PCR検査当日:1/8

この日はPCR検査を受けた。前日にかかりつけ医からもらった紹介状には「検査予約票」が添付されていた。よく読むと「現金一万円の預り金のご用意をお願いします」とあるではないか。見落とさなくてよかった。私はたまたま現金があったからよかった。しかしこの方法だと預り金を支払えないことが理由でPCR検査を受けられない人がいるのではないかと心配になった。現金一万円が用意できない場合、相談すれば何とかなるものだろうか。また、当日は院内に入らないようにとの注意書きもある。ではどこに行けば良いのかというと、警備室に行くように案内がされていた。地図はやたらと見づらく、私は不安になった。

熱は37度前半まで下がってきており、体調は悪くない。頭痛も随分と和らいだ。検査をするK病院は私の部屋からはかなり距離がある。タクシーに乗るわけにも行かないので歩いていくしかない。体調が回復し始めていたのは本当にラッキーだった。時間に遅れると嫌なので幾分早めに部屋を出た。しかし体調の良さもあってか私自身が思っていたより私の足取りは軽かったようだ。また目的の警備室もあっさりと見つけることができたので、予約の40分前にK病院に到着してしまった。問診票を渡され、検査の時間までに記入するように言われた。とても寒かったが警備室に入れてもらえるわけもないので、日陰の中を時間まで待つことになってしまった。喫茶店で時間を潰すこともできない。これは身体に堪えた。また熱が上がるのではないかと私は心配になった。

検査の時間になり建物に入るように案内された。中にはパーティションで個別に仕切られた待合室があった。如何にも急拵えな印象で、それが緊張感を伝えてくる。名前を呼ばれて受付をする。一万円はその際に渡した。ビニールカーテンで仕切られた向こう側に防護服で身を固めた職員が対応をしてくれた。促されて医師のいるための部屋に向かう。厳重に防護した医師からのヒアリングに答えて、次は隣りにある検査場所に移動した。

PCR検査は検査キットを鼻から口にかけて通し、ウイルスを採取する。検査方法は話で聞いていて、数年前に行ったことがあるインフルエンザの検査と同じやり方だとわかっていた。キットが鼻に入るところまでは私の思っていたものであった。しかしキットは私が思う以上に奥まで入り込み、ついには喉に到達した。こんな感覚(心地よくはない)は初めてだった。すぐに終わったことにホッとした。検査が終わったことを受付に伝える。精算方法と結果の連絡について説明を受けた。検査費用は後日精算となる。おそらくいくらか戻ってくるはずだ。

帰り道にとんこつラーメンの店があるようで、匂いが流れてきた。私は腹が空いていた。熱も下がったし、匂いもわかる。検査の結果は連休明けだろう。それでもコロナウイルスの感染はないと私はほぼ確信していた。

帰宅後に仕事関係の人たちに検査が終わったことの報告をする。今回の件で客先に報告書を提出することになってしまったようで、資料の作成のために何度も電話でやり取りを続けた。私は全く気乗りしなかった。こんなことをしている方がよほど体調が悪くなるとさえ思い始めていた。でも仕方がない。仕事に穴を開けてしまっているし、何より時期が悪かった。

私は元気だし、連休が終わればすぐにいつもの暮らしに戻れると思っていた。

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