高橋和巳 『邪宗門』 : 〈失われた文学〉の象徴
書評:高橋和巳『邪宗門』(河出文庫・朝日文芸文庫・講談社文庫・新潮文庫)
やっと、高橋和巳を読むことができた。
中でも、この『邪宗門』は、「宗教」に批判的興味を持つ者としては、どうしたって気になる作品だから、これまでの20年間に三度ほど文庫本を買っているのだが、それを、やっと読むことができたのだ。
今回、私が読んだのは、最初に買った「講談社文庫版」で、後で買った河出文庫の方を積ん読の山に埋もれさせてしまい、逆に、昔買っておいたのが、たまたま出てきたのである。
本書は分厚い