家族がEV車で事故にあっても、漏電してる可能性があるので助けにいけない。焼け死んでいくのをただ見ているしかないのです。

加藤:ドイツのEV車が普及している地域では、地方都市の条例で、地下駐車場に駐車できません。

EV車のバッテリーは燃え始めると消火しづらく、地下で燃えればビル全体に影響が出てくるからです。

 
深田:EV車の緊急事態マニュアルを取り寄せて読みましたが、何をどうやっても、事故にあったら救うすべができない。救急車を呼んだところで、どうしようもないし。

技術者が来て、システムを全部落としてからレスキュー・・・という運びになるのですが、そんなの待ってる間に死んでしまいますよ。

 
加藤:にも関わらず、日本ではEV車の普及にガンガン補助金が使われている。
 
深田:ほんとひどいですよ。EV車は日本より外資の方が強いので、補助金を出すことは外資優遇につながります。

日本の自動車メーカーのシェアを、日本政府が潰しているのと同じです。そうなれば日本の自動車産業に関わる530万人の雇用が失われてしまう。

 
加藤:EV車にいくら補助金がいくら出てるかご存知ですか?

例えばテスラを一台買うと、国から60万円、さらに都から60万円。合計120万円が、私たちの税金から支払われます。

だから最近テスラやベンツ、アウディのEV車を買う人が増えていますよね。こういった車を買う高所得層には、120万円なんてどうってことないはずなのに、なぜか多額の補助金が投入されている。
 
深田:本来であれば、地方住みで車が必須といった人たちが使っている車にこそ、使うべきですよね。
 
加藤:その通り。特に軽自動車ですね。日本の軽自動車ってものすごく優秀なんですよ。廉価で安全で、燃費もいい!

2021年の新車販売台数は約450万台ですが、そのうち165万台くらいは軽自動車です。

というのも、地方の道の多くが軽自動車でないとすれ違えないから。
田舎で暮らしたことのない人は分からないかもしれませんが、80%くらいの道は、軽自動車でないとすれ違うのが難しいんですよ。
 
深田:私が育った奈良もそういう道が多かったです。車一台がギリギリが通れる道で、しかも両脇が溝になっているんですよね。
こうした地方に生きる人とって、軽自動車は生活必需品と言っても過言ではありません。

加藤:しかもその軽自動車を作り上げるのにどれほどの情熱が込められているか・・・

私、ダイハツの工場に行った時に感動したんです。

なんとかいろんな技術を手の内化しようということで、全て分解し、自分たちで作り直したりしながら改善・改良を加えている。

もっといい自動車を、いかに買いやすい価格でユーザーに提供できるか。
人生をかけて挑戦している技術者・開発者がたくさんいます。

そういった命がけの努力を、聞こえのいい「脱炭素」のスローガンを振りかざして奪ってしまう。非常に悔しいです。
 
例えば舗装されてない道や、田んぼの作業でも使うような軽トラック。

あれの代わりにEV車なんか使ってみなさい。ガタガタ揺れて電池にどんどん衝撃を与えます。危なくて使えないですよ。

安全面でも、雇用や技術を守る意味でも、安易なEV車普及推進は考えものですね。

元動画はこちら


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