渡辺一夫 『ヒューマニズム考 人間であること』 : 不寛容に対して不寛容になるべきか
書評:渡辺一夫『ヒューマニズム考 人間であること』(講談社文芸文庫ほか)
渡辺一夫を最初に読んだのは、平成3年の『僕の手帖』である。これにずいぶん感心して、同じ年に『人間模索』を読んでいるが、こちらはそれほどでもなかったようで、今回の『ヒューマニズム考』は、それ以来の、じつに四半世紀ぶりということになる。
当時の私にキリスト教についての知識は皆無であり、エラスムスがどういう立場の人なのかも、あまりよく理解していなかったはずなのだが、しかし『僕の手帖』にあれほど感心したのは