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「宗教(キリスト教以外)」関連書レビュー

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キリスト教以外の「宗教」関連書のレビューを集めました。 後日、整理の予定です。
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#文学

サミュエル・R・ディレイニー 『ノヴァ』 : オリエンタリズム的「文学性」の勘違い

書評:サミュエル・R・ディレイニー『ノヴァ』(ハヤカワ文庫) サミュエル・R・ディレイニー…

年間読書人
1か月前
11

岸政彦 『断片的なものの社会学』 : ラノベ的な「ライト学問」

書評:岸政彦『断片的なものの社会学』(朝日出版社・2015年刊) 本書は「紀伊國屋じんぶん大…

年間読書人
3か月前
26

カート・ヴォネガット・ジュニア 『猫のゆりかご』 : 猫の不在

書評:カート・ヴォネガット・ジュニア『猫のゆりかご』(ハヤカワ文庫) 最初に言っておくと…

年間読書人
3か月前
13

中井英夫論 「眠り男の迷宮・迷宮の夢」 : 『中井英夫全集[12]月蝕領映画館』月報 …

 【旧稿再録:初出は、2006年1月17日刊行『中井英夫全集[12]月蝕領映画館』。2005年後半に…

年間読書人
4か月前
10

青島もうじき 『私は命の縷々々々々々』 : 二つの「挑戦状」

書評:青島もうじき『私は命の縷々々々々々』(星海社FICTIONS) 若い読者には、いささか敷居…

年間読書人
4か月前
16

奥泉光 『東京自叙伝』 : 東京から日本全土に拡散した「地霊の呪い」

書評:奥泉光『東京自叙伝』(集英社文庫) 私が偏愛する作家の一人、奥泉光が2014年に刊行し…

年間読書人
5か月前
12

カート・ヴォネガット・ジュニア 『タイタンの妖女』 : 「無意味の意味」の快楽

書評:カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』(ハヤカワ文庫) カート・ヴォネガット・ジュニアの代表作である。 カート・ヴォネガットと言えば、シニカルなユーモアに満ちた作風で知られる。 シニカルなユーモアとは、もちろん、人間、あるいは人生に、肯定的なユーモアでもなければ、同じ意味で、温かい視線に立つユーモアでもない。 シニカルとは、「冷笑的」という意味で、要は「肯定的」でも「好意的」でも「温かく」もないということであり、「冷たく」かつ「突き放した」ものであり、そ

フィリップ・K・ディック 『流れよわが涙、と警官は言った』 : アイデアSFではなく…

書評:フィリップ・K・ディック『流れよわが涙、と警官は言った』(ハヤカワ文庫) 1981年に…

年間読書人
6か月前
17

オクテイヴィア・E・バトラー 『血を分けた子ども』 : 人種と被支配と性愛

書評:オクテイヴィア・E・バトラー『血を分けた子ども』(河出書房新社) オクテイヴィア・E…

年間読書人
6か月前
17

宇佐美りん 『推し、燃ゆ』 : ごく当たり前の、今風「純文学」

書評:宇佐美りん『推し、燃ゆ』(河出書房新社→河出文庫) ベストセラーになった、2020年刊…

年間読書人
6か月前
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スタニスワフ・レム 『短編ベスト10』 : 短編に見るレムの個性

書評:スタニスワフ・レム『短編ベスト10』(国書刊行会「レム・コレクション」) 昔は、SF作…

年間読書人
6か月前
10

荻原浩 『押入れのちよ』 : 忘却という〈救済〉

書評:荻原浩『押入れのちよ』(新潮文庫) 個人的には、直木賞作家・荻原浩は、長らく興味の…

年間読書人
7か月前
27

山城むつみ 『文学のプログラム』 : 危機に立って思考する。

書評:山城むつみ『文学のプログラム』(太田出版→講談社文芸文庫) 山城むつみを読むのは、…

年間読書人
7か月前
12

小田雅久仁 『残月記』 : 太陽と月、 月の表と裏

書評:小田雅久仁『残月記』(双葉社) ルナティック(Lunatic・月的)というのは、「狂気」を意味する言葉だ。 どうして、「月」が「狂気」という意味を持つようになったのか? それまあ色々と理由もあるだろうが、一番わかりやすい説明は、「太陽」の発する「光=陽光」が、事物の形を明確に照らし出す、言うなれば「理性としての光」なのだとすれば、そんな「王である太陽」の力能に対し、「女王である月」には、「理性」に対しての「感情」あるいは「反理性としての狂気」を割り振られた、というこ