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「純文学・文芸評論」関連書のレビュー

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主に「文学・文芸評論」関係書のレビューを紹介しますが、分類は目安に過ぎず、「ミステリ・SF」系の作品も含みます。
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記事一覧

サマンタ・シュウェブリン 『救出の距離』 : 「超自然」を超える「日常に潜むもの」

書評:サマンタ・シュウェブリン『救出の距離』(国書刊行会) どう紹介すればいいのか、なか…

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『マテリアル・ガールズ』レビュー批判への反論

先日アップした、キャスリン・ストック著『マテリアル・ガールズ フェミニズムにとって現実は…

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オーソン・ウェルズ監督 『審判』 : ウェルズとカフカのミスマッチ

映画評:オーソン・ウェルズ監督『審判』(1963年・フランス映画) その「シャープで幾何学的…

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『情況 2024年夏号 【特集】トランスジェンダー』 : 特集記事を総括する。

雑誌評:『情況 2024年夏号 【特集】トランスジェンダー』(情況出版) 本書に収録された特集…

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北村紗衣の「そっくりさん」案件 : 『映画秘宝』DM事件を検討する。

「武蔵大学の教授」で「映画評論家」である北村紗衣の周辺を洗っていたところ(というのは、刑…

年間読書人
11日前
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富士正晴 『新編 不参加ぐらし』 : 言い訳がましい。

書評:富士正晴(著)、荻原魚雷(編)『新編 不参加ぐらし』(中公文庫) このところ、荻原…

年間読書人
2週間前
24

小川哲 『スメラミシング』 : これは私たち自身の戯画である。

書評:小川哲『スメラミシング』(河出書房新社) 本書は、「宗教」をテーマにした短編集だが、最後の「ちょっとした奇跡」のみは、「奇跡」と題されてはいるものの、「宗教もの」ではない。 収録作品は、次のとおりである。 本書の帯を見てみると、『陰謀論』『サイコサスペンス』『京極夏彦』『弩級』という言葉が目につくのだが、ここでポイントとなるのは、もちろん『陰謀論』である。後の三つは「凡庸な惹句」に過ぎないからだ。 しかし、ここで注意すべきは、なぜ『陰謀論』であって「宗教」ではない

マックス・オフュルス監督 『忘れじの面影』 : 見返りを求めないという「美徳」

映画評:マックス・オフュルス監督『忘れじの面影』(1948年・アメリカ映画) 1948年だから、…

年間読書人
3週間前
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マフムード・ダルウィーシュ 『パレスチナ詩集』 : 届かない声

書評:マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』(ちくま文庫) 詩歌オンチを自認してい…

年間読書人
1か月前
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北村紗衣 『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』 : シェイクスピアの研究書ではな…

書評:北村紗衣『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち 近世の観劇と読書』(白水社) 「武蔵…

年間読書人
1か月前
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風呂前有 『ぺし』 : さかさ眼鏡と異界

書評:風呂前有『ぺし』(全4巻・講談社・2005〜2007年) 【旧稿再録:初出「アレクセイの花…

年間読書人
1か月前
10

エリア・カザン監督 『エデンの東』 : 薄っぺらい「建前と本音」の逆転劇

映画評:エリア・カザン監督『エデンの東』(1955年・アメリカ映画) 本作は、なかなか評価の…

年間読書人
1か月前
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マーク・トウェイン 『トム・ソーヤーの冒険』 : 「差別者」とは誰か?

書評:マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』(土屋京子訳・光文社古典新訳文庫) 私の…

年間読書人
1か月前
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北村紗衣 『批評の教室』 : 作品批評【実践編】(第2回)

書評:北村紗衣『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く』(ちくま新書) さて、想定外の「連載」になってしまった、北村紗衣著『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く』(以降『批評の教室』と記す)のレビューなのですが、前回「ツッコミどころが多すぎて、どこを取り上げどこを捨てるのかを考えるのが面倒なので、目次に沿って、頭から順に論評していく」という方針を示しはしたものの、そんなやり方で、いったい何回で終われるものなのか、そんな見当など皆目つかず、私自身いささか