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すずらんの日

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今日はすずらんの日、フランスのお祭りです。昔の貴族たちの間ではすずらん舞踏会なるものが開催されて、女性は花を模した白いドレス、男性は上着の襟に花を挿して踊るんだそうです。すずらんって特別派手な造形ではないけど、しな垂れた茎に名前通り鈴のような花がちょんちょんとぶら下がっていて可愛いですよね。奥ゆかしい魅力。ぐいぐい主張はしてこないけどもなんだか気になっちゃう存在。それを襟に挿す…?そんな可憐なお姿ある…?出会いの場にもなっていたようで、ついてる鈴の数で人気が分かれるとかあるんですか?舞踏会の日の朝、すずらん狩に出かける男たち。襟元のすずらんはおしとやかだけど俺たちはぐいぐい行くぜ!みたいな場なのかな。貴族たるもの他に遅れを取りはしない!みたいな。いやその場にいるの皆んな貴族だけど。

数分の間に血湧き肉躍る舞台になった舞踏会はさておき、薬の話をしましょう。

十六世紀半ば頃から主として薬効のためにこの花が栽培されるようになった。これから採れる水薬は”黄金の水”といわれ、金や銀の容器に入れられた。本草学者ジョン・ジェラード(一五四五〜一六一二)によれば、この花をガラス容器に入れてアリ塚に一ヶ月埋めて置いて溜まる液体は、痛風の痛みに良く効くという。媚薬としても用いられた。(『魔法の植物のお話:ヨーロッパに伝わる民話・神話を集めて』132ページ 浅井治海 著)

黄金の水…!なんという豪華な呼び名。金や銀の容器…薬瓶はガラス製だろうし、水薬だからパカって開けるタイプだと溢れそう。皿に入れてたら蒸発するだろうしどんな形なんだろう。昔の西洋の容器調べなきゃいけませんね。細工とか凝ってるんでしょうか。細かい花の模様とか…妄想が止まらない、わからない、面白い…。

美しさと健康のためのスズラン スズランは美容剤であり、特に太陽が昇る前に摘んだのはそうである。それを女性は暖かい時期にできるそばかすを増やさないなめに顔に塗る。 スズランの花は民間薬として卒中発作の薬であった。太陽が昇る前に集め、その中に露が残っている花をワインで煮る。花の匂いは頭痛やめまいに効く。乾燥して粉末にしたスズランの花はくしゃみの強い刺激になる。それは有名な嗅ぎ煙草”シュネーベルガース”の成分であった。民間の信仰では鼻カタルやくしゃみは、脳の健康や消毒に役立つ。(同書 133ページ)

先に謎の鼻カタルについて、「鼻炎」です。読みは「ビカタル」。

これこれ!こういうの、知りたかったやつ!摘んでどうやって塗るんだろう。絞ってエキスを?煮出す方法?太陽が昇る前にっていうのがいいですよね、まだ暗いなか、ひっそりと揺れるすずらんを摘みにいく。露が残っている花をワインで煮る!面白そう。赤だとなかなかにグロテスクなビジュアル、白だと優雅さすら感じられる。煮たワインを薬として飲むのか?これを肌に塗るのか?はあ、これは、実験したい。しかしそのへんには生えていません。買ったやつでもいいかな。いや。やっぱり朝露の残るすずらんを太陽が昇る前に摘みに行くというシチュエーションが大事な気がする。それからそばかすを悩む乙女のような気持ちを持つところから始めなきゃいけない気がする。

鼻カタルやくしゃみが脳の健康や消毒に役立つという信仰も面白いですね。たしかにくしゃみすると色々頭からぶっ飛ぶ感じはします。嫌なこととか、飛んでけ〜。

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