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菅原道真の大河ドラマが見たいので語らせてください

NHKがどうして菅原道真の大河ドラマを作らないのか、謎で仕方がないです。寧々です。

菅原道真さん(845〜903)

菅原道真さん、ご存知ですか?
学者の家から身を立てて右大臣まで上り詰めたものの、冤罪で左遷されて怨霊と化した平安時代の大物政治家です。没後1000年経った現代でも、「学問の神様」として受験生と親から絶大な支持を集め、彼を祀る神社は1万社を超えています。しかし、知名度に反し、彼を主題とした作品は意外と少なく、私が知る限りは、小説「泣くな道真」と、最近なぜか宝塚歌劇になった漫画「応天の門」しかありません。

天才すぎて共感を呼びにくい、取り扱い時代の一般認知度が低いなど、色々ネックがあるのだろうと思います。もしくは、学問の神様の末路が「左遷先で死んで怨霊になる」というのが、年明けに受験を控える受験生親子や、日々職場という名の伏魔殿で頑張る社会人の皆さんの精神衛生上、よろしくないのかもしれません。

ただ、家柄がモノを言う時代において、分相応の立場と職務を全うして引退しようと思っていたら、その才を買われて政治の世界に引き摺り込まれ、中流貴族としては異例の出世を果たした後に転落した彼の人生はドラマチックですし、トントン拍子に出世したスーパーエリートにみえて、わりと挫折や悩みも多く、共感しやすい面もありますし、思い通りにならないキャリアに泣き言を言いながらも、やると決めた以上は誠心誠意取り組み、道理に合わないことは正そうとする、主人公さながらの正義感や一本気がある人だと思うのです。

具体的にどんなドラマが見たいのか語らせてください

菅原道真の人生を大河にするなんて難しいだろと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、日曜の大河を糧に10年以上生きている中で見えてきた「大河の構成パターン」に道真公の人生を照らし合わせてみると、意外といけそうな気がするのです。あくまで素人目線ですけども・・・。

個人的な大河ドラマ構成あるある

大河ドラマは1〜12月まで、大体48話程度で構成されています。日本のドラマにしてはメチャメチャ長いです。
ただ、日本のドラマの大半が1クール(3か月)で終わる中、その4倍のスパンで主人公の人生を淡々と描くだけだと中弛みしかねないので、大体1クール程度の長さで話を区切ることが多い気がします。(「どうする家康」も4月に入ってから「新章突入!」と大々的に宣伝し始めました)
なので、道真の大河ドラマを考えるうえでも、彼の人生の節目ごとに4分割して、4部作にしてみました。
ドラマどころか物語の作り方も知らない素人仕事でお見苦しい部分も多いかと思いますが、私の思いの丈を語らせて下さい。

第1部(1〜12話):少年〜青年期

道真の学生(文章生)時代です。
学者の名門・菅原氏の一人息子として育てられた道真が、史上最年少の18歳で当時の高等教育機関・大学寮の文章生となり、23歳で文章生トップ2の1人(文章得業生)に選ばれ、26歳で官吏登用試験を突破するまでを描きます。

道真さんの母校(大学寮)の跡地は中学校になっています


1〜4月の大河主人公は、とにかく青くてナンボな気がします。鎌倉殿の義時も、鬱回と名高い第15話「足固めの儀式」以前はまだ目のハイライトがしっかりあり、周りに振り回されては泣きべそをかいていましたし、青天を衝けの栄一も、第11話で横浜を焼き討ちしようとして失敗しています。
なので、道真大河においても、この期間は若くて青い道真にクローズアップして欲しいです。ただ書を読みふけり、自分の知的好奇心を満たせればいいと思っていたインドア少年の道真が、父・是善や兄弟子の忠臣、友人(在原業平、紀長谷雄)との関わりを通して、自分は何のために学ぶのかを問い続ける・・みたいな、その後の道真の価値観や考え方の土台の部分を描いて欲しいです。漫画「応天の門」みたいなイメージです。1部のクライマックスは官吏登用試験だと思うのですが、何とか及第したものの、道真さんはあまり手応えがなかったようなので、主人公の最初の挫折としてこの点も丁寧に取り上げてもらいたいところです。
また、大河の序盤は、物語の世界観を確立させるために、主人公以外の人物の描写に尺を割いても許される期間なので、後の道真の運命を大きく動かす藤原氏の躍進や応天門の変に代表される他氏排斥ムーブなど、平安貴族内の覇権争いも描きます。道真は学生の時分に、社会勉強も兼ねて貴族達の書類の代筆も行なっているので、道真の視点からこうしたドロドロな人間模様を描くの、面白そうじゃないでしょうか??

