TOKYO PINSALOCKS at BOΦWY RESPECT LIVE @ Shinjyuku LOFT (18th Feb '04)【アーカイブ記事】

初出:Smashing Mag, 2004

新宿LOFTで行われた『BOΦWY's BE AMBITIOUS !!! ~ BEAT RESPECT 3 DAYS ~』 に出演した東京ピンサロックス。出演しているバンドの色が様々なことから、お客さんも幅広い年齢層で、自分が普段感じているライブハウスの雰囲気とは少し違う感じが面白い。3番目に出演した東京ピンサロックスは、この日出演したバンド(最後のセッションは除いて)で一番ラウドで魅力的なライブをやってくれたと思う。

このバンドのカッコイイところはどこか、と言われたら「しなやかなリズム」と答えたい。いわゆる「メタル×ヒップホップ」で構成されたミクスチャーバンドは、リズムの部分でバンドの力が出てくると思う。多くのバンドは「如何に黒っぽく聴かせるか」に終止していて、大抵の場合はヒップホップのリズム構成をそのままコピーしているだけで、聴こえる感じは確かにヒップホップなのだけど決定的に「しなやかさ」が欠けていると感じさせてしまう。そういった「ヒップホップのコピー」から脱却した例が"Knock me down"でのレッド・ホット・チリ・ペッパーズや"Nookie"でのリンプ・ビズキットで、ロックの圧力とヒップホップのしなやかさを兼ね備えた良い例だと思う。そして東京ピンサロックスもそういうリズムを獲得したバンドだ。

ライブもスタートからそんな魅力が炸裂した。メンバーのコンディションもよさそうだし、何よりも心から楽しそうにプレイしている彼女達を見ていると見ているこちらまでポジティブなテンションがあがってくる。オープニングの"バブルガール"(恐らく新曲)はそのリズムにナオコの軽やかなライムが乗ってくる好ナンバーで、「自信作」と言い切るミニアルバム『バブルガール』への期待を高めるには充分すぎる挨拶だった。

そしてそのリズムの魅力と並んでインパクトが強かったのがトモッチ!のギタープレイだった。バッキングも堅実だし、所々に挟まれるフレーズも独特でカッコイイ。そのフレーズが入るタイミングもばっちりで曲の良さを目一杯に引き出していた。強烈なギタリストがいるもんだなぁと思い、ついつい目がいってしまう。

そしてラストに演奏されたのはボウイの"Image down"だ。これはちょっと凄すぎた。例えば“自分放棄”と言う曲ではそのリズムに日本語歌詞でメロディを乗せると言う部分で少し強引な感じがあって、そこはやっぱり苦労するのだな、と思わせた(但しこの日プレイされたもう一つの新曲ではリズムとメロディがかなり上手く乗っていた)。ところがこの"Image~"はしなやかなリズムに原曲の優れたメロディラインを信じられないくらいに乗せて、なおかつ原曲のどこか突っ張ったイメージは壊さずに、完全に自分達の曲にしたととんでもない代物だった。もしもボウイを全く知らずにこのカヴァーを聴いたらオリジナル、しかも彼女達の曲の中でもかなりカッコイイ方になるのではないだろうか。そしてやっぱりここでもトモッチ!のギターがよく機能していた。本当に面白いギタリストだと思う。

新作『バブルガール』リリース後は全国ツアーが始まると言う。もし近所に来たの であれば一度体験してみて欲しい。きっとそのリズムとポジティブなヴァイヴに心踊 らせることができるはずだ。

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