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3.絶対に泣かない幼児

素晴らしい母を絶対に困らせたり、怒らせたりしてはいけないと

強迫観念ともいえる強烈な思いを幼いころから抱いていた私。

…と今だからこそいえるのだけど(笑)


いつからそんな強迫観念を抱いて生きてきたのかはっきり覚えていないけれど、印象的なエピソードがある。

2歳か3歳の頃、父の同僚の子どもに高いところに登らされて、私は転落し、頭を切った。

病院に行き、1人で椅子に座って処置を待っていると、

看護婦がきて頭頂部辺りに大きな注射を打った。

私は「泣いてはならない」と自分に言い聞かせ耐えた。

数針縫ったが最後まで泣かなかった。

ちなみに今でもその部分はハゲのままである。


なぜ泣いてはいけないと思ったのか。

それは全て、母を困らせないためだ。


知らない人のために書いておくが、

麻酔注射はでかいし、太いし、本当に、痛い。

不幸なことに、その猛烈に痛い麻酔注射をその後、5歳と17歳の時に首から上に食らうことになった。

17歳の時は事故で顎をパックリ割る怪我をして、

顎に麻酔注射を食らったのだけど、その痛みは悶絶モノだったから。

あの痛みに3歳児が1人で耐えたのかと思うと涙が出そうだ。

ちなみに5歳の時は目の中に大きな塊が出来て切除するために目の中に麻酔注射を打ったことがある。

注射針の先端が正に”目の前”に迫ってくるのは…もはや拷問に近い恐怖

今だったら全身麻酔してくれ!と医師にすがって頼む。

目から流血する手術であったが、5歳の私はもちろん泣かず、暴れず静かに手術を受けた。

しかし心の中は恐怖と不安でいっぱいだったのは覚えている。

既に3歳児にして素直に思いを出せない子になっていたのがよく分かる。


しかし今書いていて当時を思い出したら、

困らせないため、というのもあったが

母に「泣かないで偉かったね」と言われたかったんじゃないかと思う。

一度も言われることはなかったけれど。

母を怒らせた時は、母の分厚い手が頬に飛んでくるのを感じながら自分を呪ったものだ。

「なぜちゃんとできないのだろう」

「ちゃんとしなくちゃ」

「こんなにお母さんを怒らせて申し訳ない」

「私はなんて、ダメな子なんだろう」

何度自分で自分に言い聞かせても出来ない子だった。

私は度々母や教師を怒らせ、困らせた。学校から呼び出しを受けたこともある。


最近、知り合いの臨床心理士に言われたのだが

私にはアスペルガーや多動の傾向が少しあるのだそうな。

これを知ってショックというよりも何だかホッとしたのを覚えている。

思い当たる節が山のようにあったからね。

なんだあ、そっか~と。

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