見出し画像

【ネタバレ有】EVE burst errorの各殺人事件における推理と考察

はじめに

先日EVE burst errorというゲームをプレイしたのだが、最終シーンで唐突に犯人入力画面になったあと、これといって探偵たちによる推理や答え合わせが行われることなくそのままゲームエンドになり(※)、なんだか消化不良のまま終わってしまった。

※犯人を間違えるとtrueエンドを見るためにやりなおせという内容の文章が表示されるので犯人当てが正解か否かの答え合わせだけはできる。

なので各殺人事件における私の推理や考察をここに記しておきたいと思う。
犯人推理パートでの回想は犯人当てのために何度も読み直したが、最初から2週目をプレイしなおしたわけではないのでそれ以外の部分では記憶違いも多くあるかもしれない点にはご容赦頂きたい。

また当然ネタバレ満載なのでストーリーの核心的な部分に触れたくないという人は急いでタブを閉じてほしい。

1:ストールマン・孔の殺人について

犯人と動機

犯人はディーブ。真弥子の回想でも御堂の口から「ストールマンをくびり殺したのはディーブ」と直接的に言われる。
ストールマンが御堂たちの計画を妨害する敵対派閥だったことが動機。
既にCプロジェクトに欠かせない天才科学者のドールマン・孔を殺害して計画を瓦解させており、最初から生かしておく理由はなかったと思われる。

御堂たちの計画に必要不可欠な国璽を奪ってどこかに隠しており、その隠し場所を吐くまでは生かされて(恐らくアジトで拷問や自白剤の投与をされて)いた。
国璽が分割されて片方が自宅に隠されていること、もう片方が外国人学校のディレクタールームにあることをついに吐いてしまったために殺害されたと思われる。

連続殺人事件の始まり

御堂たちが国璽を手に入れていればこれで事件は終わるはずだったが、自宅側の国璽は二階堂にかすめ取られ、学校側の国璽も桂木に先を越されてしまったことで国璽を巡る殺人事件が続くことになる。

2:二階堂の殺人について

犯人と動機

犯人はプリシアクローンに記憶を移植した前国王(肉体的には真弥子)。
用済みになったため、口封じを行った。

ダミーの依頼主を通さずに御堂が直接依頼している上に国璽について教えてしまっている以上、御堂としては二階堂を生かしておく理由が一切ない。
途中で殺害する理由が生まれたというよりも最初から二階堂の殺害は御堂の計画に含まれていたものと思われる。

犯人が真弥子の肉体であることは「二階堂のビジネスの相手」でありなおかつ「あなたが来るとは思っていなかった」という内容の発言から取引相手の御堂本人ではなく娘の方が来たのだと推測ができる。

消えた二階堂のカバンの行方

犯人が持ち去った。わざわざ取引して直接受け取らずとも殺してから所持品を全部持っていけば荷物の中に国璽が見つかるとでも考えたのだろう。
※実際には茜に託されていたために見つからないが。

二階堂の手に絡みついていた金髪

真弥子のものであると思われる。

プリシアに殺人の罪をなすりつけることができれば王位継承の権利を失うと考えたのだろう。後述するがアクア殺害の現場でも似たような工作が見られる。

既にナイフに指紋がついていたというだけで二階堂がストールマン殺害容疑で指名手配されており、警察の無能ぶりが明らかとなっている。
であれば二階堂の指に自らの毛髪(真弥子の肉体はクローン※なのでプリシアとDNAが一致する)を巻き付けておけばプリシアに殺人の容疑がかかるだろうと考えたに違いない。
まあ実際には想像を超える無能だったために二階堂は自殺扱いされてしまったわけだが。

真弥子は金髪ではないが、肉体がプリシアのクローンである以上は本来金髪である可能性が高い。
仮に違っても予め抜いておいた髪の毛を脱色して持参すればいいだけだ。

わざわざ死体をベッドの上に置いてシーツをかける工作まで行っておきながら手に堂々と握られている毛髪に気付かないとは考えにくいので、少なくとも手に残して去ったのは意図したものである可能性が高そうである。

あるいはメタ的な考え方をすると単にプレイヤーにミスリードさせるための偽の証拠として用意されたものとも言える。

※厳密にはクローンではなく培養した細胞を用いて作ったヒューマノイドなわけだが、まあクローンと言って差し支えないだろう

3:ディーブの殺人について

犯人と動機

犯人は真弥子(国王人格)。
二階堂と同じく、途中で殺す動機が生まれたのではなく最初から切り捨てる計画だったと考えられる。

根拠としてはまず御堂が二階堂に国璽を見つけ出す依頼をしていたことをディーブが知らなかったことがひとつ。
もしディーブが本当に御堂の仲間なら二階堂へ依頼していることを隠す必要がない、というかまずディーブを出し抜くように依頼する必要がない。

