見出し画像

④リップの色を選べることだけがアイドルの自由なんかじゃない

アンジュルムに『アイドルの自由』を拡大してくれることを求めるのは単なるファンのわがままな願望であることはよくわかっている。リップの色が派手だと難癖つけた人たちと同じことをやっているというのもよくわかっているつもりだ。だから今までメンバーの言動や心情にあれこれ言うことは避けてきたし今後もそうしたいと思っている。

だが、これは単なるこうなったらいいなあというファンの絵空事の話だけではない、メンバー自身が直面する現実の問題でもある。実際にはーちゃんというかけがえのないメンバーをグループから失っているということはみんな真剣に受け止めなければならない。

ファンとしてはアンジュルムに在籍した彼女たち全員が、アイドルとしてアンジュルムで過ごす何年間かを、たしかに幸せなものだったとこれが私の青春だったと思って卒業してもらいたいと本気で思っている。
が、そうはなっていない。

はーちゃんのことがこのまま見過ごされてしまうなら、ついこのあいだアンジュルムに入ったばかりの新メンバーやその後も続くであろうアイドルになる女の子達はどうなってしまうのか。オーディションに申し込んだ時点ではたしかにいたメンバーが卒業とは違う理由でいなくなっていることを新メンバーには何て説明したのだろうか。ファンとしてはーちゃんの二の舞になるようなことが起きないか心配でならない。

『あなたはまだ未熟だから、無垢だから、失敗しても構わない、また頑張ればいい』とかいう生やさしいものではなく、『あなたはもうプロだから、ルールだから、責任を取らなきゃいけないから、それは許されない』とすぐに追い出されてしまうように、知らない間に変わっていたのだから。その中に今から放り込まれるのだから。

こうなってしまった以上、まだ無垢な新メンバーにもいずれアイドルをやっていくことの疑問や違和感といった壁に気づく『目覚め』を待つのではなく、もう今からそれを教え込まなくてはならなくなった。

それはあやちょすらも無垢な子供に与える影響力を恐れてアンジュルムではやらなかったことのひとつだ。アンジュルム第2章はそんな誰も踏み入れたことのない状況から始めなければならないのだ。

これから年長のメンバー達は新メンバーを身勝手な大人たちやアイドルヲタクから、ジェンダー差別や決めつけや抑圧といったことから守らなくてはいけない。

親や学校よりも長く濃密な時間を一緒に過ごすことになるであろう新メンバーが道を踏み外して大人たちの勝手に巻き込まれないように導いていく責任がメンバーにはある。もちろん年長のメンバーもうっかり落とし穴に落ちてしまわないように細心の注意を払わなくてはならない。

とても辛いしめんどくさいし、本来アイドルがしなければならないこととは関係ないのかもしれないが、黙っていても大人たちは何の頼りにもならず、問題を解決してくれるどころか、アンジュルムを台無しにする最低最悪なことしかしてくれないということは今回のことでよくわかったはずだ。

結局自分たちを取り巻く問題は自分自身で解決しなくてはならないのだ。『リップの色を選ぶ』以上の自由も自分で勝ち取らなくてはならないのだ。今のメンバーにその覚悟はあるのか声にして聞かせて欲しい。何があってもあなたたちの味方をするから。

ひとりのファンとしてこの約一年のアンジュルムを見ていて『もうちょっとしっかりしてよ!』とずっと言えずにいた。
たかがリップの色を選べるくらいで満足してしまうようではアンジュルムなんかじゃない。大人たちにいいように丸め込まれず、もっと自由に素敵な形で痛快に我々を裏切っていく姿をぜひ見せて欲しい。
もしメンバーがこの記事を読んだら『そんなこと言われなくてもわかってるよ!』と笑い飛ばしてくれればと思う。


これからようやく始まる第二章が、アンジュルムの更なる発展と全てのメンバーの素敵な未来につながればいいなと思っている。まずは12月9日に迫った日本武道館でその一端を見せてくれることを楽しみにしている。
『頑張れ!!アンジュルム!!!』

*****

書くにあたって参考にしたもの:


皆さまへ あや著 和田彩花オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/angerme-ayakawada/entry-12366075751.html

和田彩花は女でありアイドルだ。アイドルとして女性のあり方を問う覚悟
https://sheishere.jp/interview/201910-ayakawada/

選択肢を増やしたい。和田彩花「アイドル宣言」の真意 #30UNDER30
https://forbesjapan.com/articles/detail/37668/1/1/1

「違和感の中に私が伝えたいことがある」 和田彩花がアイドルを名乗り続ける理由?
https://www.asahi.com/and_M/20200910/15708112/

アンジュルム和田彩花“2017年総括〜2018年飛躍宣言”単独インタビュー
http://www.billboard-japan.com/special/detail/2217

時代を映すアイドル。[後編]
~アンジュルムとハロー!プロジェクト、その歴史と現在~
https://asm.asahi.com/article/13945091

「嫌になることもあるよね、って寄り添いたい」アンジュルム2代目リーダー竹内朱莉、書道で整える“先輩”の心得
https://magazine.mercari.com/hobby/art/angerme-takeuchi


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?