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留学日記#77 24.3.17.

 日本の高校・大学同期二人とオンライン読書会。吉本隆明『共同幻想論』の序を読み合わせる。マルクスの唯物論を極端に突き詰めたスターリン主義とは別の枠組みを目指して、幻想という人間的かつ想像的な領域が構想されてゆく。個人、対、共同と三つの次元に区分するのはあたかも精神分析かのようだが、言語は社会構造ではなく個人に根差したものだということが繰り返して強調される。それは自我の擁護とも言えるだろうし、自我と幻想が重なるという点においてドゥルーズのマゾヒズム論とも接続され得るのが興味深い。日本人、それも詩人の思想書を読んだことは今までなかったが、読みやすくとも要旨をつかむのが難しかった。三人で読み合わせて初めて腹に落ちることがたくさんある。いつまでこうして友人らと読書会などをできるのだろうとしんみりする。願わくば、たまにで構わないから、社会に出てからもずっと続けられたらいいのに。

 キッチンで夕飯を作っていたら、以前にも会った台湾人と日本人のペアがまたカレーを作りに来た。今度は前回よりも長く話した。二人とも僕より一回りはフランス語が達者だが、僕が言葉につまったり理解を反芻したりするのをゆっくり待ってくれる。台湾人の子が日本人の子に、あなたとフランス語を話すのはストレスがなくて嬉しいわ、と言っていた。素直な人だと思った。僕は違うの? と茶化したらもちろんあなたもよと笑っていた。三人とも水曜日に同じ授業を取っていて、その授業では単位取得を希望する者はグループ発表をしなければならない。僕の大学ではその授業の単位が変換できないので、発表するつもりはさらさらなかったのだけど、二人が誘ってくれたので一緒に参加させてもらうことにした。台湾ではWeChatよりもLINEが普及しているらしい。カレーチームÉquipe de curryというLINEグループを作った。

最近になってようやく米を使い始めた

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