次に真弥子の日記(回想)にて御堂の「あのお方が彼のトリスタン号での処断を望んでいる」という台詞がある。
明確にディーブを名指ししたわけではないが、実際に起こった出来事と照らし合わせて考えればここで言う「彼」とは恐らくディーブを指していると考えて間違いないだろう。ディーブも真弥子(国王人格)に部下を二人殺された直後に「ヤツに裏切られた」と言っており、ヤツが御堂を指していると考えれば辻褄が合う。

また「計画がすべて水の泡」というセリフからはディーブに知らされていた計画の内容と実際に行われていた計画が別物であった可能性が示唆される。

おそらくディーブには「正統後継者として真弥子を王に擁立するが、未成年の娘に政治ができるわけがないので実権は我々で握ろう」とでも持ちかけていたのだろう。
しかし実際には真弥子の中身が前国王であり、死んだはずの前国王が再び王位につくという計画だったわけなので、ディーブとしては「計画が水の泡」「虚像のはずの恐怖が実像に」ということである。

それでもディーブは諦めずに自分の手中にある国璽の片割れを材料に国外脱出を目論んだようだが、交渉は決裂して殺害されたようだ。

個人的には「とりあえず殺して所持品漁れば国璽が出てくるに違いない」という作戦を二階堂相手に行って失敗したばかりなのにディーブ相手にまだやるのかという感じだが、前国王は精神が不安定だったとアクアが言っていたのでもう合理的な判断はできなくなっていたのだろう。
今回は運良くディーブ自身が持っていたので国璽の入手に成功することとなる。

ディーブの部下2名の殺人

作中では犯人当てに使われないが、ディーブが殺される直前に起こったこの出来事も殺人事件といえば殺人事件である。
真弥子の回想で事件現場がフラッシュバックするので犯人は真弥子(国王人格)で間違いない。居たことがない場所の記憶は思い出せないからだ。

死んでいた護衛が銃を抜いていないことから何者かが侵入してきて殺したのではなく、はじめから室内にいた人物が殺したと推理できる。
よって盗聴器で声が聞こえなかったもうひとりの人物は真弥子を連れた御堂であり、ここでディーブは初めて御堂の裏切りを知ったと思われる。

4:アクアの殺人について

犯人と動機

真弥子の国王人格が犯人。プリシアが実は反王政派であることがわかってふたりが和解するシーンを(真弥子人格で)目撃したことで、アクアが邪魔者となったことを知ったのが動機。

国王は真弥子人格で目撃したことを知りうるのか

プリシアがプリンでいたときのことを覚えていることから「主人格は薬で作った人格のときに経験したことも記憶できる」ことがわかる。
よって真弥子の肉体の主人格である前国王は真弥子が経験したことを記憶していると判断できる。
また真弥子が「怖い夢」を見ていたり殺人シーンをフラッシュバックしていることから、完全ではないにしろ副人格側も主人格で経験したことを記憶しているのだろう。

現場に残された「d」の意味

犯人が操作を撹乱するために残した偽のダイイングメッセージだろう。
真犯人に至らない情報をアクアが残すとは考えにくい。

意味するところは恐らく「d」ではなく「p」であり、名前がpから始まる容疑者=プリシアを犯人と告発しているのだと思わせたかったのではないだろうか。
二階堂の殺害現場に残された金髪も同じくプリシアの逮捕を狙ったものではないかと考えれば一貫性がある。
ただ探偵や警察が推理を披露する場が設けられず、御堂が死んだことで船も沈没する事態になってしまったのでこの工作も不発に終わったはずだ。

メタ的な見方をするなら「正しい読み方はdではなくpであり、犯人はプリシア」とプレイヤーに思わせるために用意されたミスリード用の証拠である。

5:ロス=御堂の殺人について

犯人と動機

犯人は真弥子(国王人格)。動機はなし。
動機がなしなのは御堂が最後まで国王の忠臣だったため。真弥子が自殺をほのめかしたときですら「国王を殺す気か!?」と叫んでしまうような御堂を殺す合理的な理由が国王にあるとは考えにくい。
つまり殺害理由は合理的でないということだ。
もはやこのときの国王はもう正常な判断を下せる状況になく、ただ目の前の男を殺してしまったのだろう。記憶移植はまだ未完成の技術であり、今まさに国王の記憶は破壊されている真っ最中だったのだ。

