マガジンのカバー画像

「キリスト教」関連書レビュー

385
キリスト教関連書のレビューを、ひとまとめにしています。 後日、内容別に整理の予定です。
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

西村明 編 『隠される宗教, 顕れる宗教』 ( いま宗教に向きあう 第2巻) : 「宗教…

書評:西村明編『隠される宗教,顕れる宗教』 (いま宗教に向きあう 第2巻)(岩波書店) 「宗…

3

人間の人間たる〈自己超克〉 : 堤未果・ 中島岳志・ 大澤真幸・ 高橋源一郎 『支配…

書評:堤未果・中島岳志・大澤真幸・高橋源一郎『支配の構造  国家とメディア 一一 世論はい…

7

イ・ギホ 『誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ』 : 人間としての〈誠実と責任…

書評:イ・ギホ『誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ』(亜紀書房) 韓国の現代文学作品…

1

教皇フランシスコ 『すべてのいのちを守るため 教皇フランシスコ 訪日講話集』 : …

書評:教皇フランシスコ『すべてのいのちを守るため 教皇フランシスコ訪日講話集』(カトリッ…

6

ヒューム 『自然宗教をめぐる対話』 : 困難な時代の 〈知的抵抗〉

書評:ヒューム『自然宗教をめぐる対話』(岩波文庫) つまり、ヒュームが生きた時代には、ニ…

5

上村真也 『愛をばらまけ 大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち』 : 近づきが…

書評:上村真也『愛をばらまけ 大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち』(筑摩書房) も…

5

ルイス・ブニュエル監督 『ビリディアナ』 : 真の〈堕落〉とは、光の中にこそある

映画評:ルイス・ブニュエル監督『ビリディアナ』 私は、趣味でキリスト教を研究している人間なので、あのブニュエルが描いた「清純な修道女が堕落させられる」物語と聞いて、大いに期待したのだが、正直なところ、完全に期待はずれだった。 本作は、1961年の作品で、カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したが、その内容が「反宗教的」との理由で、バチカンを激怒させ、カトリック国であるスペインの政府により作品の国籍を剥奪される、などという騒動にまで発展した。 しかし、今の目で見れば、それ

ジョン・ヒック 『宗教の哲学』 : 〈誠実な信仰〉の悲劇

書評:ジョン・ヒック『宗教の哲学』(ちくま学芸文庫) 私は「無神論者」の立場から、「宗教…

6

アベ・ピエール 『神に異をとなえる者』 : 神と共にあった人の 〈確信の言葉〉

書評:アベ・ピエール『神に異をとなえる者』(新教出版社) まず最初に言っておきたい。本書…

9

森本あんり 『キリスト教でたどるアメリカ史』 : キリスト教の 〈光と陰〉

書評:森本あんり『キリスト教でたどるアメリカ史』(角川ソフィア文庫) 日本人プロテスタン…

6

山本七平 『池田大作の日本人の宗教心』 : 〈かくれ棄教者〉 山本七平の 棚上げ信仰…

初出:山本七平『池田大作の日本人の宗教心』( さくら舎 ) 山本七平が「キリスト教カトリッ…

8

佐藤彰一 『歴史探究のヨーロッパ 修道制を駆逐する 啓蒙主義』 : 〈信仰と知性の…

書評:佐藤彰一『歴史探究のヨーロッパ 修道制を駆逐する啓蒙主義』(中公新書) 本書は、同…

3

L.M.モンゴメリ 『赤毛のアン』 & 高畑勳監督 『赤毛のアン』 : ロマンティックさ…

評論:L.M.モンゴメリ『赤毛のアン』&高畑勳監督『赤毛のアン』 アンという女の子は、理解…

15

渡辺一夫 『ヒューマニズム考 人間であること』 : 不寛容に対して不寛容になるべきか

書評:渡辺一夫『ヒューマニズム考 人間であること』(講談社文芸文庫ほか) 渡辺一夫を最初に読んだのは、平成3年の『僕の手帖』である。これにずいぶん感心して、同じ年に『人間模索』を読んでいるが、こちらはそれほどでもなかったようで、今回の『ヒューマニズム考』は、それ以来の、じつに四半世紀ぶりということになる。 当時の私にキリスト教についての知識は皆無であり、エラスムスがどういう立場の人なのかも、あまりよく理解していなかったはずなのだが、しかし『僕の手帖』にあれほど感心したのは