第2部(13〜24話):官界デビュー

27歳で文人官僚デビューを果たした道真と、時の権力者・藤原基経の関係性をメインに、官僚道真の成長を描きます。年齢的には30代の、一番ノリに乗っている時分です。
道真は、全国の民政担当として日々書類作成に追われたり、大学寮のトップとして教授、試験官を務めたりと、仕事に忙殺されながらも培った才を発揮していきます。一方、父・是善や友の在原業平を亡くしたうえに、他の官僚から妬まれて孤立を深める道真は、自身の才を認めて頼ってくれる基経に自分の気持ちを吐露するようになります。
「人付き合いも煩わしいし、学問に没頭していたいが、自分が働かないと処世が成り立たない」と葛藤しながらも自分の才の使い道を模索する道真が見たいですね・・・!

第3部(25〜36話):突然の出向と本社返り咲き

半沢直樹みたいなパートです。
40代にして急に讃岐国の国司(香川県知事)に任命され、現地赴任を強いられた道真は、嫌々讃岐へ向かいます。基経に慰めてもらった際に思わず泣き出したくらい嫌だったらしく、赴任後もずっと「京都帰りたい・・・」と嘆いていたので、讃岐ネガキャンになりかねないですが、なんとか阻止したいところです。一方で、「仕事は嫌だが可もなく不可もなく終わるのも嫌だ」という位、責任感はメチャメチャ強い男なので、地方の実情を事細かに調べてはそれを都へと伝えます。
一方、宇多天皇が即位した都で事件が起こります。宇多天皇の測位に際し、前述の藤原基経は関白に任命されますが、辞令には中国での呼び名を用いて「阿衡に任ず」と書かれており、これが「阿衡なんて名ばかりのポジションじゃねえか!!!」と基経をブチ切れさせたのです。仕事をボイコットする基経に皆がお手上げ状態だった中、讃岐にいた道真が「その解釈おかしいですよ」と基経を説得したところ、基経はようやく機嫌を直します。これをみた宇多天皇は驚き、以後道真に注目するようになります。
讃岐から京都に帰るところで第3部は終わりです。
第4部(37〜48話):
帰京した道真が、宇多天皇のもとで右大臣まで上りつめ、最後太宰府に左遷されるまでを描きます。
道真を自身の近習、そして師として慕い、異例の待遇をする宇多天皇に戸惑いながらも、道真は任されたポジションで政務に邁進していきます。この間に遣唐大使にも任命されるのですが、唐の情勢を鑑みて派遣の中止を訴えています。大陸の歴史と文化を専門に学び、漢詩を好んだ道真にとって、唐は憧れの地であったはずで、遣唐使派遣に反対する事は夢を諦める事に久しいと思うので、この部分の心理描写がとても気になります。
そしていよいよラスボス・藤原時平も登場です。藤原基経の息子で、道真よりも10歳以上年下の青年が、道真と対立し、彼を左遷に追い込むまでをドラマチックに描いて欲しいです。
太宰府での生活はかなり苦しいものであったそうですが、何もかも失った道真は、憧れの地・唐に近い太宰府で何を思うのでしょうか・・・。


あとこれは余談ですが、彼の思想の1つである「未だかつて邪は正に勝たず(邪まなことが正義に勝ったことは未だない)」はそのまま大河のキャッチコピーにピッタリだと思うのです・・・。

渋沢栄一が好んだ言葉を採用した過去例


今や全国1万社以上の神社で祀られている学問の神様・菅原道真ですが、思うようにならない事が多い人生を必死に生き抜いた1人の人間として、彼の人生と人物像を再考察するのは、とても面白いのではないでしょうか?特に権力への執着もなかった1人の青年が、為政者として自分の生まれ持った才と愛する学問をいかに使うべきか自問を続ける、陰謀渦巻く政治の中枢で理不尽な目に合いながらも自分の正義を貫こうとする、みたいなドラマに誰か仕立ててくれないですかね。。。

寧々

応天の門メチャメチャ面白いので1話だけでも読んでください。

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