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「宗教(キリスト教以外)」関連書レビュー

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キリスト教以外の「宗教」関連書のレビューを集めました。 後日、整理の予定です。
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2021年8月の記事一覧

梶山雄一 『大乗仏教の誕生 「さとり」と「回向」』 : 実質的 浄土信徒 学者から見…

書評:梶山雄一『大乗仏教の誕生 「さとり」と「回向」』〈講談社学術文庫〉 「仏教」と一言…

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私は〈あなた〉を批評している。

私は、noteでの自己紹介文を、次のように書いている。 『昔から論争家で、書く文章は、いまど…

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奥泉光 『雪の階』 : 〈天人五衰を怖れず〉の物語

書評:奥泉光『雪の階』(中公文庫) 本作が、三島由紀夫を意識した作品であろうことは、毎日…

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植木雅俊訳・解説 『現代語訳 法華経』 : 神仏にすがらない 〈人間のための教え〉

書評:植木雅俊訳・解説『現代語訳 法華経』(角川ソフィア文庫) 本書は、「漢訳(中国語訳…

7

山田宗樹 『存在しない時間の中で』 : 「神」はいないが、 〈人間以上〉はいて当然

書評:山田宗樹『存在しない時間の中で』(角川春樹事務所) とても私好みな作品であり、最初…

6

赤坂真理『箱の中の天皇』 : 〈イメージの奔流〉と「観念的肯定性」

書評:赤坂真理『箱の中の天皇』(河出書房新社) どうやら著者の作品は、評論書もふくめて、…

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植木雅俊 『法華経とは何か その思想と背景』 : 釈尊 「最高の教え」としての 〈法華経〉

書評:植木雅俊『法華経とは何か その思想と背景』(中公新書) 「法華経」と言えば、現代では「日蓮」を思い浮かべる人が多いだろう。そして「日蓮」と言えば「法華経こそが最高の教えであり、末法の世においては、他の教えで人々を救うことはできない」として他宗排斥を唱えた人であり、その意味で「創価学会」による戦後の「折伏」弘教を連想し、その押しつけがましさに、嫌な気持ちになる高齢者も少なくあるまい。また、日本の近代史を勉強している人なら、戦前戦中には日蓮の人気が高く、戦争推進者の中に少

中沢新一 ・ 夢枕獏 ・ 宮崎信也 『ブッダの方舟』: バブル期における 〈イケイケ宗…

書評:中沢新一・夢枕獏・宮崎信也『ブッダの方舟』(河出文庫) 仏教的世界観を異世界冒険譚…

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小林拓己 『愛国少女 ウヨ子ちゃん』 : ネトウヨでも パヨクでも 楽しめるロリコン漫…

書評:小林拓己『愛国少女ウヨ子ちゃん』(青林堂) 昔からネトウヨに「売国奴」だ「在日」だ…

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赤坂真理 『東京プリズン』 : 「TENNOU霊」という 〈危険なレトリック〉

書評:赤坂真理『東京プリズン』(河出文庫) 私はなぜ、今このような人間なのか。私たち日本…

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夢枕獏 『上弦の月を喰べる獅子』 : これは 〈世界〉について 物語である

書評:夢枕獏『上弦の月を喰べる獅子』(ハヤカワ文庫) 本作は「仏教的世界観」を、壮大な異…

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ジャファル・パナヒ監督 『人生タクシー』 : これは 〈フィクション〉である。

映画評:ジャファル・パナヒ監督『人生タクシー』 本作は、イランの国家当局から映画制作を禁…

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デイビッド・リンチ監督 『エレファント・マン』 : 若きデイビッド・リンチの〈手堅…

映画評:デイビッド・リンチ監督『エレファント・マン』 『ツイン・ピークス』『ブルー・ベル…

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デイビッド・リンチ監督 『イレイザーヘッド』 : 原点にして〈エッセンス〉

映画評:デイビッド・リンチ監督『イレイザーヘッド』 『ツイン・ピークス』『ブルー・ベルベッド』などで知られる、鬼才デイビッド・リンチの長編映画デビュー作である。 私は、テレビドラマ『ツイン・ピークス』(第1期、第2期)と長編作品のすべて、および実験的な短編のいくつかの作品を鑑賞した段階でこのレビューを書いているが、本作『イレイザーヘッド』は、「栴檀は双葉より芳し」という綺麗な表現が皮肉に映るほど、「リンチは最初からリンチであった」ということをわかりやすく教えてくれる作品で