御堂殺害犯=真弥子(真弥子人格)説への反論

私が攻略時にチャートを参照していたサイトでは『御堂を殺害したのは真弥子(真弥子人格)である』と解説されていた。
だが私は御堂の殺害も国王の人格で行った(というよりは真弥子の人格では一切殺人を行わなかった)と考えたい。

論理的な根拠は「アイデンティティを否定された真弥子が錯乱した」点だ。

御堂殺害時の状況は「真弥子が錯乱し、気づいたときには殺人が終わっていて、真弥子はなにも覚えていない」という点でアクア殺害時とほぼ同じである。
であれば御堂殺害時においてもアクア殺害と同じことが起こったと考えるのが論理的である。

そもそも「真弥子の記憶がたびたび飛んでいるのはその間に国王人格で動いていたから」という説明がなされてきたのに、こと御堂殺害においてだけ「人格は真弥子のままだが錯乱していたためになにも覚えていない」というのは展開に一貫性がない。

おそらく真弥子が錯乱すると強制的な人格交代が起こって国王人格になるのではないだろうか。
普段はなんらかのキーワードをスイッチに人格を切り替えているはずである(プリンがプリシアに代わったのと同じである)。
そうでなければ真弥子を監視下に置かず他人に護衛させたり、国王が自ら二階堂の元へ赴いて殺人するなんてことは危なっかしくてできるはずがない。

また感情的な根拠として「理由はどうあれ真弥子人格が殺人を犯す展開はハッピーエンドにならないだろう」と考えている点も付け加えておきたい。
真弥子が真弥子の人格のまま父親を殺していたら果たしてそれはハッピーエンドなのだろうか?最後に表示される一枚絵の未来は訪れるのだろうか?
そんなわけで個人的には真弥子人格が犯人ではないと考えたい。

6:その他殺人事件とは関係のない考察

真弥子が毎日注射していた薬

本当に薬がインシュリンか疑った捜査員に検査されることを見越して、護衛任務中は本当にインシュリンに薬物を混ぜ込んでいたと思われる。
その根拠はふたつ。ひとつは検査の結果が実際にインシュリンだったこと、もうひとつは護衛を開始してから真弥子が目のかすみや普段以上の頭痛に苦しみだしたことである。
頭痛や目のかすみは健常者がインシュリンを常用した際に起こる低血糖症の典型的な症状のひとつである。

検査したらインシュリンだけでなくおかしな成分が盛りだくさんであると気付かれるのではないかと思うかもしれないが、まりなはあくまで「非合法な薬物(≒麻薬)ではないか」との疑いから(しかも極力早く結果を出してくれと)調査を依頼したために「これは麻薬でなく、また糖尿の治療成分を含む」ことしか検査されなかったのだと思われる。

実際には前国王の記憶を移植したプリシアクローンに真弥子人格を植え付け、それを維持するためのものである。

茜が国璽を持っているとバレて拷問されていた理由

新聞を読んでいなかったために二階堂が殺されたと知らずにホテル会いに行ってしまい、部屋を張っていたディーブに見つかったものと思われる。
茜が新聞(=他人の書いた記事)を読まないことが事前に提示されているのでまず間違いないだろう。

二階堂の電子手帳(持ち去ったカバンに入っていたはずである)に茜に国璽を預けたことが書かれていた可能性もあるが、普通に拉致ればいい相手をわざわざホテルに呼び出すとは考えにくい。

真弥子がプリシアそっくりに変化したラストシーンについて

髪の色と瞳の色が突然変わる理由は説明されないのでファンタジーとして受け止めるか、あるいはもう少し現実的に考えるなら『普段の真弥子は水溶性のヘアカラーとカラーコンタクトで見た目を変えており、海に潜って助けを呼びに行ったことでヘアカラーが落ちてカラーコンタクトも紛失したのでプリシアと同じ姿になった。ただし海に沈んだ船内では暗くてよく見えなかったので突如として姿が変わったように見えた』という感じだろうか。

身もふたもないことを言うと単に真弥子の肉体がプリシアのクローンであることを示す描写に過ぎず、犯人指摘(真弥子の回想)前に「真弥子がプリシアのクローンであること」を伏線として張れるタイミングがもうあの瞬間しかなかったのだと思われる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?