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史上最悪の日の、最高の思い出

ゲストハウスの思い出をかく、という企画に
賛同して、この話を書いています。

私は兵庫県姫路市で、ヒメジガハハゲストハウスを運営しております
ねねやんと言います。宜しくお願いします。


今年でなんと10周年を迎えます。
恐ろしく早い・・・

楽しい思い出や辛い思い出、そりゃたくさんありすぎて
どれも私にとっては貴重なものなのですが

私に取って一生忘れられない日のことを書くことにしました。

「ゲストハウスの価値」をゲストに教えてもらった日のことです。

himejijyou-springのコピー


記念すべき1周年を迎えた
2012年11月25日の思い出です。


「ゲストハウスやりたい!」
と、意欲だけで始めた開業準備。

トラブル丸抱えで 毎日泣きながら工事をし
周囲に助けられ
やっとの思いでスタートし、

予想をはるかに超えた拘束時間と、
多動すぎる自分の「待つ」ストレス
斜めからやってくるトラブル対応
なぜか どんどん減る預金通帳(笑)
でも、楽しい毎日のゲストとの出会い
そんな なんだかせわしない毎日を送り
1年目を終えようとしてたんですね。

その1周年パーティは 宿泊ゲストを取らず
全館貸切で 地元でお世話になった友人や関係者を呼んで
感謝の気持ちを込めておもてなしたい!と準備をしていました。

親友や仲間達と、当時付き合っていた彼に手伝ってもらいました。
夕方からビールを飲んで、ご馳走を食べて、
それはそれは楽しい会だったのですよ。

するとどうでしょう。
予約を取っていない日に限って
当日ウォークインで
スペイン人男子1名 オージー女子1名が
どうしても今日、泊まりたいのだときてくれたのです。


「ドンチャン騒ぎで絶対寝れませんよ。
私はパーティホストなので、お構いもできませんし
英語をみんなが喋るとも思えません。
播州弁が飛び交っています。
なので、今日は別の宿をご紹介しますよ?」と一旦断ったものの

それでもいいからとめてくれ、とゲスト2名。

そうか!よし!

それでいいなら、もうwelcomeだよ!
うちを選んでくれてありがとう!
一緒に飲もうよ! 

と、これまたみんなでウエイウエイになる。
カンパーイ!カンパーイ!
ウエーイ!

