2023年度の賃金動向に関する企業の意識調査
帝国データバンクから2023年度の賃金動向に関する企業の意識について調査結果が出ていたのでまとめ。
企業の半数以上で賃金改善を見込む。ベースアップは過去最高
2023年度の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善が「ある」と見込む企業は56.5%。2年連続で増加し、2018年度見込みと並び過去最高水準となった。
「ない」と回答した企業は17.3%と調査開始以降で最も低い水準に。
企業規模別にみると、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の3規模すべてで、2022年度見込みから賃金改善見込み割合が上昇。
従業員数別では、「6~20人」「21~50人」「51~100人」で6割を超えている。従業員数別でいくと、賃金改善を実施しない割合は「5人以下」が高く、従業員が5人以下でより賃金改善を行う環境が厳しくなっている。
業界別では建設(60.1%)が最も高く、製造(60.0%)や卸売(57.2%)と続く。
「基本的な収益構造を確実化させ、ベースアップ達成を目指す」「大幅な賃金改定は難しく、わずかではあるが従業員の生活補填をしたい。」などの意見が企業から出た。
賃金改善の具体的な内容をみると、「ベースアップ」49.1%「賞与」27.1%となった。「ベースアップ」は過去最高となった前年の46.4%を上回り、2年連続で調査開始以降の最高を更新。
賃金改善の理由「物価動向」「従業員の生活を支えるため」
賃金改善理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が71.9%と最も多い。
「従業員の生活を支えるため」も7割を超え、トップに迫る水準に。
企業からは、「社員のモチベ-ションアップのため」や「このご時世に賃上げしないと人財が流出してしまう。赤字になっても賃上げするしかない」といった声があがった。
一方で賃金改善が「ない」企業にその理由を尋ねたところ、「自社の業績低迷」が62.2%と最も多くなった。
「物価動向」(20.2%)は賃金改善を行う理由でも上位にあげられた一方で、物価上昇が賃金改善を行えない状況にもなっている。
総人件費「増加」見込みの企業7割弱
2023年度の自社の総人件費が2022年度と比較してどの程度変動すると見込むかを尋ねたところ、「増加」を見込んでいる企業は、69.6%。
一方、「減少」すると見込む企業は5.8%(前年比2.9ポイント減)となった。
総人件費の増加率は前年度から平均 3.99%増加する見込み。
非正社員は企業の 25.9%で賃金改善「あり」
賃金改善が「ある」と見込む理由では、「労働力の定着・確保」が最も多く、「従業員の生活を支えるため」に行うという企業も7割にのぼる。
非正社員においても企業の25.9%で賃金改善が「ある」と見込んでいる。
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