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2『ハサミ男』殊能将之

本の基礎情報

書名:ハサミ男
著者:殊能将之(しゅのう・まさゆき)
発行:1999年8月
読了:2021年10月10日

著者のデビュー作であり、1999年に第13回メフィスト賞を受賞。同年の宝島社「このミステリーがすごい!」の第9位にランクインした。2005年に豊川悦司・麻生久美子主演で映画化。(wikiより)

いただいたメッセージ

「小説はミステリしか読まぬ」なフォロワッサンからリプでいただいた!

ミステリと聞いて!!(お題箱に入れろや)
『ハサミ男』『告白』『失はれる物語』『容疑者Xの献身』は面白かった。あと、古いけど『死者の学園祭』『青い炎』も好き。合うのがあったら作者買いするのがいいと思う〜!ミステリ界は基本同人と一緒で作者の性癖がモロにでるイメージ。
『ハサミ男』が1番頭がおかしくて俺は一体何を読まされたんだ…ってなって面白かったのでイチオシ!!ご検討のほどよろしくお願いします!

イチオシからいくぞ!

感想

いや~~~面白かった!!終盤戦でン?ンンン???と今までわたしの中で展開していたストーリーが一度スクラップにされてから、すごい勢いでバチバチバチとパズルが組上がっていく感じ……読了後に慌てて“確かめたくて”二周目を読みました。「俺は一体何を読まされたんだ…」を理解。

今まで主人公だと思っていた人物が、突然訪ねてくる展開。見事です。「えっ、なんでお前が!??エッ、じゃあ今までわたしが主人公だと思ってたやつは誰?????」と頭が大混乱し、数ページ読み飛ばしてしまったのではないかと紙を捲り戻すも疑問は解決せず、この特大クエスチョンを抱えたまま読み進めていくしかないの…?タスケテ!!!と救済を求めて本に嚙り付けば、最後まで一気でした。

連続殺人犯が次の獲物にと目を付けていたJKが自分の手口ソックリで殺害され、自身がその死体第一発見者になってしまうところからストーリーが始まります。自分の模倣をして殺したのは誰?と真犯人を追う殺人犯、そして“一連の連続殺人犯”を追う刑事たちの二面から話が展開する…と思ってたのですが……
これぞ小説にしかできない演出なのでは?漫画ですら難しいと感じました。映画化しているようなのですが、一体どのような演出になっているのか気になります。

なによりタイトルのミスリード!!オタクはタイトル回収にスタオベしてしまうがウマイな~コレと唸りました。もちろん分かってしまえばそれまでではあるのですが、この本の発行が20年以上前であることを考えるとジェンダーの先入観を取り入れた誤認を誘う仕掛けであり、わたしは令和の時代にまんまと作者の手の上でコロコロしてもらいました。

このタイトルの「ハサミ男」は作中でも一連の連続殺人犯の通称として使われるので、登場人物たちと一緒に事件を追いかけている気持ちになれます。あと柔和で人の良さげな笑みを浮かべるFBI研修済のインテリ警視正、オタク、大好物。

そして終わり方がメチャメチャメチャメチャ好きでした!わたしも同人誌をつくるとき奥付のっけてからCパートを描いて、読み手はここで終わりだけど彼らの物語はまだ終わってないみたいなのが好きなので…(?)
「ミステリは作者買い」という指南もいただいたので、この作者のヘキ、もうちょっと味わいたいと思います。

余談

本を読んでると、登場人物たちがウィットに飛んだ会話を繰り広げることによって、ぜんっぜん知らん小難しい話が眼前でビュンビュン飛び交うシーンあるじゃないですか。あれ、わたしはメチャメチャ置いていかれるんですけど、その放置感が好きだったりします。スマホを片手に調べてはフムフムと知識を増やすのが、個人的に読書の楽しみ方のひとつでもあります。

作中にジョヴァンニ・セガンティーニの『淫蕩の罰』という絵画が出てきます。恥ずかしながら存じ上げなかったので、そもそも実在するものなのか?と調べてみたら好きだな…となりました。

神秘的、退廃的な作品を残したことから、作風は世紀末芸術とされることもあるそうです。
またひとつ、この世を楽しむ知識が増えました。

ページを捲った本

これだけ言ってもいいですか?
イマジナリー兄太郎じゃん……………

読了記念おえかき


オススメいただき、ありがとうございました!

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