楽しい時間が経ち、夜の22時になり
酔いも最高潮になった時に
魔の時間がやってきた。

とても些細なことで
酒に溺れた彼と
大げんかになったのです。


酒に酔うと彼は気が大きくなる。
多分、15倍ぐらい大きくなる。

声だって大きくなる。
店だけでなく商店街に響き渡るような大声で叫ぶ。

「おう、別れようぜ!!」
「ええよ、そうしよう。出て行ってよ。
てかさ、この場がしらけるから出てけ!」

想像できますでしょうか。

美味しいお酒、ご飯がずらりと並んで、それに手をつけることもできず
葬式会場のように静まりかえるその光景を。

いい大人が、ズラーっと死んだ魚の眼をしながら
「どうすんだよ・・・」
「どう収拾つけるんだ・・・」
「やばい・・・帰るに帰れない・・・」

そこに親友が「ねねやんを侮辱するなんて許せない!」と加勢し
さらに場は泥沼化。。。

1時間以上
こんな苦行があるでしょうかw まさに地獄絵図でした。
ああ、今思い出しても身の毛がよだつww


そして スペイン君もオージーちゃんも、その悪夢の光景を
ボーゼンと見ていたのです。

「え。。。。なんなんや・・・・ここ」と思ったに違いない。

パーティで200%ウエイ♬だったのに

あのアル中的な人は一体誰?
そして、この展開なんなの?
俺、姫路城に来たかっただけなのに、宿 間違えたじゃん。
そんなココロの声が聞こえるかのようでした。

私はとてもとても悲しかった。

別れ話が悲しかったのではなく

こんな素敵なパーティを、みんなが祝ってくれている中で
大人気ない酔いで クソみたいなことにされたのが悔しかった。


そして、葬式ムードの中、解散。

せっかくの1周年が、涙の1周年になった。
親友はずっと隣で寝てくれて、大丈夫だよと言ってくれた。

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翌朝。


ラウンジは綺麗に片付けられていた。

友よ。本当にありがとう。


朝ごはんを食べながら、スペイン君とオージーちゃんに
「昨日は、本当に寝れなかったでしょ。
ごめんなさいね」と謝ったんですよ。

そしたら。

「大丈夫よ。パーティ、楽しかったよ。
そして ねねやんさん、あれだよ。
there are many fish in the sea (←文法あやふや。こんなこと言われたと思う)」

えっ!と驚いた顔をした私に
ニコッとして

「池の魚は数が少ないです。。海に行けば たーくさん、魚がいます」

なんなんだ。なんなんだ、これは。
ありがとう。ありがとう、と不覚にも
彼女のウインクに涙が出た。

チェックアウトで2人を見送り、
掃除を始めていたら

1時間ぐらいして スペイン君が帰ってきた。

それも すんごく 大きな百合の花束を抱えて。

「えっと、its for you!

昨晩はとても楽しかったよ!
すごいいい思い出だよ!
1周年おめでとう!
いい宿だったよ」 と。

もう爆泣きしてしまった。

なんなんだろう。

もう、すごい、ゲストハウスってすごい、と思ったんですよ。
「もてなす側ともてなされる側」とかの話ではなく

人と人とが、交差する、この価値。

宿主とかホストとかではなく
人間として すごくフラットにレスペクトする関係性。

よくゲストハウスって一期一会っていうじゃないですか。

たまたまその夜泊まったメンバーによって
相性が いい夜だって、ダメな夜だってありますよね。

でも、これってやっぱりホテルにはないもので。

たまたま出くわした誰かと、袖振り合うも他生の縁的に
何かしら、意味があるんじゃなかろうか、と思うわけです。

1周年はまるで事故のような夜だったけれど
ゲストにゲストハウスの最高の価値を教えてもらった
夜のことを一生忘れないと思う。

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コロナで旅のスタイルがガラリと変わって来ました。

ヒトが面白くて続けているゲストハウスですが、
以前のような 流れになるには もう少し時間がかかりそうな
気がしています。

皆さん、ぜひ、ご自身のタイミングで
旅に出れる時や 気持ちになったら
全国にある ゲストハウスに行ってみてください。

あー、今日のメンバー あたりだったなあ、とか(笑)

あー、今日、誰もいないジャーン、みたいな時もあると思いますが
(そんな時は街をふらつこう笑)

きっと、どこかで何回めかに 人生の思い出が転がってくるかもしれませぬ。
(なかったらごめんww)

ヒメジガハハゲストハウス 女将ねねやん こと松岡京子

後日談①:商店街を歩いていると、百合の大特価がありました(笑)
    百合の花束って珍しいなと思ってたらそういうこと!
    でもね。何よりココロが何より嬉しかったのです。
後日談②:悪夢の1年目で終わらさないように友人たちが後日1周年を
     やり直してくれました。心がはちきれそうでした
後日談③:魚はまだ見つかっていません(笑)

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兵庫県姫路市で「ヒメジガハハゲストハウス」を運営しています。
姫路駅と姫路城の中間地点。商店街の中にあります。
夜の姫路城は格別です!

ヒメジガハハゲストハウス
http://himeji588.com


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あなたも旅の思い出を投稿して懸賞を当てませんか?
6/21~8/31まで原稿募集中!
投稿方法はこちらのリンクをどうぞ
https://note.com/gh_omoide_note/n/n35bf8e1d3a41

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参加要項はこちらのリンクをどうぞ
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