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③アンジュルム第2章

一方で、あやちょの卒業後のアンジュルムは『アンジュルム第2章』と言われている。竹内朱莉が2代目のリーダーとなった第2章は波乱の中で始まった。
メンバーが立て続けに卒業し、新メンバーの募集、太田遥香の活動休止(のちに活動終了)、コロナ禍でライブを中心とした活動ができなくなるなど活動体制がなかなか安定せず、いまだに『これがアンジュルム第2章です』というものを明確に示せずにいる。


その中で今回の主題であるリップの話に端を発する『アイドルの自由』についても第2章の中でどういう風に位置付けられているのかよくわかっていない。先に書いたようにアンジュルムにおけるジェンダー論やフェミニズム的な視点はリーダーだったあやちょが持ち込んだものであるが、それが2代目リーダーの下でどのように扱われるかはずっと注目している。


あやちょは卒業する時、その後のアンジュルムについてメンバーの自由にすればよいとして口出しすることはしないとして、特に何を遺したいのかとかアンジュルムの今後について注文をつけることはしなかった。敢えてしなかったのだと思う。
特に『ジェンダー論』や『フェミニズム』などはアイドルヲタクと対立しやすい典型的な問題で、いわばこの分野を押し広げようとするのは寝た子を起こす、やぶへびになりかねない問題だからだ。
アンジュルム時代からあやちょの発言を支持する人がいる一方で、激しく反発を受けることも多かったし、『アイドル』という存在を再定義しようとソロで活動している今でも何かと物議を醸すことがある。
それくらい難しい問題だということはファンとしてもよくわかるし、少なくとも第2章がはっきりとした形で見えてくるまでは、そのことはしばらく置いておこう、メンバー発信で何かあるまでは、見守ろう、と思っていた。
だがそうも言ってられないことが起こった。

太田遥香(はーちゃん)が活動休止してその後アンジュルムを去った事は、残念とかいう言葉では足りないほど、アンジュルムにおける『アイドルの自由』を期待していた人を落胆させた。
これから少しずつ押し広げようとしていた女の子たちの自由は、大人たちの一方的なアイドルはこうあるべきという押し付けによって踏み躙られた。
この問題について何がおかしいのかについては今までに書いてきたのでここには書かないが、ジェンダー問題どころではなくこれは未成年に対する重大な人権侵害であると思っている。
メンバーがこのことについてどれくらい真剣に向き合い何をしたのかは、はーちゃんの活動休止と活動終了のたった二度のリリース文と、そのことを書いた各メンバーのブログのエントリーだけでは到底すべては伝わるものではなかった。事務所への怒りとは別に、『アンジュルム第2章』への期待は個人的にはかなり萎んだ。

正直、こうなる前に何か言って欲しかったし、言ってくれれば全力でサポートしたいと思っていた。彼女たちなら何か痛快な方法で問題を解決してくれるのではないかという期待もあった。そしてまたはーちゃんも含めてみんなで楽しくやってくれるもんだと信じていた。

リップの色を選ぶことに象徴される『アイドルの自由』と、ひとりのメンバーが大人たちの強権によって突然姿を消すということが、全く相容れない出来事なのは誰の目にも明らかで、このふたつのことがアンジュルムというグループに共存しているのはどう考えてもおかしなことだし、これほど居心地の悪いものはない。

実際今もはーちゃんのことに触れるのはまるでタブーかのような状態で、『アイドルの自由』は大きく制限されている。この問題をメンバーとしてどう捉えてるのか、それを言わないまま立ち止まらずに何事もなかったように進んでいくつもりなら、もうリップの話を素敵なエピソードとして語るのはやめて欲しいと思っている。

これはアンジュルムとは何かというアイデンティティにかかわる避けては通れない問題だ。『ステージで結果を出す』とか『これからの私たちのパフォーマンスを見てくれ』というのとは別の話だ。
それができないなら、アンジュルムは第2章になったのであれはもう過去のことだと言って欲しい。しかしそれはアンジュルムに『アイドルの自由』を期待してる人の気持ちを裏切ることになるのではないか?


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