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213.「ピエタとトランジ」

2020.6.4
藤野可織「ピエタとトランジ<完全版>」読了。


めちゃくちゃ面白かった。

人類最後の「名探偵と助手」の物語。寝る前に読み終えたので、夢に見てしまった。

私はもうすぐ終わる世界で、もうすぐ殺されることになっていた。
世界にはまだたくさん人がいて、社会も機能していた。
ここは「ピエタとトランジ」世界の、まだ最終章ではないな、と思う。

私はそれまで暮らしていたコミュニティが崩壊してしまったので、安心して住むことが出来るところ、というよりは、とりあえず今日安らかに眠れる場所を探していた。

寂れた町のショッピングモールに入る。
もう午後だと言うのに開店している店は少なかった。
モールの奥にスーパー銭湯があって、宿泊することも可能らしかった。
今日はそこに泊まろうか。

図書館があったので入ってみた。
大きな図書館だけど、棚はすかすか。
いちばん奥の棚のところに、次男が幼稚園のほし組さんだった時にクラスメートだった女の子がいた。

小学生の時に交通事故で亡くなって、私はお葬式にも行った。
ブレザーにチェックのミニスカートという、女子高生の制服を着ていた。

彼女に、幼稚園の先生が、ここからいっしょに逃げましょうと誘っているのだけれど、彼女にはその気はなさそうだった。

「どこにいても同じなのよ、先生。    私は大丈夫」

二人が会話しているのを見ながら、私はあの子に殺されるのかなぁと思う。


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