夢中と告白

 春、中学生になった。新鮮な体験はほんの数週間だけ。進学の高揚感を生活に向けていれば変化を受容できただろうに。後悔しても遅い、高揚感はぼうっとした妄想に浪費した。
 そんな数ヶ月だったから、蕎麦を食べながら考える。幸いなことに赤と白に勝敗をつける趣味はない。クリスマスはホーム・アローンに気を取られてしまったが、今度こそ答えを見つけよう。変化をもたらすにはぶれない自分が必要だ。憧れの学校生活を送りたければ、学校生活なんぞ目に入れてはならない。夢中を手に入れるのだ。気がつけばテレビは寺を映し、家族は今年の鮮度を祝っていた。
 あけましておめでとう、私は今年宇宙へ憧れてみる。
 
 宇宙が魅力的なのは映画のおかげだ。ルーカスの宇宙戦争にスピルバーグの宇宙戦争、宇宙兄弟は映画より漫画。アニメも見たので、ロケットといえばアンジェラアキ。創作が作り出した高揚感をホントの宇宙に向けてみる。我が家の天井は堅実だが夢はない、ベランダで見上げる。空に雲、感じるのは宇宙ではなく地球。感情すら大気圏を超えず。宇宙に浸る夜は室内の妄想で終わり、ガス欠になった夢中はゆっくりと熱を冷ましていった。
 変わらない新学期だと覚悟を決める。数学、国語、理科、英語。曇りのない視野で俯瞰してみれば、現実は差し迫っていた。年末に書き初めを書き終わらせただけの自分に過去を恨む資格はない。今年の書き初めは数学、開いたページに広がる未知の領域は宇宙と言って差し支えない。わからないは大気圏を超えた。

エンディングテーマ
  「告白」
 アンジェラ・アキ


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