中国電脳旅行 プロローグ①〜この旅行では何も起こらない。〜
よくいろんな人に中国旅行どうだった?みたいなことを聞かれるのだが、はじめに言っておく。この旅行では何も起こらない。
死ぬほど月餅を食べたなあとか泊まった部屋がラブホっぽかったみたいな、ことは言えるのだが、全部日本でも体験できることを中国でやった。
人のカメラロールを見てるような感覚で読んでほしい。
死ぬまでにやりたいことの一つに、万里の長城に行きたいというものがあった。
でも私は中国語なんて何も分からなくて、知ってる中国語は我爱你くらい。
だから、叶うないけどまあ書いちゃえの一つというか。マリファナを吸いたいみたいなそんな感覚だった。それを誰かに話したところ、「中国語なんて分からなくても行っちゃえばいいじゃん!」と言われ、そうか、言葉なんか分からずともいけるのか!という、初歩的な発見をし旅行を決意した。
でも、正直不安だったし、十日間の海外旅行を一人でいける気がしない。が、しかし夏のこの値段がバカ高い季節に、十日間も付き合ってくれる人はなかなかいない。
ダメ元で、当時チャットアプリで連絡をとってた中国人の男に
「ねえ、中国旅行したいから案内してくれない?十日間!」
と言ってみたところ、いいよ!と二つ返事で決まった。よし。
私の計画はこうだ。北京から香港までなるべく陸路で移動する。(この時は中国・香港間を大阪東京間くらいに思っていた。)
航空券さえ買ってくれれば、こっちでホテルとか手配するよ。と中国人の男が言ってくれた言葉を信じ、いざ出発。
ともいかず、中国にはビザがないと入国できないことにギリギリで気づく。早速ビザセンターの予約をとる。
しかも、中国ビザセンターに行ったところで、予約を間違ってとっていたことが分かる。ビザセンターには、査証と認証があり、ざっくり言うと在日中国人の滞在処理関係の方に私は予約をしており、ビザ取得は改めて予約を取り直さなければ手続きできないらしい。
落ち着いて予約を取り直そうとすると、今から予約すると最短で8月30日の予約となる。しかし、出発日は8月17日だ。すでに航空券は買ってるし、絶望的に間に合わない。焦ってそこら辺にいた係員の人に聞くと、
「代理事務所を通じてなら間に合うかも。壁に電話番号はってあるからそこから連絡して欲しい。」
みたいなことを言われた。ので、片っ端から電話をかけてみる。
大抵、17日出発というと、「それは無理ですね‥」と言われたり、「どこからこの番号を手に入れたのですか?今後はお控えください、、」とドン引きされるなど取り合ってくれる業者は少なかった。
10個目ぐらいの業者に電話をかけると、「17日?間に合いますよ。今から事務所にすぐ来て」とのこと。行ってみると、都内のマンションの薄暗い一室が事務所のようだ。聞くと宿泊場所と旅券のコピーを出せば、ビザを代理で発行業務を行ってくれるらしい。でも、ホテルは愚か中国から香港へのチケットも取っていないのだ。
そう話すと、「大丈夫大丈夫!最悪こっちで宿泊の予約券のダミーを作るから」
え、それでいけるの?と思った。それって、犯罪じゃない?薄暗いマンションの一室が脳裏に浮かぶ。でも、もう航空券の往復で10万払ってしまっている。ここに頼むしか、もうビザを手に入れる方法はない。もう引き返せないのだ。
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