こりん星は爆発しました

不思議ちゃんという言葉が嫌いだ。
"わたしは恐らく普通ではないらしい"ということを、じわじわと自覚したのはこの言葉がきっかけだから。

小学生の頃、みんながモー娘。に夢中になっていた。わたしももれなくモー娘。が好きで憧れていたが、それ以上に好きになったものが格闘ゲームの鉄拳だった。

うたばんでケラケラ笑ったあと鉄拳でボコボコ殴っていた。習い事のない木曜日の夜をそうして過ごすのがいちばんの楽しみだった。

鉄拳が好き、ということはクラスの誰にも言えなかった。「ゲームってオタクっぽいよね」と笑うキラキラした女の子の話し声を聞いて、これは隠さないといけないんだな…と子供心に空気を読むことを覚えた。わたしの好きはみんなとは違う、と自分の心に蓋をした。

人一倍みんなと同じに憧れていたのに、どうしてもずれてしまう。なんでだろう。好きなものを好きと言えない。とずっと悩んでいた。

高校生になり、mixiで紹介文を書くことが流行った時期があった。
自分を他人がどう評するのだろう、期待と不安が入り混じった心境でクリックすると、そこには「不思議ちゃん」と書かれていた。

精一杯、普通を演じていたのに。
不思議ちゃんになんてなりたくないのに。
普通を意識すればするほど、自分にできないのとが浮き彫りになっていく。

不思議ちゃんの呪いはいつまでも解けない。
ずっとずっとこれから先も。

でもいつか不思議ちゃんを誇れるようになりたいと思う。いつの日か。

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