宇佐美りん 『推し、燃ゆ』 : ごく当たり前の、今風「純文学」
書評:宇佐美りん『推し、燃ゆ』(河出書房新社→河出文庫)
ベストセラーになった、2020年刊行の芥川受賞作である。
私が買った単行本の古本は、初版刊行から約半年後の2021年3月の増刷分で、なんと「第43刷」。この本の帯には「47万部突破!」とあるのだが、ざっと調べてみると「80万部突破」という帯文もあった。300万部売り上げたという又吉直樹の『火花』には及ばないものの、純文学作品として破格のベストセラーなのは間違いのないであろう。
本書の帯背面には、下のような「紹介文&