古龍は、戒めを。あなたは、真っ直ぐな温もりを。

本編はこちら。


以下、裏設定になります。

この古龍の経験した過去は、とてもつらく、重いものです。

穏やかに友と暮らしていた頃は、近くの村の人間とも仲良く過ごし、友と一緒にその村の守り手として存在していました。
特に何か守る理由があった訳でもなく、ただただその村の人間も、その村も何だか好きだったのです。
だから2対の龍は度々人間の姿となり、村の人間もまたその龍達が好きで、お互いに思いやり仲良く過ごします。

そんなある日、邪な考えを持つ人間が現れます。
それは、龍の力を奪おうというもの。
あなたと話した古龍は、自分を倒しても力は手に入らないと言いましたが、それは余計な争いを二度と生まないための嘘。古龍を倒した者には、古龍の持つ力の全てを受け継ぐことが出来るのです。

噂を事実と知っていたその人間は、卑劣な手を使って古龍の友を陥れました。

自分が戦っても勝ち目は無いことは分かっている。
だから、内側から壊すのだ。その龍が大切にしていたものを、自らの手で、葬らせよう。

その人間の思惑通りになってしまった古龍の友は、悲しみに狂い、自我を失ってしまいます。
その友にそれ以上悲しく、つらい思いをさせない為には、古龍が死を以て止める他ありませんでした。

その悲しい出来事以降、古龍は暗く寒い洞窟の中でひっそり生きていくことを選択します。
それでも後を絶たぬ来訪者に、二度と悲しい出来事が起こらぬ為の、優しい嘘をつきながら。

あなたの来訪は、古龍にとって幸せだった日々の懐かしさを思い出すきっかけとなったようです。
力を求めてやって来たことに変わりはありませんが、なぜだかそのひたむきに強くなりたいと頑張る姿に心惹かれるのです。
元々は人間と話すことの大好きな古龍。自ら避けていた関わりを、少しだけ、戻してみたくなりました。
最後の独白は、後ろめたさから来ています。
しかし、1度知ってしまえば…関わりを持ってしまえば、その温もりは忘れられぬものなのです。

この古龍の心の中にあるずっと冷たく、寂しいものは、あなたという存在の来訪によって、少しだけ温かさを取り戻すことでしょう。
それはきっと、春を告げる花の蕾が咲くように。

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