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自分を形作る言葉

 酷い活字中毒である。

 何かしらの文字を目で追っていないと落ち着かず、常に読むものを探している。幼い頃は食事中はドレッシングの成分を読み、風呂に入ればシャンプーの効能を読んでいた。典型的な活字中毒者だ。
 今はスマホが普及し、片手で気軽にインターネットを彷徨うことができる。インターネットの海は文字と情報の海であり、特にTwitterなど文字中心のSNSと自身の相性は最高だった。マナーを気にしなくていい場であれば常にスマホで文字を追っている、そんな状態を数年過ごしている。

 便利にはなったものの、書籍、特に小説を読むことが減ってしまったことを憂いてもいる。完全に自分の責任だが便利なものに抗うのは難しかった。
 しかしかつて読んだ大量の小説が自身を形成した1部である事に相違は無い。ということで特に大きな影響を与えた本について振り返りたいと思う。

 今日ふと頭に過ぎったのは、石田衣良著フォーティーン並びにシックスティーンの二部作である。
 いつ読んだかは明確でないが、まだ14にもなっていなかった事だけ覚えている。同時期に辻村深月著オーダーメイド殺人クラブを読んでいたこともあり、来たる14歳というものへ思いを馳せていた。

 今思い返せば、作中の中学生や高校生の生活はあまり現代におけるリアルという感じはしないし(フィクションなので当然だが)、読むには幼すぎた気もする。
 ただ、あの本の世界にあった生活に近しい未来の希望を見出していたのも事実だ。16になった時、シックスティーンに追いついてしまったと思うと同時に、もう支えがなくなってしまったような、その先の指標が無くなったような感覚になった。

 そんな感覚を覚えてもなんだかんだ生きているものであるし、自分の方がずっと年上になっても彼らは私の人生の支えになっている。ありがたい限りだ。

 そんなわけで、フォーティーンシリーズとオーダーメイド殺人クラブを一読することを強く勧める。

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