見出し画像

留学日記#63 23.2.28.

 朝五時から企業説明会。カメラオフだったので布団の中で聞く。コーヒーを淹れにキッチンに行ったら初めて見る中国人の女の子がいた。油を引かずに卵を焼いて目玉焼きを焦がしていた。

 ブランデーはまだあった。これがあれば、海のこと、奴隷の身であること、死が近いことを、少なくとも忘れることができた。眠りこけてアフリカの夢を見る、そしてゴムの木の林を、藁で屋根をふいた小屋を、村をすっぽり木陰でおおうバオバブの木々を思い浮かべるのだった。前夜と同じ酒盛りがはじまった。こんなふうにして数日がすぎた。叫び、泣きわめき、髪をむしり、やがて泥酔して眠りこむ、これが彼らの生活だった。何人かが飲み過ぎで死んだ。海に身投げした者も、刃物で命を絶った者もいた。

メリメ/工藤庸子『タマンゴ』

 水曜はフランス語の語学講義。B2&C1レベルの会話の授業で、先学期にB1レベルの最下層から始めたくらいだから当然今回も周囲のほうがレベルは高い。それでも全くついていけないわけではなかった。フランス語力を伸ばしていく上でちょうど良い環境だ。感じの良い子も多い。授業後に恋人の家に行った。鍋を作ろうと約束していた。白菜、マッシュルーム、鶏肉を買う。家に着いた後になってあるESの〆切が今日中であることがわかって、焦って書いて提出した。WEBテストもあったので彼女にも彼女の姉にも気を遣わせてしまった。水炊きを作り、ウイスキー仕込みの梅酒とともに二人で食べた。食後にマリブーの青いカクテルを作ってもらった。

鍋美味しすぎ いつぶりだろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?