小田雅久仁 『残月記』 : 太陽と月、 月の表と裏
書評:小田雅久仁『残月記』(双葉社)
ルナティック(Lunatic・月的)というのは、「狂気」を意味する言葉だ。
どうして、「月」が「狂気」という意味を持つようになったのか? それまあ色々と理由もあるだろうが、一番わかりやすい説明は、「太陽」の発する「光=陽光」が、事物の形を明確に照らし出す、言うなれば「理性としての光」なのだとすれば、そんな「王である太陽」の力能に対し、「女王である月」には、「理性」に対しての「感情」あるいは「反理性としての狂気」を割り振られた、というこ