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禍ものがたり(子)

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小宮子々による禍話リライト・禍話に関わる文章のまとめです
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記事一覧

禍話リライト「マヨヒガの山」

  〈マヨヒガ〉ーー迷い家、と呼ばれる怪異をご存知だろうか。  それは山中にて不意に出くわ…

小宮子々
10か月前
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禍話リライト(忌魅恐NEO)「屋上に行くだけの当番の話」

Aさんという女性から、ある集まりの際に聞いた話だ。 高校時代、彼女は生徒会に所属していた…

小宮子々
1年前
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怪談手帖「天井下がりの部屋」考察

※この記事は2022年8月17日配信の禍話有料ライブ「かぁなっきの独りごつ」にて発表された『怪…

小宮子々
2年前
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禍話リライト「天井下がりの部屋」(怪談手帖より)

今まで数々の怪異譚を採話してきた某氏の手元には、怖い部屋についての聞き取りメモが複数ある…

小宮子々
2年前
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禍話リライト「囲まれる」

今はもう三十代半ばを過ぎた横田さんという男性が、中学生だった頃の話だ。 美術や音楽といっ…

小宮子々
2年前
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禍話リライト「河童の鳴き声の話」

【注意】当リライトは怖い話ツイキャス「禍話」様宛に筆者が投稿し、「元祖!禍話」第十三夜に…

小宮子々
2年前
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禍話リライト「木霊」(怪談手帳より)

百年の木には神ありてかたちをあらはすといふ。 鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「木魅」 「小学一年生の時のことなんですけど……」 と、Aさんは懐かしそうな顔で口を開いた。 Aさんの通っていた小学校の校庭の隅の、木々の密集した場所、そのさらに奥に、小学校ができるより前から生えていると伝わる一本の古い松の木があった。それが、彼らの間で〈お化けの木〉と呼ばれていたのだという。 「松って表面が鱗みたいになってるでしょう? その模様が人に見えるんですよ……こう、腰をかがめて立ってるお

禍話リライト「成功した十円」

当時大学生だった彼は、ある時、親戚のおばさんから「家の模様替えを手伝ってほしい」と頼まれ…

小宮子々
3年前
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禍話リライト「あたりまえばあさん」

人智の及ばない世界にも、何らかの決まりごとはあるらしい……という話をとある場で披露したと…

小宮子々
3年前
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禍話リライト「更地のふたり」

それなりの高級住宅地、だったのだと思う。 例えばどの家の窓にもボタン一つで降りるような鎧…

小宮子々
3年前
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禍話リライト「雲梯の上」

体育会系には見えないが、実は力自慢という友人の話だ。 大学時代、飲み会から二次会、三次会…

小宮子々
3年前
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禍話リライト「みんなおんなじ家」

その人がそれを体験したのは、話を聞いた時点から遡って三、四年は前のことだった。 それでも…

小宮子々
3年前
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禍話リライト「小銭入れ」

よく知らない相手の多い飲み会でのことだった、という。 その席上で怖い話になった。何らかの…

小宮子々
3年前
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禍話リライト「赤い光」

妖怪、の話なのかもしれない。 舞台となった病院がもう廃業して、取り壊されてしまったから聞けた話だ。 廃業の半年ばかり前に、院内での喫煙が全面禁止になったのだという。今ほど喫煙ルールに厳しくなかったとはいえ、医療施設であることも踏まえれば複数の意味で遅すぎる判断だった。患者からの苦情で、ということだったが、それまであちらこちらではばかることなく喫煙が行われていたことを考えると、厄介な人物でも怒らせてしまったのかもしれない。 ともかくも、駐車場、駐輪場などを含めた敷地内で煙草を